4.0
適切な怪談
謎の少年が毎回一話の怪談を語っていく、という漫画。
一人百物語である。
正直、お世辞にも上手い絵とは言えないのだが、不思議と引き込まれるものがあった。
ことホラー漫画に関しては、「上手い・下手」とはちょっと別の次元のところで、ホラーというジャンルに関する「向き・不向き」というものがあると思うので、そういう意味で「向いている」絵なのではないかと思う。
ストーリーとしては、凝った伏線とか、あっと驚くような展開とか、そういうものはないのだけれど、怪談話というのは本来、いい意味で「この程度」がいいのではないかと個人的には思う。
シンプルで、論理性みたいなものはなくて、核心のところでは、わけがわからない。
私はそれが怪談話の品とか節度とかいうものだと考えるし、本作はまさに「そういう」怪談で、なかなか好みに合っていた。
何が怖いって、タイトルの意味が全くわからないところである。
語り手の少年も謎だし、これから色々と明らかになっていくのだろうと思うと、単なる一話完結の怪談漫画という制約を超えた楽しみもある。
しかし、本当に百話続くのかなあ。
- 19