2.0
もう目はつぶれない
私はB級ホラーが好きだから、「なぜそっちへ逃げる」的なお約束満載の展開には、目をつぶろう。
「鬼出没 立入禁止」の看板がゴロゴロあるのに、車で注連縄を引きちぎって山奥へと進むような、主人公たちの神をも恐れぬ愚かしさにも、目をつぶろう。
鬼が「音を出すものを優先的に攻撃する」という「今どきそれかい」的なチープな設定、鬼じゃなくて自動操縦タイプのスタンドなんじゃないか、という不自然さにも、まあ、目をつぶろう。
しかしまあ、広告が酷すぎる。
これは漫画自体の責任ではないのかもしれないが、明らかにエロチックなホラーを標榜しながら、実際に描かれているのは、二十年前の少女漫画もびっくりのベタなラブロマンスである。
広告の件を抜きにしても、これはホラーの文脈から完全に浮いており、私の「目をつぶれるライン」を遥かにオーバーした。
あまりの不釣り合い具合に、作者は本当はベタな少女漫画を描きたかったのだけれど、編集に脅されて無理矢理ホラーを描かされているのではないか、とさえ思った。
広告に釣られた男性陣の怒りと失望は、想像に難くない。
そしてまた、私もその一人であることは、否定できない。
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