5.0
タイトルの意味は
「ミステリと言う勿れ」と、分類すれば明らかにミステリだと思うのに、ミステリであることを拒むタイトル。謎めいたそのタイトルが、そのまま主人公久能整自身を暗喩しているようだ。久能整はこの物語の中では探偵役。◯ナンくんのように行く先々で偶然か仕組まれてか事件に巻き込まれる。しかし事件の謎を明晰に解き明かす彼自身に、読者に知らされない謎があることが示される。飄々とした、平凡な(ただ少し孤独な)大学生と見せかけて、この物語のブラックホールのような主人公、こんなミステリはちょっとない。会話劇であり、コミックというより小説を読むような充実感のある作品。最後まで読みたい。
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