5.0
最後まで見届けたいサクセスストーリー
瞬間記憶能力を持っている時点で平凡ではないんですが、覚えることはできても技術が身についているわけでは
ないため、自分の価値に気付かなかった女の子が官吏になるまでの道程を描くサクセスストーリーです。
どんどん開花する記憶能力以外の才能に毎回ワクワクします。
サブタイトルいらんと思うくらい活躍目覚ましい茉莉花の、のし上がりっぷりを最後まで見届けます!
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瞬間記憶能力を持っている時点で平凡ではないんですが、覚えることはできても技術が身についているわけでは
ないため、自分の価値に気付かなかった女の子が官吏になるまでの道程を描くサクセスストーリーです。
どんどん開花する記憶能力以外の才能に毎回ワクワクします。
サブタイトルいらんと思うくらい活躍目覚ましい茉莉花の、のし上がりっぷりを最後まで見届けます!
色々と考えさせられるお話でした。
真実を追求することで露呈していく不都合な正義。
法的にその行いは「正義」ではなく、ただの「犯罪」。
でもこの「犯罪」=「悪」なのか?
法的には「悪」でも被害者にとっては紛れもない「正義」の行い。
「真実」「悪」「正義」が交差するなかで、被害者の妹・理世と加害者・海利の信頼と愛情が逆のベクトルで
深まっていく。
理世と海利が最後に行きつき貫く「間違った正しさ」を、私は認めたい。
何なんでしょう、この優しいぬくもりに包まれるようなキモチは。
聾唖であるヒロインの雪を、悲観的にも同情的にもキレイごとにも表現せず、ほんの少しの特徴を持つ恋する一人の女の子として描かれています。
数年前、女性シンガーが「会いたくて震える」と歌ってよくネタにされていましたが、今なら少しわかります。
この作品は震えます。
耳の聴こえないヒロイン雪。高校まで聾唖の学校に通いながらも、自らの意思で一般の大学に入学を決めた前向きで頑張り屋の女の子。
けして弱くないし庇護してもらおうとも思っていない、なのに彼女の存在そのものが儚く、いつも震えながら懸命に立っているような印象を受けます(冬だからか??)。
これはけして震えて見えるのがネガティブな意味ではなく、自然に自分の境遇を、人生を受け入れ、生きている表れだと思います。
そして彼女は恋する普通の可愛い女の子です。
憧れから恋心になった逸臣先輩への想いと、たくさんの国を旅してきた先輩の「俺を雪の世界に入れて」と言う言葉は、じんんわりと涙が出そうになります。
初めは「音のない世界」で生きる雪を目の当たりにして、好奇心から雪と接していたかもしれない逸臣先輩の、彼女への愛しみがゆったりとした時間の流れの中で育まれて行きます。
先輩がどれだけ優しい声で雪を呼んでいるかを知らなかったこと、先輩への胸のドキドキが自分の中から鳴っていることに気付かなかったこと、補聴器をしてもすべての音が混ざって聞こえ、音がどこからしているのか何の音なのかもわからないこと、私達のあたりまえがあたりまえでない雪の中で育つ恋心は、あまりにも純粋でせつなく感じます。
読後、きっと心が浄化されるような気持ちになります。
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