5.0
艶々先生の中でも最高傑作
何回も読み返し、その度に胸を詰まらせています。
美しく切ないふたりの景色は茜色か月夜、またはざぁざぁ降り雨でその時その時の心象風景がどちらのものかを読むたびに考えさせられてしまいます。
ところで物語の中で和也は意外なことにケンカが強いことが判りますが、このキャラ設定は必要だったのか?考えています。
荒んだ生活をしていた時期に先輩から教わって街で腕試ししたり…、あ!でもやっぱその設定でいいんだよね。だって京介から唄子を奪うためには京介の蔑みや恫喝にメンチ切って反論出来るくらいの根性と腕が必要だったし、唄子からの想いしかシーンには無かったが唄子にキスマークを残したのは確実に和也の図太さというかそれがケンカを通して培ったふてぶてしさを表している。
唄子さんも京介も歳相応に経験を積んだ大人同志だがいつしかボタンの掛け違いによりお金と身体の関係に成り下がってしまう。
京介が気付いていないところ、唄子が気付いていないところ、間に和也が関係したことにより大人のふたりは自分たちにある大きな溝を認め、またお互いに優しさを以て指摘するあたりはこの物語のラストシーンへの大きな展開と思います。
「はぁ~っ」てため息出てしまいます。
こんなに美しく切ない物語を久しぶりに読みました。僕はこの物語が映像化なんてしたら絶対イメージ壊れると思うし、陳腐な三文ドラマが出来るだけでしかないと思う。
- 7