4.0
リアルな大人と子ども
中学生の主人公の両親が離婚する話。ヒロインの梓の同級生の男の子の両親もまた同じタイミングで離婚します。この男の子との恋が主軸になると思います。
この家族は離婚後に母親側に引き取られ家はそのまま住むことができ、生活費も進路も心配しなくて良いので、かなり恵まれた状況だと思います。だからこそ、気持ちの行き場が難しくもあるのかもしれませんが……。梓と弟とで離婚に対する反応が違うのがリアルだなぁと思いました。男の子の方がこういう時感情的になるのね…。
私の両親も似た時期に離婚しているし(生活もこの家族にとても近い)、結婚して子どもがいる身なので共感出来るかなぁと思ったんですが……淡々と進んでいくので「ふーん」という感じで特に感情を揺さぶられるまではなっていません。それがまた読みやすくもあるかも…。読み手側がそれぞれの立場で色々と感じる事が出来て、その感じ方で価値の決まる作品だと思います。
梓の「私はお父さん達のかすがいになれなかった」という気持ちはよく分かりますが、それは年を重ねていけば薄れていくよ、と伝えたい。
子どもにとって親はいつまでも親で、多感な時期こそ父親母親それぞれの役割りが必要なんだけど、その頃に夫婦仲が冷めきっているというのはリアルだなぁと思います。
無料分を読む限りは樹は諸行無常(変わっていくもの)に勝ちたいと思っているようだけど、自分は年を取っても変わらないつもりでいても環境も人との関係も変わっていく、そこに自分の気持ちがついていけるかなんじゃないかなぁと思いました。
☆5に出来なかった理由として…梓の両親は真面目で常識人、しかも母親は教師なのに、なぜ『娘の受験期』に離婚したのか…耐えきれなくなってしまった、とか色々あったとしても…物語を盛り上げる都合のためだとしても、そこが少し残念でした。
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