4.0
魅力的なキャラが多い。
ベルばらに始まり、フランス革命の話は沢山読みましたが、貴族・平民それぞれの事情が丁寧に描かれているのは、この作品だと思います。
理不尽な処刑のされ方をした人など、グロテスクな描写もありますが、夢中で読んでしまいました。
バスティーユ監獄の長やパン屋の処刑シーンはせつなくなりました。
特にバスティーユの長の娘さんがお父さんを探すシーンは泣けました。
長さんは、仕事を全うして、なるべく血を見ない話し合いをしようとしていたのに見ていて辛かったです。
ただ、貴族だ平民だというだけでの殺し合いは悲しいと思いました。
主人公は途中まで、しっかりとした考えを持ったキャラクターで好感持てましたが、途中で闇落ち?で中途半端なキャラになったのは残念。
逆にジョルジュは、最初は妖艶なサイコパスかと思いきや、段々人間味溢れたキャラクターになってきたのが面白かった。
何と言っても史実の人物たちの描かれ方が良かったです。
他の作品ではルイ16世が不憫な描かれ方でしたが、このルイ16世はカッコ良くて威厳があって、マリーアントワネットともラブラブで実際には良い王様だったことが描かれていて良かった。
他作品で良い人なんだけど、うだつ上がらなかったりモブキャラ扱いされる事が多いけど、この作品はちゃんと値打ちのある王様に描いてくれていました。
マリーアントワネットのキャラも素敵で可愛くて明るくて威勢が良くて、夫と子供を何が何でも守ろうという姿勢が素敵でした。
他作品は、マリーは良い旦那様のルイ16世を差し置いて、フェルゼンとのめくるめく愛の世界ばかりで少し辟易していましたが、このマリーはフェルゼンを利用して、夫の為に王家のために頑張っているのが斬新で良かった。
あと、サンジュストのキャラも他作品と違って冴えない童貞というのに笑った。
他作品では女性と見違えるような妖艶なキャラだったのに普通の常識ある人に描かれていて、そこから冷酷な大天使になった経緯が感慨深い。
そして、ルイ16世とマリーアントワネットの子で王位継承第一位のシャルルくんが救われる結末で良かった。
実際には王太子というだけで、酷い虐待を受けた説濃厚で、本当はこうだったら良いなという結末で良かったです。
他のフランス革命と並べて読むのも面白いし、単独で読んでも良い作品ですね。
- 3