5.0
妖怪と現代
動物園のように妖怪を展示する「妖怪園」を舞台にしたコメディ。
私のような妖怪オタクには素晴らしい拾い物だった。
妖怪園、行きたい。
マジで行きたい。
かつて、水木しげるが「妖怪保護区のようなものを作りたい」と話していた。
時代の変化とともに妖怪は絶滅の危機に瀕しており、保護する必要がある、というのが水木しげるの主張だった。
冗談のように聞こえるが、マジな主張だったのではないかと私は思う。
そして、動物園の役割が、時代とともに、単なる「見世物」ではなく「保護区」も兼ねるようになってきた(パンダなんかはその典型だろう)みたいに、この漫画の妖怪園も、そんな保護区として感じられ、心が温まった。
基本的にはコメディで、それぞれの妖怪にからめた時事ネタの使い方が、実に上手い。
爆笑、というより、微笑みがいっぱい、というタイプのコメディである。
時代が変われば、人も変わる。
妖怪も変わる。
水木しげるが言ったように、現代の夜は明るくなりすぎたし、妖怪たちはもう、江戸時代のような姿では、私たちの前に現れてはくれないだろう。
それでも、妖怪という素敵な存在は、その姿を自在に変えながら、この国で、ずっと生き残っていてほしい。
私はそう思うから、その生き残り方のひとつの形を、この漫画の中に見たような気がして、何だか感動してしまった。
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