5.0
読み返したくなる
江戸時代の吉原のお話。
主人公の朱音は武家出身のお嬢さん。
何者かに両親が暗殺されたのを目撃し、その犯人の手がかりを捜すべく自らの意思で吉原へ身を落とします。
その初日に高利貸しの惣右助と運命的に出会います。最初は疑心暗鬼だったものの、朱音はあっという間に惹かれていきます。
そうして恋愛と犯人捜しを交えつつ話は進んでいきますが、なかなか犯人捜しの方は話が大きくなっていっているように思います。
この手の題材特有の売られて辛く苦しく不幸で地獄のような描写はほぼほぼないです。(時折、厳しいルールのようなものは出てきますが)
そして遊郭が舞台ですが、朱音のベッド(お布団?)シーンもまだありません。
読み進めていき、個人的おススメは第22話、23話のあたりです。そこを観ると第1話からまた読みたくなります。
ああそうだったんだ、だから最初あんな事を言ったのかと。だからあんなに気にかけてくれていたのかと。納得して、そしてなにより胸がキュゥゥンとします。
惣右助の愛情表現はストレートで、朱音が大好きで愛おしくて仕方ないんだろうというのが伝わってくる。
荒々しい自信家に見えるけど、実は優しい。そして強引なのも良いと思います。相手はうぶで多少頑固なツンデレの朱音なので。
作者は男性の表情を描くのが上手だなぁと思います。惣右助の表情が良い。朱音は割合的にしかめっ面や困り顔、涙を浮かべた顔が多いので、その点では時々見せる本当の笑顔は可愛らしい。
他の朱音に近しい登場人物たち(紫、利一、朝明野花魁、真木村先生)もみんな好きです。みんながそれぞれ幸せになってほしい。
身分というものが重視され自由に恋愛などできない時代で、吉原だからこそ主人公2人は想いあい側にいられる。
朱音が親の汚名をそそぎ吉原から出た後も惣右助と一緒にいられる事を望むばかり!
続きが待ち遠しい。
- 273