5.0
彼は誰であろうとなかろうと。
それぞれの想いや人間模様に引き込まれ、一気に読破してしまいました。
各々考えるところも、欲するパートナーも違う。己を貫く難しさや、地方であるが故の温かみと表裏一体の好奇の目。
求める幸せは同じ筈なのに、止むことはない噂。今後ずっと続くだろうこれらに気付きながらも、彼等はすくと立ち上がる。その新芽さながらの潔さ。
右に倣える人が是とされるこの国では、理解の難しい個性は出る杭だ。さぞかし生き辛かろうことは、想像に容易い。しかし清々しさの裏の苦悩を引き連れても。彼等は前を向く。明け方の薄闇に似た、心の覆いを駆使しながら。
彼は誰、と問われれる仄かに暗い明け方。
誰であろうとなかろうと。早朝から暫くの後に訪れる時が、皆等しく。
眩しいものであらんことを。
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