5.0
暴力という「美」
作品の中では強烈な暴力が理不尽に振るわれる。
肉体に不可逆の損傷を与え、精神をも破壊する暴力、性を弄び尊厳を破壊する暴力…
舞台な現代の日本であるのに、中世でもここまで苛烈では無かったであろうという程の「拷.問」が描かれるのだ。
一歩間違えれば現実性が薄れかねない描写だが、これをリアルな恐怖として読者に届けることが出来るのはこの作者の才能だろう。
しかし読後感は不思議と悪くない。暴力は美やカタルシスに昇華され、物語全体からはコミカルさやヒロイズムまで感じられるから不思議だ。
疾走感のあるドラマの中で、非日常の興奮をリアルに味わいたい方にオススメの作品である。
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