4.0
面白い。
よくある不倫ものと違って、はじめから中盤までずっと主人公が旦那のことを好きだったり、旦那とどうにか修復しようと頑張っているところに共感できる。
女として見られたいという本能、でも人生の伴侶にそう思ってもらえない苦悩。伴侶のことが嫌いではないのにそうなってしまう。
主人公のみちにも主人公の旦那にも、相談役の新名さんとその奥さんも、みんな正当なパートナーを思う気持ちはあるのに、どうにもならない。
特に旦那の陽ちゃんのダメさと不器用さにはもどかしい。
陽一はたまに料理を用意したり、みちとの生活においてことさら悪い旦那ではない。
ただ、もう恋愛対象として見られない。しかも子供はまだ。
中盤陽一は気の迷いで浮気をするが、みちを失うのが怖く、一晩だけでその気になった相手を切り捨てるほどにはみちとみちの生活を大切に思っている。
どちらが悪いわけではないからこそつらい。
フランスではできなくなったら離婚するのが一般的だという。(かなり老いるまで行為があるのは当たり前だそうだ。)
このカップルもそうなってしまうのかな。
自分も年々少なくなっていることもあり、それでも旦那以外は考えられない。
ただ、あれだけ頑なに旦那に扉を閉じられた時に、紳士的で悩みも理解してくれる、自分を女性として扱ってくれる人と出会ったらどうなるだろう?
みちはその手を取ってしまった。
なんだか切なくなってしまう。
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