5.0
人の心残り
内容ははっきり言って暗いです。
明るく光がさすような救いもない。
ただ、こういう経験をするかたは、確かにこの日本には存在するのだろうなと思いました。
子供の頃に感じたこと、大切にしていたもの。
当たり前に持っていたもの。
そして抱いた感情。
どれもこれも本人にとっては本物なのに、周りの環境がそれを許さない。
主人公は、幼い頃から思春期を共に過ごした従姉妹を、ケンカ別れしたまま亡くします。
大人になって振り返っても、あの環境から従姉妹を救うのは難しいのだということを、再確認するしかない。
子供だからできなかったわけではなく、大人になったからこそさらにわかる薄暗さです。
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