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作品レビュー
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1 - 3件目/全3件

  1. 評価:5.000 5.0

    無料配信でハマりました。

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    ネタバレ含む。注意。

    無料配信でハマり、一気に読破してしまいました。
    大変面白いお話です。

    怪談累ヶ淵をモチーフにしたお話。

    醜い事が齎す不幸。
    そういう事が容赦無く描かれています。
    累の持つ心の中の闇や憎悪は、 自己否定を心に飼った事のある人には鋭く刺す様に響く事と思います。

    読んでいて思った事は、
    トランプみたい。
    でした。

    トランプというか、 平たく言えば、
    全部カードを押し付けられた人が絶対に負け。 という様なカードゲームなのだな〜と思います。

    皆それぞれが何かが欠けてるのでしょう。
    累は、天賦の演技力を持つけれど、ひたすら醜い。
    ニナは美しいけれど、健康に見放され、
    野菊は美しいけれど、女優、「淵透世」の因果を全て被った。

    誰がババを引くか、 そのババを押し付けてしまう事を可能にしたのが、
    「口紅」 というアイテム。

    これが無ければ、透世や野菊、ニナの様な悲しい人は生まれなかった。

    ただ、だったらば、

    誘や累は、ただ醜いという理由だけで、あらゆる幸福から見放され、肩を竦め、背中を丸めて人目を避け、何とも交わらずに生きるしかない。

    もしただ、顔を貸すだけならば、 交互で使えばいいかなって話なのでしょうが、 人は生きてる限り、自分の人生を自分の望む形で進みたいと願うから、 そういう両立は出来ない。

    累、誘親子の持つ、醜さの中から生まれた情念は、美しい面にこそ映え、妖しく艶やかに光る。

    野菊はその中でも最も多くのババを押し付けられている形で、 本来ならば誘が、累が受けるはずだった全てを、彼女が受ける。
    野菊の母親の願いも彼女に重くのし掛かり、 人並み以上の美貌に恵まれながら、
    それを呪縛と言い、
    恨みにのたうち、憎しみに身を焦がす。
    その辺りも誘の業を野菊が背負っているのかなぁ〜と思います。

    醜い事、 才の無い事、 不幸である事、

    その全てを皆が 目先の誘惑や、鼻面の憎悪や怨嗟に振り回されて、 押し付けあっている…
    幸せを奪い合う、というよりも、 押し付けあってる、という様な印象のお話です。

    怪談累ヶ淵の様に、透世や誘は幽霊でも、 累は幽霊ではない。
    除霊されて、ハイ終わりって話でもない。

    どう収束させるのか…気になります!

    次巻も目が離せないです。
    続きを待ちます。

    • 66
  2. 評価:5.000 5.0

    なかなか…重いです…。

    他レビューでは面白く描いていらっしゃると仰る方がいますが、
    重くならない様に作者がしっかり考え尽くしているけれど、充分に重い雰囲気が伝わるし、夫の亡くなった直後の動揺や葛藤や悔恨や哀しみも相当なものだったと容易に想像出来るものだと、私は思いました。

    今から少しずつ夫の死と向き合い、折り合いをつけて行こうとする過程が待っているのだと思います。
    ここから先は紆余曲折あっても、この本を書く気持ちに至るまでの経緯なので、少しずつ良くなる方に向かうので、安心感を持って読めると思います。
    オカルト等に懐疑的な方には不快な表現があるかも知れません。

    凡ゆる事を含めて、作者にとってはその夫の死との折り合いに必要な事だったのでしょう。

    とても続きが気になる良作です。
    完読後にまたレビューしたいと思います。

    • 52
  3. 評価:5.000 5.0

    良い話です。

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    これは、寓話だと思う。

    これはただ、
    一組の夫婦の長い年月の愛の移り変わりを短縮的に見せた、寓話。

    妻のその美しい容姿を愛する夫。
    美貌が損なわれ始め、
    愛は薄れゆき、
    浮気に走る夫、
    そしてそれを怨み、嫉妬し、また愛を乞う故に若さと美貌を追い求めてしまう妻、
    男と女のどうしようもない性。

    そういう性を全て曝け出し、呪い憎み、全ての膿を出し切って、
    その醜さすらも愛し、認めた時にこそ、
    人の愛情は報われる。

    愛される事を一切求めずに、
    愛している喜びと、相手もまた、愛してくれている奇跡に幸福を感じられる魂が、
    何よりも美しいのですよ、

    と伝える寓話。

    整形の失敗の話や、その治り方などは、寓話なので、そこを作り込む必要など、このお話にはない。

    現代を舞台にしてるだけ。
    多分舞台は何処だっていいのでしょう。
    作者の表現したい事を効率良く見せる為に必要だったから、現代なだけ。

    きっと、読んだ後、
    ホッとした様な…
    喜ばしい様な…
    爽やかな様な…
    炭酸が喉を通り過ぎた後の様な…
    色んな物が複雑に混じる、そんな気持ちになるお話です。


    このお話には他に「チガヤ編」と言うあよの生き別れの妹のお話がある様です。
    もう一人メグリという妹もいる様なので、
    後2編はあるのかと思います。

    どちらも楽しみです。

    あよは声を失い、
    チガヤは視力を失った様なので、
    メグリは聴力を失うのかもしれないな〜とちょっと予想などもしつつ、

    この「醜さと夫婦」という材料で、どんな3種の寓話を聴かせてもらえるのか、
    ベットに入った子供の様な気持ちで読みたいと思います。

    本当に一見の価値ありの良作でした。

    • 31
全ての内容:★★★★★ 1 - 3件目/全3件

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