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作品レビュー
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1 - 10件目/全92件

  1. 評価:5.000 5.0

    血塗れの自意識

    読んでいて気分のいい漫画ではなかったし、人に薦めようとも思わない。
    しかし、これほど壮絶な作品には、ほとんど出会ったことがなかった。

    半自伝的な漫画なのだと思う。
    イメージとして(浅野いにおはこういう形容を気に入らないかもしれないが)、私は太宰治を想起した。
    ちなみに私は、太宰が嫌いである。

    書けない作家の苦悩、というモチーフだと、私は「バートン・フィンク」という映画が大好きなのだが、あれは、コーエン兄弟が作家としての自意識をかなりオブラートというか、創作の衣に包んで提示した作品なのだろうと思う。
    作家はそれで正しいのだと私は思うし、私のそういう趣味みたいなものは、太宰を嫌う理由と無関係ではないと思う。
    だが、本作で浅野いにおがやったことは、その百倍あからさまで、激烈である。
    それは、自意識を作家性の中で表現する、というレベルの行為ではなく、血だらけになりながら紙面に自意識を塗りたくるような営みであったように思う。

    浅野いにおは、この漫画を描きたくて描いたわけではない気がする。
    描くべきだと思ったわけでもない気がする。
    ただ、描くしかなくて、描いたのではないか、と。
    私は、そんなふうに思った。

    ラスト近く、サイン会のシーンで、主人公の漫画に救われたと涙ながらに語る熱心なファンに対して、「君は何にもわかってない」と主人公は言う。
    これほど絶望的で、これほど美しいシーンをほとんど知らない。

    私は何となく、浅野いにおはこういう描き方をしない(ないし出来ない)作家だと思っていた。
    きっと私も、「何にもわかってない」読者の一人なのだろう。
    ただ、浅野いにおが本作で試みたことが、勇気などという言葉では表現できない、命がけの行為であったということだけは、わかっているつもりだ。
    だから、もう、それだけで。
    浅野いにおの試みが、成功したのか、失敗したのか。
    それは作家としての飛翔だったのか、墜落だったのか。
    その是非も価値も、私はもう、問わない。

    • 1
  2. 評価:4.000 4.0

    どうかと思うけど

    「闇金ウシジマくん」本編ではウシジマくんの宿敵と言うべきポジションにいた、滑皮を主人公に据えたスピンオフ作品。
    ラーメンが題材にはなっているけれど、本格的なグルメ漫画というわけではなく、あくまで滑皮のキャラを逆手にとった裏社会コメディみたいなのが基本線で、ラーメンはそれこそ軽い「味つけ」という位置づけ。
    まあ、それはいいのだが。

    ちょっとどうかと思うのは、本作において付与された滑皮というキャラのイメージである。
    というのも、私は「ウシジマくん」本編で、滑皮という人間が嫌いだった。
    理由は単純で、ウシジマくんにひどいことをするからである。
    あの漫画は、主人公のウシジマくん自身が決して「善人」ではないわけで、どこに「悪役」をもってくるのか、というのは難しい問題だったはずだが、それをいとも容易くクリアして見せた滑皮という男は、まさに出色の悪役であった。
    それが、どうだろう。
    このスピンオフで、ちょっと好感度が上がってしまうような気がする。
    感じ方に個人差はあるにせよ、滑皮という男のキャラの変貌ぶりは、いかがなものか、と。

    ただ、そのような難点はあるものの、スピンオフとして原作ファンに嬉しいサービスもあった。
    それは、本編で登場した(往々にして悲惨な末路を辿った)キャラたちの「その後」が描かれている点である。
    暴走族の愛沢、情報商材詐欺師の天生、オサレエンペラーのG10(お前生きてたんかい!)など、原作ファンがニヤリとする出演の数々、こういうのがスピンオフの醍醐味だろう。
    特に風俗嬢の瑞樹の登場は、本編では「ちょっと気の毒すぎないか」と思っていただけに、何だかほっとした。
    天生ハイパーメソッドで一山当ててラーメン屋で成功した愛沢が、店に来た滑皮にラーメンのアピールとか、もう面白すぎる。

    というわけで、根本のところでは難点もありつつ、脇の部分ではなかなか楽しいスピンオフであった。

    • 1
  3. 評価:5.000 5.0

    闘う君の唄を

    死_刑囚となった連続殺_人犯の両親のもとに生まれた三人の姉弟のストーリー。

    まず、主人公たちの造形が素晴らしい。
    両親に殺_人の片棒を担がされた過去を持ち、普通の人生を送ることを諦めている長女。
    彼女が秘める静かな悲しみと強さは、可愛らしいけれどどこか悲しげに見える作画と相まって、切々と胸に迫る。
    一方、長女に守られながら育った次女は、両親の呪縛から逃れ、恋人と新しい家族を築きたいと夢見る。
    次女の明るさは長女と好対照だが、彼女もまた苦しみながら、自らの人生を生きようと必死でもがいている。
    両親の記憶がない長男は、二人の姉との間に自分が立ち入れない領域があることに不満を抱えつつ、俺の人生どうなっちゃうのかな、的に浮遊しているような位置づけだが、この少年のリアリティーも見事だと思う。

    そして、この三人が三人とも、絶対的に互いを愛している。
    自分たちが背負った十字架を確定的なものとして生きる長女は、結果的に二人を縛ってしまってもいるのだが、妹も弟も、「自分の人生」を切望しながら、結局「三人の人生」を捨てずに生きることを決めている。
    それが余計に切ない。

    長女につきまとう記者、あまりに人が出来すぎていて逆に怪しい次女の恋人、SNSで身分を偽って長男に接触する謎の人物など、作品を不穏に盛り上げるアイテムも実によく練られていて、作品の根幹はヘビーだが、サスペンスとしても非常に楽しめるものに仕上がっている点も見逃せない。

    罪という問題に関して、国と文化によっては、宗教が祈りと赦しのシステムとして機能するのだろうが、よくも悪くも、この国にそれはない。
    神なき国における親の犯罪と子が背負う十字架、加害者家族を巡るメディアの報道など、社会派的な一面も作品にはあるのだが、そういう難しい問題は抜きにしても、私はただただ、三人に幸せになってほしい、と願った。
    呪わしい運命を背負って懸命に生きる彼らの人生を、心の底から応援したいと思った。
    中島みゆきの「ファイト!」でも歌ってやりたいと思った。
    ていうか読みながら歌っていた。
    闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう。
    冷たい水の中をふるえながらのぼってゆく三人を待つものが温かな祝福であることを、切に祈る。

    • 16
  4. 評価:4.000 4.0

    醜い大人、美しい覚悟

    漫画として好きになれたわけではなかった。
    だが、いじめを題材にした中で、これほど誠実な作品には出会ったことがなかった。

    いじめが漫画の中で扱われる場合、誤解を恐れずに言えば、それは基本的にエンタメの道具である。
    過酷ないじめからの苛烈な復讐からのカタルシス。
    まあ、それはそれでいい。
    いじめをエンタメだなんて、不謹慎な!というポリコレ派の怒号が聞こえてきそうだが、そんなこと言ったら、ほとんどのミステリは殺_人エンタメだっつーの。

    この漫画は、そういう作品群とは決定的に袂を分かつ。
    本作は作品の中でほとんど何も解決しないし、いじめの被害者と加害者、どちらの味方もしない。
    「いじめられる側の味方」にならなければ、エンタメとしてのいじめ作品は描けない。

    加害者の親、被害者の親、どちらもムカつく、という非難はよくわかる。
    加害者の母親は自身がいじめられた過去から娘への嫌悪感を抑えられず、娘と向き合えない。
    被害者の母親は娘が不登校になったことから加害者への恨みを募らせ、歪んだ復讐心から暴走していく。
    父親たちはどちらも役に立たない。
    教師はもっと役に立たない。
    おいおい大人たち、しっかりしろや、と。
    それは、そうなんだけど。
    いじめを外から眺めている限りにおいて立派なことが言える大人たちも、自分の子どもが被害者に、あるいは加害者になったとき、それほど立派ではいられないのではなかろうか?
    本作が示したかったのは、いじめに直面したときに多くの大人たちが持ち得る弱さであり、醜さなのだと思う。
    その中で、被害者の母親が最後に辿り着く「自分の子どもが絶対に加害者にならないと言い切れるのか?」という気づきは、とても残酷で、でも、素晴らしい。

    犯罪を巡る論議になる度に、必ず見る意見がある。
    「自分の家族が被害者になっても、同じことが言えるのか!」というやつである。
    これ以上ない正論だが、私はその意見が嫌いだ。
    わかりやすいし、破壊力があるが、想像力を停止して反論を封じるだけのずるい意見だと思うからだ。

    悲観的な物言いになるが、いじめがなくなることは多分ない。
    悲しいことに、解決策もないのかもしれない。
    だだ少なくとも、被害者を、そして加害者を、真摯に見つめることによってしか何かが始まることはないのだと、本作から感じたのはそんな覚悟だったし、その覚悟を、私はとても美しいと思った。

    • 3
  5. 評価:2.000 2.0

    これはしょうがない

    主人公は牧師で、連続殺_人犯に息子を殺されて信仰を捨てる。
    色々あってその犯人の娘を養子に迎えることになるのだが、娘は「父親は犯人ではない」と訴える…というようなストーリー。

    牧師の主人公が聖人君子ではなく、生前の息子への接し方など、あくまで弱さや不完全さを持ち、後悔を抱えて生きている、という点はリアルでよかった。
    が、他はマジで何もない。

    重いタイトルが示すような、信仰を巡る葛藤というテーマは全く掘り下げられることなく、ミステリ的な部分はグダグダ、いやもうこれ、相当酷い。
    設定以外のストーリーが何も決まっていない状態で連載が始まってしまったのではないかとすら思った。
    もしかして本当にそうなのか?
    そんなことあんの?

    まず間違いなく打ち切りエンドだけど、これは正直、しょうがないな。
    まあ、ある意味、好きな作品が打ち切られるより、納得の打ち切りの方がずっとマシだ、とも言える。

    • 5
  6. 評価:2.000 2.0

    透けて見える大人の事情?

    霊能力を見込まれて、「死者が通う学校」で教師(でありながら死者たちを成仏させる役割も担う)を務めることになった主人公の話。

    最初に、根拠も何もない陰謀論みたいなものを書いて申し訳ないが、評価が高すぎて、怪しい。
    あまり露骨なことを言うとレビューが消されるような気がするのでやめておくが、【完全独占配信】の謳い文句があって、何か、そういうことなんじゃないの?と勘ぐってしまうくらい、正直、酷かった。

    設定としては悪くないが、展開としては凡庸の一言に尽きる。
    そして、とにかく主人公のキャラが、もう訳がわからない。
    基本線は、愚直なまでに真摯に生徒に向き合う、というキャラなのだろうけれど、いきなり「死者の通う学校」に放り込まれて、校長の「あなたならできる」「あなたの真面目さがいい」とちょっとおだてられただけであっさりその気になっちゃう。
    大丈夫かこいつ。
    変な壺とか買わされるタイプなんじゃないの?と不安になる。
    まあ、百歩譲って順応性の高すぎる善良すぎる人物なのだろう、と思いきや、いじめの果てに殺された生徒の霊と話す中で、突然、復讐の鬼のような形相に変わり、「その恨みを晴らしましょうか。私たちで」などと言い出す。
    あれ?私は何の漫画を読んでたんだっけ?とマジでわからなくなった。
    続いて、誰に教わったわけでもないのに「死導」「狂育的指導」などというパワーワードを振りかざす。
    何なんだお前は。
    しまいには、いじめた生徒たちへの罰として、「生涯、霊の玩具になる」という終わらない悪夢を科す。
    ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムかお前は。

    私の評価と世間の評価が割れることなんかまあ、多々あるし、何の世界でも作品に対する評価というのはそういうものだということは重々承知しているが、いくら何でも、これはおかしい。
    うーん、やっぱり消されるか?このレビュー。

    • 34
  7. 評価:3.000 3.0

    並んで、向き合って

    あまりに頻繁に広告が流れてきて、「ねえ、何で妻は口をきいてくれないのかな!?何でかな!?」と夫に泣きつかれているような気分になり、「うるせえなあ、読んでやるよ」と読み始めた。
    そして一度読み始めると、さすがに謎、というか疑問が解けるまでは読んじゃうじゃんか。
    似たような読者は多かろう。
    とにかく読ませれば勝ち、という商売と考えるならば、まあ、成功なんじゃないの。
    読んだ私の負けである。

    話の前半(というか大半)は夫の視点で進むので、「なぜ妻が」の疑問とそれに対するストレスを読者は夫と共有することになるのだが、正直「いや、お前が気づいてないだけで妻の側にはずっと不満があって、何かのきっかけで糸が切れたんだろ、どうせ」という予想とも呼べない考えはずっとあり、実際そのとおりの内容なので、話としては別に面白くも何ともない。
    まあ、現実的にはこんなもんだろう。

    ちょっと評価したのは、夫と妻の視点、双方を描くことで、「気づかない」夫の愚かさがわかりやすく描かれている点。
    夫の見ている世界と妻の見ている世界は違うのよ、と。
    こういうケースの典型だが、男って本当にね、馬鹿よね。
    (ちなみに私は男性である。)

    あと、これは本質的には作品に対する評価とは無関係だが、私はこの漫画の夫も妻も嫌いである。
    夫については言うまでもない、シチュエーションだけ見れば同情したくなるが、馬鹿すぎる。
    妻については、何であれ、無視はいけないと私は思う。
    それをやるなら別れなきゃ駄目だ。
    別れないなら向き合うべきだ。
    別れるか、向き合うかだ。

    私は私なりに、何年か夫という立場をやってみて、今つくづく思うのだが、夫婦は、本質的には「向き合う」相手ではないと思う。
    横に並んで、歩んでいく、抽象的な言い方になるが、お互いを見るのではなく、二人で並んで、何かを見る。
    二人で見るその景色が、世界が、あまりずれていないならば、多分、わりに上手くいっている夫婦なのだろう。
    (この漫画の夫婦はそれがずれまくっている。)
    ただ、向き合わないといけない瞬間というのは、どこかで来る。
    そういうときに、逃げちゃいけないんじゃないかな。
    少なくとも、一度は愛した相手ならばね。

    • 24
  8. 評価:4.000 4.0

    流石

    私はこの作者を結構支持していて、現代における犬木加奈子の再来なんじゃないかと思っている。
    長編でも連作でもない、まるっきりの短編を読んだのは初めてだったのではないかと思うが、流石であった。

    ホラーにおいて、人間、特に子どもの「入れ替わり系」というのはひとつの話のパターンとしてあるのだが、それを綺麗にひっくり返して、狂気の所在を落としどころにもってくるその様は、シンプルながらもパリッとしていて、「これぞホラーの短編」という趣があり、満足であった。

    • 17
  9. 評価:4.000 4.0

    錦のように、鳥のように

    ざっくり言うと、感情と日常生活に関する知識が欠落した超能力少女が、殺し屋をさせられている、という話。
    主人公の少女は自らの左目(普段は眼帯で隠している)を見た相手を精神世界みたいなところに引きずり込む能力を持ち、その世界において無敵である(映画「エルム街の悪夢」とか、ジョジョ第3部の「デス13」みたいな感じをイメージしてもらえるといいかと思う)。

    舞台は1970年代で、話は毎回、主人公が他の子どもたちと昭和の遊びに興じる前半と、精神世界において残酷にターゲットを葬る後半に分かれている(殺し方には、主人公が前半で学んだ遊びの方法が反映されている)。
    正直、読み始めたときはいささか退屈だった。
    ほのぼのとした前半と、シュールで悪夢的な後半のギャップが魅力のひとつなのだが、「それだけでしょ」と思ったのだった。

    だが、読み進めるうちに、印象が変わった。
    登場人物たちが皆、何かしら痛みを背負っていて、その真摯な描き方に優しさを感じた。
    それは、家庭環境の問題であったり、差別の問題であったりするのだが、ここで重要になってくるのが、時代性である。
    1970年代という時代・社会を生きていた人々の、ともすれば現代の我々からは縁遠い種類の傷が、妙にひりひりと刺さる。
    その時代性、そして普遍性の価値。
    私は昔ブルース・スプリングスティーンが好きで、今でもときどき聴くのだけれど、傷ついた人々に静かに寄り添うこの漫画の立ち位置は、何だかブルース・スプリングスティーンの歌を思い起こさせた。

    ちょっと残念だったのは、おそらく打ち切りで、ラストが駆け足になってしまったことだ。
    ただ、そんな中でも、決して雑にならない終幕と、何よりも、おそらく作者がこの漫画の中で一番描きたかったのであろう台詞、「私の心は私のものよ」という主人公の台詞には、シンプルだけれど、やはりグッときた。

    ぼろは着てても心は錦、なんて言葉がある。
    その言葉の是非はともかく、どれほど困難な世界において、どれほど過酷に生きているのであれ、心だけは、自由であることが出来る。
    だから、心は素晴らしいのだ。
    私はそう思うから、この漫画を全面的に支持する。

    • 4
  10. 評価:1.000 1.0

    感情が死んだ

    ギャグ漫画からゾンビ漫画にシフトチェンジする話。

    私はこういう漫画や映画を「ジャンル崩壊系」と呼んでいる。
    例えば、という例を挙げること自体がネタバレになってしまうので、漫画の具体例を出すのは避けて映画にするが、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」なんかがそうである。
    ちなみにあれも、この漫画と同じで、途中からいきなりゾンビ映画にジャンルが変わる。

    この手法はサプライズを得やすい代わりに、一定のリスクがある。
    上手く決まれば、いい意味で「騙された!」という爽快感をもたらすのだけれど、基本的に人は「そのジャンル」を望んで足を踏み入れているわけだ。
    例えば、「ラブストーリーかと思ったらホラーじゃん!」という作品があったとするが、そもそも、ラブストーリーを手に取る読者はラブストーリーが読みたいと思っているわけである。
    その先行した願望を超えて、「でも、面白かった」と思わせられれば成功だけれど、「いや、ラブストーリーが読みたかったんですけど」と白けられてしまうリスクは常にあるよ、ということだ。
    だから、先の例で言えば、本来ホラーを読みたい人に読んでもらえるのがいいわけだけれど、ホラーを望む読者は一見ラブストーリーに見える作品を手に取らない、というジレンマが生じる。
    「いや、これ実はホラーで」というのはネタバレになるからもうアウトなのだ。
    そういうわけで、色々と難しい手法だと思う。
    それだけに、ジャンル崩壊系の作品を楽しめたときには、他では得られない種類の感慨があったりするのだけれど。

    まあ、色々書いたけど、本作はそういうことを論じられる次元にない。
    私は書くことがなかったから、書いただけだ。

    本当に酷い。
    序盤は一応ギャグ漫画の体裁なのだが、申し訳ないけれど、これがもう、形容の仕様がないくらいつまらない。
    それがただ、ギャグに片足を突っ込んだ状態のまま、これまた絶望的につまらないゾンビ漫画に移行する。

    私は読んでいるうちに自分のあらゆる感情が死んでゆくのを感じたし、だから、ジャンルが崩壊しようが何しようが、サプライズもクソもなかった。
    サプライズというのも感情であるから、感情の死んだ読者となった私には、もはや何も感じられなかった。

    • 6
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