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1 - 10件目/全145件

  1. 評価:4.000 4.0

    適切な怪談

    謎の少年が毎回一話の怪談を語っていく、という漫画。
    一人百物語である。

    正直、お世辞にも上手い絵とは言えないのだが、不思議と引き込まれるものがあった。
    ことホラー漫画に関しては、「上手い・下手」とはちょっと別の次元のところで、ホラーというジャンルに関する「向き・不向き」というものがあると思うので、そういう意味で「向いている」絵なのではないかと思う。

    ストーリーとしては、凝った伏線とか、あっと驚くような展開とか、そういうものはないのだけれど、怪談話というのは本来、いい意味で「この程度」がいいのではないかと個人的には思う。
    シンプルで、論理性みたいなものはなくて、核心のところでは、わけがわからない。
    私はそれが怪談話の品とか節度とかいうものだと考えるし、本作はまさに「そういう」怪談で、なかなか好みに合っていた。

    何が怖いって、タイトルの意味が全くわからないところである。
    語り手の少年も謎だし、これから色々と明らかになっていくのだろうと思うと、単なる一話完結の怪談漫画という制約を超えた楽しみもある。
    しかし、本当に百話続くのかなあ。

    • 2
  2. 評価:4.000 4.0

    情報として

    正直なところ、「漫画」としての面白味というのは、それほど感じなかった。
    クセのある設定の主人公弁護士のキャラクターにも、あまり魅力を覚えなかった。
    ただ、漫画であれ何であれ、書物というものを「情報」として評価する場合、なかなか優れた作品になっているとも思った。

    SNSでの誹謗中傷の被害やそれを巡る法制度、訴訟、裁判、被害者サイドが法的措置に踏み切ることのメリット(現実的にはあまりに乏しいが)とリスク、その選択の意義と、金銭的なプラマイでははかれない価値。
    そういった実情を、私たちは本当のところ、あまり知らない。
    これだけ豊富な情報量を、漫画として一定のポップさを保持したまま、きちんと整理して提示することは、なかなか出来ることではない。

    気に入ったのは、主人公の弁護士が、選択肢を明確に提示した上で、きちんと依頼人に選ばせようとしているところだった。
    「ものを教える」という側面を持つ職業の人間にとって、これは重要な職業倫理であると私は思う。
    つまり、教えることや導くことよりも、選択肢の提示こそが、まずもって重要な仕事である、ということだ。
    こちらの道を選べばこういう危険があるし、あちらの道を行けばこういう痛みを伴う、どちらを選ぶかを決めるのは、あなたですよ、と。
    これは、全く違う作品だけれど、「九条の大罪」にあった「法律の世話はできるが、人生の面倒は見られない」という台詞にも通じるかと思う。

    極めて現代的な情報力を持った、なかなか有意義な作品。
    私は普段、SNSとは縁遠いところにいるけれど、SNSが生活の一部である、というような読者は特に、一読の価値はあるかと思う。

    • 6
  3. 評価:4.000 4.0

    尖った細部

    引っ越した家に座敷わらしが三人(?)住んでいて、それと同居することになったミステリ作家の話。

    話としては、倫理観を微塵も持たない残虐な座敷わらしたちとのドタバタコメディ、という感じで、それ自体もなかなか面白かったのだが、本作の尖ったところは、むしろ細部にあると思う。

    まず、タイトルである。
    B級ホラー映画(というかB級以下なのだが)に通じた読者ならピントときたかと思うが、「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」や「アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ」あたりを意識したものと思われる。
    しかしまあ、ザシキチルドレンときたか。
    このセンス。

    他にも、作中、主人公がやっているソシャゲのガチャのレアキャラが「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスだったり、第一話の冒頭で出てくる引越社の名前が「人間椅子引越社」だったりと、作者は完全に「その筋」の人と思われる。

    いずれも、「そんなの普通、読者に伝わらないだろ」というネタを恐れることなくねじ込む、その心意気やよし。
    ただ、個人的には、もっと「そっち系」で突っ走ってほしかった気もする。

    • 4
  4. 評価:4.000 4.0

    良質な量産型

    パッとしない外見の女性が、自分を捨てて美しい女に走った夫と、卑劣な手段で夫を奪った女に復讐するために、整形して身分を偽り、彼らの前に現れる、という話。

    筋立てだけを見れば、はっきり言って、この数年に限ってもどんだけ量産されてきたんだよ、という類のものであり、オリジナリティーもクソもない。
    だが、なかなかどうして、面白かった。

    理由は明確で、ひとつは、テンポが非常にいいこと。
    だらけず、性急に過ぎず、絶妙だった。

    もうひとつは、登場人物たちの心の揺れみたいなものについて、不自然な部分がほとんどなかったこと。
    つまり、感情表現にリアリティーがあった(設定部分にはちょっと都合がいい部分はあるにせよ)。
    特に、主人公を捨てた男の、「真面目で誠実な駄目人間」という造形のリアリティーは素晴らしい。
    こういう人間は確かにいるのだか、ここまで正確にはなかなか描けない。
    作者は過去にこういうタイプの男に酷い目に遭わされたのだろう、としか思えないほどである。

    シンプルだが、上記の点は徹底されていて、私はぐいぐい読まされてしまった。

    オリジナリティーは重要だが、オリジナリティーだけが能じゃない。
    まあ、考えてみれば、そりゃそうだわな。
    みんながみんなオリジナリティーを持ち得るならば、そもそもオリジナリティーに価値なんかなくなる。
    オリジナリティーをハナから放棄しながら、作品としてはあくまで誠実に、丹念に紡がれた漫画であり、その謙虚さみたいなものは、私は嫌いではなかった。

    • 6
  5. 評価:4.000 4.0

    悪趣味全開エンターテイメント

    賛否あるにせよ、原作の小説は、「こういうジャンル」の先駆者としての功績は計り知れない。

    今となっては、小説よりむしろ漫画の方に向いていたのではないか、という題材でもあり、また、いくら何でもスーパー中学生が多すぎることも、「小説の登場人物」よりは「漫画のキャラクター」としての方が受け入れやすくもあり、楽しく読めた。

    最初は絵柄がちょっと合っていないような気もしたのだが、アクションの迫力はなかなかインパクトがあり、読んでいくうちに、はまっているように感じてきた。

    私はこれが、中学生たちが無意味に不条理に殺し合いをする悪趣味なエンターテイメント、であると思うし、それ以上でもそれ以下でもなく、また、それでいいのだと思う。
    殺し合いを描くことを通じて、逆説的に生きることの尊さをどうだとか、この作品に限っては、そういうことを言い出すのはむしろ野暮だと思う。
    そうではなくて、この悪趣味で無意味な殺し合いを「楽しい」と感じてしまう部分が自分の中に存在しているのだと、それを認めて、受け入れて、楽しめばよいのではなかろうか。
    フィクションである限り、どれほど歪んだものを楽しもうが、自由だ。
    だから、フィクションは素晴らしいのである。
    そんなもの、その人間の本質的な倫理観とは何の関係もない。

    本作からは、「てめえら虫も殺せないみたいな顔しやがって、殺し合いの話を楽しんで読めるような人間のくせに」という読者に対する挑戦的な悪意を感じる。
    そういった毒もまた、フィクションというものの魅力のひとつだろう。
    本作の存在自体が、世の中の綺麗事に対する強烈なアンチテーゼみたいなものだとも思う。

    いやはや、実に悪趣味で楽しいエンターテイメントであった。

    • 3
  6. 評価:4.000 4.0

    異常な表現力

    頭蓋骨に穴を開ける「トレパネーション」手術を受けた男の話。

    手術後、主人公は他人の深層心理みたいなものが視覚化して見えるようになるのだが、その表現が圧巻である。
    水木しげるによる妖怪の表現とか、ジョジョのスタンドの表現とか、「見えざるもの」を魅力的に描ける、というのは漫画の素晴らしい利点のひとつだと思うが、本作のホムンクルスのインパクトも凄まじい。

    ホムンクルスは一貫して不気味でグロテスクな存在として描かれるが、闇雲なグロテスクではなく、人間の本質的な弱さや醜さを具象化しているようで、なかなか巧妙に練られている。
    江戸時代の頃、日本で描かれた妖怪の絵というのは、そこから人情や世相を読み解く「絵解き」の側面があったが、私は本作のホムンクルスを見て、その妖怪画を想起した。

    トラウマとコンプレックス、主体と客体、内面と外面、といった人間存在の根幹に迫るようなアプローチをしている作品だが、そのあたりは難しすぎて、私の頭脳ではキャパを超えてしまった。
    ただ、そういう小難しい話を抜きにしても、普通ではあり得ない表現に成功した漫画として、一読の価値はあると思う。

    途中、ちょっと迷走する期間が長いのは気になったが、考えてみれば、主人公自身が終始迷走しているような漫画なので、それはそれで、作品に相応しいのかもしれない。

    • 3
  7. 評価:4.000 4.0

    絶品シチュエーションコメディ

    同じ作者の「てっぺんぐらりん」を先に読んで、それがあまりに素晴らしくて、こっちに飛んできた。

    江戸の花魁が現代にタイムスリップする、という非常にわかりやすいシチュエーションコメディなのだが、これがまあ、滅法面白い。

    設定としてはとりわけ新しいものではないが、時代のギャップをどう笑いに落としこむか、というセンスが光るのと、一方で、江戸時代の人々が妙に現代に馴染んでしまっている可笑しみもあって、とても楽しく読めた。

    また、主人公の花魁が現代の中で「浮いている」様子が、話の筋としてだけではなく、絵柄としても表現されている、という巧みさには、思わず唸った。
    背景となる周囲の人々と異なり、花魁の姿だけは、浮世絵風の絵柄で描かれる。
    これは非常に漫画的な表現で、映画にも、小説にも、真似が出来ない。

    星をひとつ引いたのは、「てっぺんぐらりん」が超越的に凄すぎたのと、もうひとつは、本作のすぐ後で「女の園の星」を読んでしまったせいである。
    こういう評価はあまりフェアではないと思いつつ、「女の園の星」を通じて、私は、シチュエーションを作りこむタイプのギャグ漫画より、日常の中から笑いを拾う、という種類のギャグ漫画の方が明確に好きなのだ、ということに気づいてしまったのだった。
    そのあたりは当然、本作に責任はない。
    全ての作品の評価には、タイミングという運が関わっており、何もかもを客観的に判断し続ける能力は、私にはない。

    • 2
  8. 評価:4.000 4.0

    ポップなグロテスク

    よくもまあ、ここまで色々と気持ちの悪いものを描けるな、と感心する。
    グロテスクでありながら、実は表現としては結構ポップであって、上手くツボを押さえている。
    細かい描き込みの丁寧さと画力の高さが、それを支えている。

    食糧にされる人間の描写も、悪趣味でグロテスクではあるが、例えばフォアグラをとられるガチョウとか、繁殖を強いられるペットとかのわかりやすいメタファーになっていて、そういう意味では、ちょっと社会派の側面もある。
    相手が人間ではない、というだけで、我々は結構エグいことをやっている。
    それも、生きるために、ではなく、快楽のために。
    そして、その事実を知っても、私は今夜も美味しくフォアグラを食べる。
    そういうのが、人間の残酷なところなのだろう。
    まあ、今日の夕食はラーメンだけど。

    ただ、決してメッセージ性の強い、悪く言えば説教臭い作品ではなく、本線はあくまでスリリングな脱出劇である。

    矢継ぎ早に繰り出される恐怖演出は、「話が見えない」というストレスと相まって、読者をきっちり登場人物たちと同じ地平まで引っ張り込む。

    インパクトのあり過ぎるグロテスク描写が目立つけれど、適度に薫らせた社会派といい、ストーリー展開の妙といい、なかなかバランスに優れた、楽しい漫画だと思う。

    • 1
  9. 評価:4.000 4.0

    禁忌と勇気

    世の中の恋愛には色々な種類のタブーがあるけれども、娘の友達、というのは、読者の生理的嫌悪感を煽る設定としては、最大限に近いそれではないかと思う。

    この漫画に関しては、多くの批判、というか非難を読んだ。
    「いい大人が娘の友達と恋に落ちるのが生理的に気持ち悪い」
    「友達の親を誘っているようにしか見えない女も気持ち悪い」
    「不登校の娘よりも娘の友達との恋愛をとるなんてあり得ない」
    「社会人としても家庭人としても失格である」
    そういう全て、理解できるし、正直、私もそう思う。

    ただ、声を大にして言いたいのは、作中の登場人物が気に入らない、ということと、漫画という作品に対する評価というのは、難しいけれど、ある程度切り離して考えるべきではないか、ということだ。
    これは自戒を込めてだが、私はそう思う。
    人間の愚かさを描いているからといって、その愚かさが気に入らないからといって、作品までもが愚かである、ということにはならない。

    客観的には、理性的には、どう考えても守らなくてはいけないものが他にたくさんあるのに、一時の熱情に流されて全てを失う道を選んでしまうのも、また、人間なんじゃないの、と。
    そして、その熱情から不意に退屈な日常に帰れるのも、また、人間なんじゃないの、と。
    主人公の選択の是非はさておいて、この作品が描こうとしたものは、私は、肯定できる。

    私自身はこの漫画の主人公のような選択をおそらくしないし(あるいは出来ないし)、多くの良識ある読者にとっても、そうなのだろう。
    しかし、そのような人間を頭ごなしに否定することも、また出来ない。
    程度が違うだけで、あるいは種類が違うだけで、この主人公が持つような愚かさと全く無縁で生きている、と言える自信が、私にはないからだ。

    おそらく、この漫画の設定や展開が読者に喚起する反感、嫌悪、軽蔑、そういった全てをとっくにわかっていて、それでも作者は、描いたのだろうと思う。
    それは、いくぶん甘い見方かもしれないが、ひとつの勇気であったのではないかと思う。
    だから、作品として極めてリスキーなタブーに踏み込んだこの冒険の是非を、私は問わない。

    • 4
  10. 評価:4.000 4.0

    認めるしかない

    以前、この作者の「花園メリーゴーランド」という作品に星五つをつけたのだが、はっきり言って私は「花園メリーゴーランド」が全く好きではない。
    好きではないのに星を五つつけた漫画、というのは、そんなにないと思う。

    本作を読んではっきりしたことは、ミもフタもない言い方で申し訳ないが、私はこの作者の漫画が全然好きではない、ということだ。
    しかしながら、この人の漫画の技量は、認めざるを得ない。

    「花園メリーゴーランド」は、前近代的で閉鎖的な村社会における人間たちの姿を描いた。
    本作はさらに舞台が退行(差別的な言い方だが)して、文明ほぼ皆無の島社会である。
    何がすごいって、作者がどんな人生を送ろうが閉鎖的な村社会と島社会の双方を「経験」したはずはさすがにないと思うのだが、どちらも異様なリアリティーと迫力をもって描かれている点である。
    いったいどういう種類の想像力を持ち合わせているのか、マジでわからない。
    何でこんなものが描けてしまうのか。

    「花園メリーゴーランド」も、本作も、表現されていることは、基本的には同じだ。
    それはつまり、人間という存在の、薄汚くて生臭い、綺麗ごとでは済まない生命力みたいなものだと思う。
    作者がそれを肯定しているのか皮肉っているのか、私にはイマイチ、わからない。
    おそらくそのどちらでもなくて、人間というものを、ただ見つめる、というのに近いと思う。

    また、「花園メリーゴーランド」も本作も、一見すると現代社会とは縁遠く見える特殊な社会の人間模様を描くことによって、結果的に、現代社会の本質を照射する、というような、何だか社会学の論文みたいなことを漫画を通じてやっている気がするのだが、そのへんはもう、難しすぎて、私にはわからない。

    いずれにしても、この作者の表現方法というものが、個人的には決して、好きではない。
    それでも、この異常な想像力と筆力は、どういったって認めるしかない。

    • 2
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