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作品レビュー
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1 - 10件目/全147件

  1. 評価:3.000 3.0

    悪の所在

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    前半は、かなり興味深く読んだ。
    夫の浮気に悩む妻の心の微妙な動きが、なかなか繊細に、リアルに、表現されていると思ったからだ。

    (ここからネタバレ)

    しかし、夫の浮気相手が実は妻の友人で、こいつがとんでもない女で、しかも夫は浮気をしてすらいなかった、という展開には、私は冷めてしまった。

    そりゃ、サプライズはあった。
    あったけれど、この女があまりに圧倒的な悪役すぎて、主人公の夫婦は単なる「被害者」みたいな位置になり、漫画の文脈が、変質してしまったように感じた。

    私は、何となく、主人公の夫婦が、お互いの悪を抱えて、それをいかに許し、乗り越えるのか、ということに注目していたのだと思う。
    もちろん、それは勝手な期待なのだが、この展開になってしまうと、もう別の漫画じゃん、というか、何やらそこまで積み上げてきたものが崩れて台無しになってしまったように感じた。
    要するに、裏切られたみたいな気分になったのだろう。

    だってもう、夫婦が乗り越えなくてはならない問題なんて、ハナからなかったってことじゃん。
    悪いのはこの女だけじゃん。
    それがわかった後でも主人公はまた悩むけど、それは、何だかなあ。

    • 815
  2. 評価:3.000 3.0

    現代版「まんが日本昔ばなし」

    ネタバレ レビューを表示する

    SNSを題材にした「転落モノ」の漫画は最近よくあるが、わりに楽しく読めた。

    寒々しいのは、この漫画に出てくる全員が醜い、ということだ。
    インスタで幸せをアピールする妻、ツイッターで愚痴る夫、そして、その両者を見世物として嘲笑う妻の友人たち。
    全員醜悪。
    北野武の「アウトレイジ」という映画は「全員悪人」がキャッチコピーだったが、全員悪人の方が、まだマシである。

    ①幸福を他人の尺度を借りてはかろうとすると、ろくなことはない。
    ②お互いをコントロールしようとするような夫婦は、幸せにはなれない。
    というわかりやすい教訓談であり、変な言い方だが、現代版「まんが日本昔ばなし」みたいな話だと思った。

    他人を極端にコントロールしたがる人間が私は怖いし、出来るだけ関わりたくない。
    だが、そういう種類の人間は一定の割合で必ず存在するし、出会ってしまったら、速やかに逃げるしかない。
    恐ろしいのは、この漫画の夫婦は離婚「しない」だろう、ということだ(少なくとも、しばらくは)。
    妻は、子犬を手のひらで転がしていたつもりが、いつの間にか、悪魔の手のひらの上で踊っていたのだ。
    そして、踊り続けるのだ。
    まあ、結婚する相手をコントロールしようなどとすると、バチがあたるぞ、ということで。

    • 526
  3. 評価:3.000 3.0

    ここまでか、こんなもんか

    主人公の親友がいわゆる悪女で、主人公の好きな男を…という話。

    展開はスピーディーでテンポよく読めるが、ちょっと性急に過ぎる気もする。
    このあたりは、賛否あるだろう。

    悪女の造形も、好みが分かれると思う。
    悪女だけどしたたかで魅力的だ、とか、悪女を演じているけれど健気だ(ピンとこない方は中島みゆきの「悪女」という曲を聴いて下さい)、とか、そういう女ではなく、要するに、ただ顔が可愛いだけの嫌な女である。

    しかし、その「ただ顔が可愛いだけの嫌な女」に引っかかるのが、男というものなのだ、残念ながら。

    「カジノ」という古い映画の中で、シャロン・ストーンがたいそうな悪女を演じており、ロバート・デ・ニーロ演じる主人公が、その虜になる。
    私の妻はそれがどうしても理解できないと言っていた。
    何であんな女に引っかかるのか、と。
    私は、男は阿呆だから、「何であんな女に」という女に引っかかるものなのだ、と解説したが、「あなたもそういう女に引っかかるのか」と妻の機嫌を損ねただけだった。

    何が言いたいのかというと、私は、男の愚かさをよく自覚しているつもりだ、ということだ。

    だが、その私であっても、この漫画に関しては、さすがに「男はここまで阿呆だろうか」と首をひねった。
    いくら何でも、十五のガキじゃあるまいし、悪女のこんなに露骨な策略にはまるだろうか。
    うーん。
    でもまあ、こんなもんかなあ、男は。

    • 75
  4. 評価:3.000 3.0

    その復讐はもはやギャグ 

    いじめが原因で命を落とした兄、それをきっかけに崩壊した家族。
    その復讐を果たすため、優等生だった兄になりすまして高校に入った不良の弟の壮絶なリベンジが…などと書くともっともらしいが、いや、兄が死んだのばれてないんかーい。
    とか、全国模試で上位にいるような優等生の兄が、不良の巣窟みたいな高校に通ってたんかーい。
    とか、もう、設定段階からゆるゆるである。

    復讐の舞台となる高校も、フリーザみたいな不良のボス(こいつがなぜか敬語でしゃべるものだから、余計にフリーザを彷彿とさせる)がいて、やれ親衛隊だの、やれナンバーズだのと、今どきRPGでもやらないんじゃないかという設定具合で、シリアスな復讐物語、という作品の方向性は完全に死んでいる。
    これをギャグでやっているならハイセンスだが、大真面目だから、寒い。

    個人的な加点ポイントは、絵だ。
    賛否あるだろうが、「雑なデッサンをカラーにした」という感じのザラッとした絵柄は、なかなか魅力的に映った。
    逆に言えば、この絵を受けつけない読者にとっては、本作を読む価値は皆無に近いと思う。

    ただ、主人公の復讐劇が、基本的に暴力を行使するものである以上、殴るシーンに全く迫力がないのは、いささか致命的に思われた。

    • 56
  5. 評価:3.000 3.0

    腑に落ちないところも

    原作は、新書。
    少年院に収監される少年たちの中に軽度の知的障害を持つ者が多いことに着目して、認知能力を改善するためのプログラムの必要性を論じた本であるらしい。
    (申し訳ないが、未読。)

    作品の性質上、当然と言えば当然だが、少年院の少年(女性も含む)たちの記録が、淡々と綴られる。
    だが、退屈という印象はなく、不思議と読ませる。
    このあたりは、この漫画家の特質かもしれない。
    決して「上手い」絵ではないが、なかなか豊かな表現をする。

    また、この漫画の作者は、他の作品も含めて、エンターテイメントのための過剰な演出はしない、と心に決めているような印象を受ける。
    賛否あるだろうが、私は、その姿勢を支持している。
    「現場」をリアルに描こう、という志は、この人のどの作品でも徹底されており、大したものだと思う。

    気になった点は、二つ。
    ただし、どちらも原作段階の問題であり、漫画の問題ではないのだが。

    ひとつは、タイトル。
    個人的には、好きになれない。
    新書を売るためにインパクトのあるタイトルを、というのはわかるし、事実、それが成功して本は売れたわけだ。
    しかし、穿った見方かもしれないが、「ケーキを3等分することも出来ないんでっせ、ヤバくない?」というような、少年たちの知能の異常性を見世物的に扱ったような印象を受けて、ちょっと、首を捻った。
    作品の中身を見れば、全くそんなことはないのだけれど。

    もうひとつは、「軽度知的障害」という設定だって、所詮は誰かが決めた恣意的なボーダーなんじゃねえの、ということだ。
    少年犯罪と認知能力の間には相関性があり、認知能力の改善が非行の抑止になり得る、という原作の主張に基づいて、この漫画は描かれている。
    しかし、その根本のところを、私はイマイチ信用できなかった。
    それは事実であるかもしれないが、事実の一部でしかないと思うからだ。

    例えば、少年犯罪と、残酷な描写のあるホラー映画の影響が結びつけられる、というのとそう変わらないレベルの、眉唾物の話だと言ったら、さすがに失礼だろうか。
    こんな考えは希望がなさすぎるかもしれないが、ホラー映画を見て凶悪犯罪に走るような人間は、別にジブリを見たって同じだろ、と私は思う。
    ちなみに私は、残酷な描写のあるホラー映画、大好きですけどね。

    • 41
  6. 評価:3.000 3.0

    忘れられた設定

    オーソドックスな復讐モノで、特筆すべき点もないが、派手な破綻もなく、わりに丹念に作られている印象は持った。

    ただ、ちょっと気になるのは時代性で、「昭和30年」という設定には首を捻った。
    時代を感じさせる描き込みみたいなものはほとんど皆無で、舞台が現代であると言われても何の違和感もない。
    つまり、昭和30年をまるで描けていない、ということになる。
    というか、作者もその設定、忘れてないか?
    登場人物の一人が「私の株は爆上がりだわ!」とか言ってるし。
    昭和30年に「爆上がり」はないだろう。

    おそらく、舞台となる島が、名家の娘一人に実質的に支配されている、という前近代的な共同体の存在に説得力を持たせるために、時代設定を現代から外したのだろうが、それならそれで、もっとちゃんとしてくれ、という気にはなった。

    • 34
  7. 評価:3.000 3.0

    物足りなさの理由

    主人公は十分すぎるくらい同情に値するし、ストーリーもシンプルで端正で、読む側としては「やっちまいな!」という復讐モードには入りやすい。

    しかし、私はどうにも入り込めなかった。
    なぜだろう、と考えて、多分、主人公が普通すぎる、というか、まともすぎるからではないかと思った。

    当たり前のことだが、本当の復讐には多大な労力がかかる。
    相手が手強ければ尚更だ。
    時間とコスト、だけではなく、自分の人格や人生そのものをある程度は犠牲にしなければ、復讐に生きるなんて、無理だ。
    私はそう思う。
    「いたってまともな」女の子が、復讐なんて出来るわけがない。
    一見まともに見えたとしても、少なくとも一定量は、悪魔に魂を売り渡さなければ。
    そういう影も闇も、この漫画からは感じられなかった。

    • 33
  8. 評価:3.000 3.0

    作品と背景と

    鬼に魂を売って生き延びることを選んだ少年の物語。
    「幽★遊★白書」+「寄生獣」、というと、まあまあわかりやすいかと思う。

    決して退屈したわけではないが、登場人物の感情表現はいささか紋切り型で、特にモノローグについては、稚拙、という印象が拭えなかった。

    巻末の文章で、作者の親友が集団暴行によって命を落としたことが、本作の着想のきっかけになったことを知った。
    作者がこの作品にどんな思いを込めたのかも知った。
    だが、この点に関しては、私は作品の評価からは完全に除外した。

    作品とその背景というのは難しい問題だが、その背景でもって作品に対する評価を極端に変えることを、私は自分に許可していない。
    例えば、ミュージシャンがクスリをやっていることが判明してその曲を聴かなくなるとか、そういうのが私は嫌いだ。
    作品は、作品だ。
    どんな聖人君子が崇高な決意のもとに描いた漫画だろうが、どんなクズ野郎が適当に描いた漫画だろうが、作品は作品として純粋に評価すべきだ、というのが私の考え方である。

    この漫画が生まれたバックグラウンドには、なるほど、悲劇的なドラマや悲壮な決意があったのかもしれない。
    しかし、突き詰めればそれは、どんな作品にだって、あり得る。
    私たちがそれを知らないだけで。
    例えば、とことん下らないギャグ漫画を描いている作者の秘めた決意など、私たちが知る機会は基本的にない。

    作者が作品の背景を語ることを、否定はしない。
    仮に私がこの作者と同じ立場だったなら、やはり、書いたのではないかとも思う。
    しかし、思うのだ。
    本当に語りたいことは、作品の中で語るのが、作者の本分ではなかろうか。
    その意味で、この漫画がそれほど雄弁なものになり得ているとは、私には思えなかった。

    • 27
  9. 評価:3.000 3.0

    並んで、向き合って

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    あまりに頻繁に広告が流れてきて、「ねえ、何で妻は口をきいてくれないのかな!?何でかな!?」と夫に泣きつかれているような気分になり、「うるせえなあ、読んでやるよ」と読み始めた。
    そして一度読み始めると、さすがに謎、というか疑問が解けるまでは読んじゃうじゃんか。
    似たような読者は多かろう。
    とにかく読ませれば勝ち、という商売と考えるならば、まあ、成功なんじゃないの。
    読んだ私の負けである。

    話の前半(というか大半)は夫の視点で進むので、「なぜ妻が」の疑問とそれに対するストレスを読者は夫と共有することになるのだが、正直「いや、お前が気づいてないだけで妻の側にはずっと不満があって、何かのきっかけで糸が切れたんだろ、どうせ」という予想とも呼べない考えはずっとあり、実際そのとおりの内容なので、話としては別に面白くも何ともない。
    まあ、現実的にはこんなもんだろう。

    ちょっと評価したのは、夫と妻の視点、双方を描くことで、「気づかない」夫の愚かさがわかりやすく描かれている点。
    夫の見ている世界と妻の見ている世界は違うのよ、と。
    こういうケースの典型だが、男って本当にね、馬鹿よね。
    (ちなみに私は男性である。)

    あと、これは本質的には作品に対する評価とは無関係だが、私はこの漫画の夫も妻も嫌いである。
    夫については言うまでもない、シチュエーションだけ見れば同情したくなるが、馬鹿すぎる。
    妻については、何であれ、無視はいけないと私は思う。
    それをやるなら別れなきゃ駄目だ。
    別れないなら向き合うべきだ。
    別れるか、向き合うかだ。

    私は私なりに、何年か夫という立場をやってみて、今つくづく思うのだが、夫婦は、本質的には「向き合う」相手ではないと思う。
    横に並んで、歩んでいく、抽象的な言い方になるが、お互いを見るのではなく、二人で並んで、何かを見る。
    二人で見るその景色が、世界が、あまりずれていないならば、多分、わりに上手くいっている夫婦なのだろう。
    (この漫画の夫婦はそれがずれまくっている。)
    ただ、向き合わないといけない瞬間というのは、どこかで来る。
    そういうときに、逃げちゃいけないんじゃないかな。
    少なくとも、一度は愛した相手ならばね。

    • 24
  10. 評価:3.000 3.0

    裏社会モノについて

    「ウシジマ君」のヒット以来、こういう「裏社会もの」の漫画は一気に増えた印象があるが、その大体が「ウシジマ君」に遠く及ばないのは、作品の中で「哲学」を提示できていないからではないかと思う。
    陰惨な裏社会の世界観を描くことは、ある程度の技術があれば、多分できる。
    だってそんなもの、現実にあるんだから。
    本作も、そうだった。
    けれど、その中で漫画のキャラクターが生き抜く様を魅力的に見せるのは容易ではない。
    現実の世界観のインパクトに、漫画のキャラクターの魅力が負けてしまっては、漫画の意味なんかない気がする。
    そうならないためには、半端ではなく恐ろしい現実に立ち向かうだけの強い哲学がなければいけない。
    が、難しいよな、そんなの。
    あらためて、「ウシジマ君」はすごいと思った。

    • 16
全ての内容:★★★☆☆ 1 - 10件目/全147件

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