4.0
少女&推理
普段、少女漫画を読まない。
が、結構引き込まれて、一気に読んでしまった。
おそらく、少女漫画の読者層にも、推理漫画の読者層にも受け入れられる、そういう意味では、とてもバランスのとれた作品。
私のようなすれた人間は、正直、登場人物たちが眩しすぎてちょっと気後れしたし、物語の核心のところにはもう少しひりついたリアルなものがあってほしかったのだけれど、それは、この漫画に求めることとしては、間違っている気もする。
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普段、少女漫画を読まない。
が、結構引き込まれて、一気に読んでしまった。
おそらく、少女漫画の読者層にも、推理漫画の読者層にも受け入れられる、そういう意味では、とてもバランスのとれた作品。
私のようなすれた人間は、正直、登場人物たちが眩しすぎてちょっと気後れしたし、物語の核心のところにはもう少しひりついたリアルなものがあってほしかったのだけれど、それは、この漫画に求めることとしては、間違っている気もする。
基本的な作品のトーンは前作と同じで、相変わらず面白いのだが、一話のエピソードの尺は半分くらいになっており、その点は好みが分かれるかと思う。
よりサクサク読めるようになったという良さもあるが、そのぶん、キャラクターの掘り下げは浅くなり、重みのあるパンチはなくなった気もする。
個人的には、「新」ではないバージョンの方が好きである。
作者の引き出しの豊富さに驚いた。
ミステリとしていわゆる「本格」の域ではないけれど、それを求めてこの漫画に手を伸ばす読者はほとんどいないだろう。
むしろ、意外にちゃんとミステリしている、という印象だった。
緊張感に溢れるゴリゴリのミステリではなく、一風変わった軽快なミステリである。
この作者は、漫画としての「ちょうどよさ」みたいなものをよくわかっている気がする。
このミステリの「軽さ」にしてもそうだし、絵柄にしてもそう。
疲れずに心地よく読める。
それこそ料理じゃないが、さじ加減が絶妙である。
ただ、欲を言えば、最初の「エピソードゼロ」的な話は、もっと後半に持ってきたほうが、構成としてはパリッとしたようには感じた。
個人的に、都市伝説の類は非常に好きである。
漫画としては、都市伝説を上手に広げて、ストーリーにした印象。
既存の都市伝説だけでなく、オリジナルも入っていて、新鮮味はある。
各エピソードにはちょっとしたひねりが加えられていて、退屈せずに読めた。
ただ、安心して読める反面、都市伝説に対するあっと驚くような新解釈や、ぞっとするような「踏み込み」には乏しく、もう少しおどろおどろしいものが読みたかった気もする。
あくまで、都市伝説をモチーフにした、ライトなホラー、という位置づけか。
個人的な好みの問題だが、復讐をする人間には、毅然としていてほしい。
加害者への共感や善悪のボーダーなど、振り切る覚悟がなければ、復讐なんて出来ないし、するべきでもない、と思う。
色々なものを飛び越えたり踏みにじったりして至る復讐の境地っていうのは、もっと、静かなものなんじゃないのかな。
例えば「善悪の屑」みたいに。
そういう意味では、「復讐者になりきれない復讐者」が本作の魅力なのかもしれないが、私はそこをうまく評価できなかった。
客観的に見ると、なかなか残酷な話ではある。
が、作品としては、とても救われている印象がある。
その理由は、単純だが、子どもの可能性、というものを、静かに、きちんと描いているからではないかと思う。
これほどの悲しみと、これほどの希望に満ちた「また会おうね」を、私は他に知らない。
ほとんど出オチのような設定勝負の漫画であり、「やったもん勝ち」的なところはあるけれど、その設定を実に巧みに活かしきっている。
このあたりはもう、センスと言う他にない。
滅茶苦茶な設定でありながら、そこから紡がれる話は決して滅茶苦茶ではなく、まるで極道そのもののように、一本筋が通っている。
そういう意味では、パリッとした、実に清々しいギャグ漫画である。
最近の個人的な「ぬ~べ~」ブームにより、オリジナル、「いずな」、「NEO」、そして本作、と読んできたけれど、この「S」は、ちょっときつかった。
オリジナルへの思い入れがあるせいか、「NEO」まではともかく、本作は正直、「これってぬ~べ~である必要あるのか?」と感じてしまった。
そろそろネタ切れの感もある。
まあ、私が「ぬ~べ~」を連続して読みすぎたせいかもしれない。
風変わりな精神科医の主人公が、患者の深層心理を解き明かす、的なサスペンス。
正直、この題材を扱うにしては、勉強不足。
ちょっとかじったレベルの心理学、精神医学を漫画に「取り入れた」程度で、素人目に見ても、さすがに浅すぎるし、リアリティーも何もあったものではない。
別に精神医学に限らないが、ある程度専門性の高い分野に踏み込む漫画には、もうちょっとちゃんとしてくれ、と思う。
「闇金ウシジマくん」本編ではウシジマくんの宿敵と言うべきポジションにいた、滑皮を主人公に据えたスピンオフ作品。
ラーメンが題材にはなっているけれど、本格的なグルメ漫画というわけではなく、あくまで滑皮のキャラを逆手にとった裏社会コメディみたいなのが基本線で、ラーメンはそれこそ軽い「味つけ」という位置づけ。
まあ、それはいいのだが。
ちょっとどうかと思うのは、本作において付与された滑皮というキャラのイメージである。
というのも、私は「ウシジマくん」本編で、滑皮という人間が嫌いだった。
理由は単純で、ウシジマくんにひどいことをするからである。
あの漫画は、主人公のウシジマくん自身が決して「善人」ではないわけで、どこに「悪役」をもってくるのか、というのは難しい問題だったはずだが、それをいとも容易くクリアして見せた滑皮という男は、まさに出色の悪役であった。
それが、どうだろう。
このスピンオフで、ちょっと好感度が上がってしまうような気がする。
感じ方に個人差はあるにせよ、滑皮という男のキャラの変貌ぶりは、いかがなものか、と。
ただ、そのような難点はあるものの、スピンオフとして原作ファンに嬉しいサービスもあった。
それは、本編で登場した(往々にして悲惨な末路を辿った)キャラたちの「その後」が描かれている点である。
暴走族の愛沢、情報商材詐欺師の天生、オサレエンペラーのG10(お前生きてたんかい!)など、原作ファンがニヤリとする出演の数々、こういうのがスピンオフの醍醐味だろう。
特に風俗嬢の瑞樹の登場は、本編では「ちょっと気の毒すぎないか」と思っていただけに、何だかほっとした。
天生ハイパーメソッドで一山当ててラーメン屋で成功した愛沢が、店に来た滑皮にラーメンのアピールとか、もう面白すぎる。
というわけで、根本のところでは難点もありつつ、脇の部分ではなかなか楽しいスピンオフであった。
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