4.0
死者を抱えて
子どもの頃、従姉の家に大量にあった、今はなきホラー漫画雑誌で読んだ。
当時、私は何となく、この漫画が苦手だった。
この漫画の持つ、何となくもの悲しい空気が、ホラーとは別の意味合いで、怖かったのだと思う。
大人になって読み返してみて、この漫画で描かれている悲しみというのは、死者を抱えて生きることの悲しみではないか、と思った。
そして、その悲しみは、この漫画の主人公のように、霊を見ることの出来る人間だけが背負う悲しみではない。
私たちの誰しもが、いずれは、死者を抱えて生きるしかないからだ。
そういう意味では、特殊な能力を持つ人間を主人公にしながら、とても普遍的なことを描いた漫画である、と言えるかもしれない。
幼い私には、いつかは自分も死者を抱えて生きてゆかなくてはならないのだ、という真実は、いささか重すぎたのかもしれない。
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