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作品レビュー
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321 - 330件目/全499件

  1. 評価:2.000 2.0

    漫画と媚び

    ちょっと閉じ込められたくらいで、登場人物たちがいくらなんでも正気を失いすぎ、という点には、まあ、目をつぶろう。
    しかし、「監_禁嬢」にしても「骨が腐るまで」にしても、こんなに性的な描写に走る必要があるのか?とどうしても引っかかってしまう。

    漫画だから、読者を楽しませようとするのは当然かもしれない。
    でも、ワガママなことを言わせてもらえば、漫画は、読者に媚びないでほしい。
    もっと正々堂々とやらんかい、と思ってしまう。

    私はエログロを否定する気は全くない。
    エログロ、大いに結構。
    しかし、それをむやみに「客寄せ」みたいに扱うのは、エロに対してもグロに対しても読者に対しても、不誠実ではないかと思う。

    • 5
  2. 評価:4.000 4.0

    古きよきホラーへの回帰

    幼い頃に、「トラウマ覚悟」みたいな気持ちで読んでいた、古きよきホラー漫画を思い出させるタッチ。
    グロ描写やダイレクトなオカルト描写にも迫力があるが、感心したのはむしろ「普通の」描写で、雨の降りしきる山中、謎の老人の暮らすテントの中、そして図書館、そういう何気ないシーンの薄気味悪い描写力が、「これぞホラー」という一級品である。

    主人公の二人の子供は、可愛らしく、カッコよく、幼い時代に読んだらもっと夢中になれたに違いない。

    正直、「話」としてはもう一歩のところもあり、ホラーとして捻りの効いたサプライズや、「なるほど」という含蓄があれば、大傑作になっていたのではないか。

    それにしても、タイトルが素晴らしい。
    大人がいくら止めたところで、子供たちはいつだって、闇夜に遊ぶ。
    そして、大人の決して踏み込めない、闇夜の中の、そのまた真っ暗闇を覗き込む。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    繰り返しの是非

    悪く言うと「同じこと」の繰り返し。
    だが、それでも退屈させないのは、よくあるサバイバル系のホラーを基軸にしながら、上手に推理モノの要素を取り入れているからだと思う。

    ただ、話の性質上、「生き残れるか」という本来最大の焦点になるはずの部分に緊迫感が欠けるのは、ちょっと気になった。
    何しろ、基本は何度でも「繰り返す」わけで。
    ただ、「助かるとわかっていても怖い」描写には成功しているとは思う。

    ドラゴンボールも、「生き返れる」ようになってから、急に緊張感がなくなった。
    まあ、関係ないけど。

    • 4
  4. 評価:4.000 4.0

    甦る童心

    子どもの頃、近所の駄菓子屋で一日早く発売される少年ジャンプを待ち望みながら生きていた頃、自分がどんなふうに漫画にドキドキしていたのかを、ちょっと思い出した。
    大人として偉そうに漫画を「評価」するようになるずっと前の、可愛らしい昂りを思い出した。
    そういう作品って、貴重だ。

    • 9
  5. 評価:4.000 4.0

    異次元の挑戦

    登場人物(?)たちの会話のギャグセンスは流石の一言。
    スタートは完全に「いつもの古谷実」かと思いきや、とんでもない異次元に飛んでいきやがった。

    きっと、挑戦だったのだと思う。
    それが今回、成功したとは言いがたい。
    しかし、いつの日か、「あのとき、ゲレクシスがあったから」という作品を、描いてくれるに違いない。
    私は古谷実という漫画家を、そんなふうに信じている。

    • 4
  6. 評価:3.000 3.0

    漫画と年齢

    輪廻転生モノの異世界ファンタジー。

    決して魅力のない漫画だとは思わなかったけれど、絵も、ストーリーも、信じられないくらい頭に入ってこなかった。
    ちょっと申し訳なくなるくらいに。
    例えば三島由紀夫を読んで脱落する中学生のような感じで、私は早々にリタイアしてしまった。

    二十年前なら、違っていたかもしれない。
    残念ながら、この漫画を楽しむには、私は歳をとりすぎたのかもしれない。

    • 4
  7. 評価:4.000 4.0

    消えた風景を

    爆笑するような種類の面白さではなく、懐かしさに心暖まる、という感じのエッセイ漫画。
    若い読者が読んでもいいが、描かれている時代(昭和)からすると、本来の対象年齢はかなり高い(ドンピシャなのは四十代後半くらいか)。
    イメージとしては「ちびまる子ちゃん」に通じるものがあるが、男性読者は、本作の方が共感ポイントは多いかもしれない。

    すごいな、と思うのは、風景の再現度だ。
    これには、二重の意味がある。

    ひとつは、昭和という時代の風景の再現。
    当たり前だが、昭和の風景というのは、今はもう、消えたものだ。
    家屋や町並みや生活用品という意味合いでの風景もそうだし、人間の姿という意味でもそうだ。
    それを、漫画作品のフォーマットの中に的確な精度で落とし込むのは、なかなか出来ることではない。

    もうひとつは、「あの頃の僕ら」という風景の再現度である。
    誰にでも子ども時代はあるし、誰にでも思い出はあるが、特別なイベントではなく、「あの頃」の普通の日々について語ることで、それを作品として成立させるなんてね、無理よ。
    それを可能にするには、普通の日々を普通ではない角度から見つめられる目がなければならない。
    それが遠い過去のものとなれば、単なる記憶力とは別の、子ども時代の記憶を自ら再構築する才覚がなければならない。

    長閑でノスタルジックなエッセイ漫画として、失われた風景を描出することに成功した良作だと思う。

    • 2
  8. 評価:5.000 5.0

    血塗れの自意識

    ネタバレ レビューを表示する

    読んでいて気分のいい漫画ではなかったし、人に薦めようとも思わない。
    しかし、これほど壮絶な作品には、ほとんど出会ったことがなかった。

    半自伝的な漫画なのだと思う。
    イメージとして(浅野いにおはこういう形容を気に入らないかもしれないが)、私は太宰治を想起した。
    ちなみに私は、太宰が嫌いである。

    書けない作家の苦悩、というモチーフだと、私は「バートン・フィンク」という映画が大好きなのだが、あれは、コーエン兄弟が作家としての自意識をかなりオブラートというか、創作の衣に包んで提示した作品なのだろうと思う。
    作家はそれで正しいのだと私は思うし、私のそういう趣味みたいなものは、太宰を嫌う理由と無関係ではないと思う。
    だが、本作で浅野いにおがやったことは、その百倍あからさまで、激烈である。
    それは、自意識を作家性の中で表現する、というレベルの行為ではなく、血だらけになりながら紙面に自意識を塗りたくるような営みであったように思う。

    浅野いにおは、この漫画を描きたくて描いたわけではない気がする。
    描くべきだと思ったわけでもない気がする。
    ただ、描くしかなくて、描いたのではないか、と。
    私は、そんなふうに思った。

    ラスト近く、サイン会のシーンで、主人公の漫画に救われたと涙ながらに語る熱心なファンに対して、「君は何にもわかってない」と主人公は言う。
    これほど絶望的で、これほど美しいシーンをほとんど知らない。

    私は何となく、浅野いにおはこういう描き方をしない(ないし出来ない)作家だと思っていた。
    きっと私も、「何にもわかってない」読者の一人なのだろう。
    ただ、浅野いにおが本作で試みたことが、勇気などという言葉では表現できない、命がけの行為であったということだけは、わかっているつもりだ。
    だから、もう、それだけで。
    浅野いにおの試みが、成功したのか、失敗したのか。
    それは作家としての飛翔だったのか、墜落だったのか。
    その是非も価値も、私はもう、問わない。

    • 1
  9. 評価:4.000 4.0

    ナウでお洒落な推理ギャグ

    真っ当な推理漫画であり、真っ当なギャグ漫画である。
    これは、新しい。

    例えば「金田一少年」にだってギャグ的な部分はあるが、それはあくまでシリアスなミステリという本筋の緊張緩和の役割を果たしているだけ(ときにはそこに伏線があったりもするが)であって、基本、ギャグとしては寒い。
    「コナン君で爆笑した」とかないし、そんなの誰も求めていない。
    本作のように、推理とギャグをきちんと両立させた漫画というのは、稀有な例ではなかろうか。

    ギャグ漫画としての本作の基本線はシンプルで、典型的なボケとツッコミ、漫画内におけるある種の漫才なのだが、絶妙なリズムとテンポによって支えられており、真似できないセンスを感じさせる。
    美麗な作画も相まって、現代的で洒落た推理ギャグに仕上がっていると思う。

    星をひとつ引いたのは、話が進んでからの「VS巨悪」みたいな文脈があまり嗜好に合わなかったためだが、そんなのは些事の範疇に過ぎない。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    醜いものを醜く

    就活に失敗した、いたってノーマルな(まあ結果的にはノーマルじゃなかった、という話なんだろうけど)青年が、裏社会と繋がりのある会社に入社したことで、徐々に悪の道に手を染めていく、みたいな話。

    話の進みはテンポよく、それなりに楽しくは読んだ。
    しかし、根本のところで、私は説得力もリアリティーも感じられなかった。

    ひとつは、主人公の変貌について。
    本作は、「普通の人間が裏社会の闇に触れて堕ちていく」という文脈で主人公の変化を描いているのではなくて、「主人公にはもともとそういう資質があった」という描き方をしている。
    それは「転落」というより「覚醒」に近い。
    それ自体は別にいいのだが、こいつにその「資質」がある、ということを、私はどうしても信じられなかった。
    「普通の人間」が根元的なレベルの価値観を変動させてゆく様を描くのは、とても難しい。
    だからこそ、そこがこういう作品の勝負どころだと思うのだが、「いや、こいつもともと悪の素質あってん」というのは、都合のいい逃げのように見えてしまった。

    また、裏社会のディテールについても、何かと浅い気がして仕方がなかった。
    もちろん、私を含めた読者の多くは、裏社会のことなんか実際には知らない。
    漫画だから脚色も必要だろう。
    しかし、少なくとも「こういうこと実際にあるんだろうな、知らんけど」と思わせるだけのリアリティーは欲しいし、それが満たされているとは思えなかった。

    個人的には、一番決定的に入り込めなかったのは、「醜いものをちゃんと醜く描いていない」と感じたことだった。
    これは単なるの印象の問題だし、上手く言えない。
    ただ、作品の中で醜いものをちゃんと描くというのは、結構勇気の要ることだと私は思っていて、本作はそこから逃げているように感じた次第である。
    まあそのぶん、エネルギーを使わずに気楽に読める、というのはある。
    それをこの種の作品の美点として数えられるかは、何とも言えないのだけれど。

    • 3
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