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作品レビュー
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311 - 320件目/全499件

  1. 評価:4.000 4.0

    「そこそこ」の遠さ

    ダメ人間ばかりの話。
    ただ、その描き方のさじ加減は巧妙で、
    「現実には人間なんてこんなものかもしれない」と、
    「いや、いくらなんでもこれはないわ」と、
    「あれ、ダメ人間にしてはやるじゃん」の間を、登場人物たちは浮遊する。
    リアルな共感性と、漫画としての演出のバランスが秀逸で、小気味良く読める。

    その中で、「そこそこでいい」というトビオのリアリティーがいい。
    この価値観を漫画の主人公に置いたのは、現代漫画のひとつの発明かもしれない。

    しかし、トビオは知る。
    「そこそこ」は、すごく難しい、ということを。
    それは多分、今の時代、多くの若者がぶち当たる壁なんじゃないか。
    この漫画ほど派手にじゃなくても。
    そういう意味では、すごく時代性をとらえた漫画だと思う。

    • 3
  2. 評価:4.000 4.0

    取り合わせの発明

    当たり前のことなのだが、世の中には、本当に色んな漫画の表現があるんだな、と感じた。

    ストーリーはあってないようなもので、アメリカのB級ホラー映画の表面をなぞった程度のものだが、そのB級スラッシャーに、この絵で挑んだことに意味がある。
    例えて言うなら、ディズニーがB級スプラッターのアニメを制作したような感じである。
    もちろんディズニーは、そんなもの、作らない。
    だからこの漫画は、ちょっとした発明なのではないかと思う。

    個人の好みは置いておくとして、漫画の可能性を感じさせてくれる作品に出会えるのは、嬉しいことである。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    君は、ノれたかい?

    ノれる曲とノれない曲って、やっぱりある。
    「ノリのいい曲」だからって、ノれるとは限らない。
    このリズムに、メロディに、ノれる人がいるのはわかるけど、自分はノれない。
    そういうことって、ある。
    それが、好みというものである。
    そんな音楽と一緒で、「ノれれば楽しいんだろうな」と思いつつ、私は、ライブハウスの片隅でしらけているタチの悪い観客のような位置で、この漫画を眺めていた。

    どう考えても「そこまでやる必要あるか?」という漫画だけれど、やりすぎの美学みたいなものがあって、その過剰さに乗っかれれば、とても楽しい作品だと思ったし、無視できないオリジナリティーのある漫画だとも感じた。

    皮肉でも嫌味でもなく、ノれなかった自分が、残念だ。

    • 4
  4. 評価:4.000 4.0

    「子ども」の功罪

    ネタバレ レビューを表示する

    三億円事件の真相には諸説あるが、「過激派を一掃するための国家規模の陰謀」というのは、さすがにやりすぎの感が強く、説得力には欠ける、と個人的には思う。
    まあ、それはいい。

    基本は少年少女の逃亡劇で、個々のキャラクターにそれぞれカラーが出ていて、ハラハラしながら楽しめた。
    時系列を操作するのはこの作者の得意技なのか、「クダンノゴトシ」でもそうだったが、交錯する現在と過去が、よりいっそうスリルを高めていると感じた。

    陰謀渦巻く三億円事件という「大きな」ストーリー。
    その主人公には、普通にいけば、老練な刑事や探偵が相応しいように思えるが、敢えて「小さな」主人公を設定している。
    それによって、多少の無理は出てしまっているが、少年漫画的な盛り上がりを獲得しているとも思う。

    ただ、個人的にどうにもひっかかるのが、二点。
    ひとつは、夏美の関口に対する母性の覚醒。
    高校一年だろ。
    いくらなんでも無理がある。
    もうひとつは、ラストの大和の選択。
    そこで、死のうとするか?
    倫理的に、とかではなく、物語的に、どうにも腑に落ちなかった。
    この二点は、どちらも「子ども」をメインの登場人物にした弊害だと思う。
    夏美の件はもちろん、大和の件も、例えば主人公が「熱心に事件を追うが、どこか死に場所を探しているようにも見える、悲しげな目をした刑事」だったら…まあ、それじゃ全然違う話になっちゃうんだけど。

    • 3
  5. 評価:5.000 5.0

    漫画と映画

    私の大好きな映画「セブン」と似ていた、というか、似すぎていた。
    悪く言えば模倣、よく言えばオマージュ。
    私は、好意的に受け止めたい。
    漫画として、とても面白かったから。

    基本的な作品のトーンやモチーフは「セブン」を踏襲しつつ、パリッとオリジナルな部分も光る。
    そして、ところどころで、とても「映画的な」表現がある。
    特に(ネタバレギリギリだが)、「彼氏」のシーンや「背中」のシーンなんかは、映像化することを念頭に置いて描いたのではないかと勘繰りたくなるくらい、しびれた。
    映画の表現を、漫画に活かす。
    それは、手塚治虫がやったことでもある。

    余談だか、その「背中」のシーンは実写映画版ではカットされており、何やってんだ制作者、とひどく失望した。

    • 2
  6. 評価:2.000 2.0

    漫画と媚び

    ちょっと閉じ込められたくらいで、登場人物たちがいくらなんでも正気を失いすぎ、という点には、まあ、目をつぶろう。
    しかし、「監_禁嬢」にしても「骨が腐るまで」にしても、こんなに性的な描写に走る必要があるのか?とどうしても引っかかってしまう。

    漫画だから、読者を楽しませようとするのは当然かもしれない。
    でも、ワガママなことを言わせてもらえば、漫画は、読者に媚びないでほしい。
    もっと正々堂々とやらんかい、と思ってしまう。

    私はエログロを否定する気は全くない。
    エログロ、大いに結構。
    しかし、それをむやみに「客寄せ」みたいに扱うのは、エロに対してもグロに対しても読者に対しても、不誠実ではないかと思う。

    • 5
  7. 評価:4.000 4.0

    古きよきホラーへの回帰

    幼い頃に、「トラウマ覚悟」みたいな気持ちで読んでいた、古きよきホラー漫画を思い出させるタッチ。
    グロ描写やダイレクトなオカルト描写にも迫力があるが、感心したのはむしろ「普通の」描写で、雨の降りしきる山中、謎の老人の暮らすテントの中、そして図書館、そういう何気ないシーンの薄気味悪い描写力が、「これぞホラー」という一級品である。

    主人公の二人の子供は、可愛らしく、カッコよく、幼い時代に読んだらもっと夢中になれたに違いない。

    正直、「話」としてはもう一歩のところもあり、ホラーとして捻りの効いたサプライズや、「なるほど」という含蓄があれば、大傑作になっていたのではないか。

    それにしても、タイトルが素晴らしい。
    大人がいくら止めたところで、子供たちはいつだって、闇夜に遊ぶ。
    そして、大人の決して踏み込めない、闇夜の中の、そのまた真っ暗闇を覗き込む。

    • 3
  8. 評価:4.000 4.0

    甦る童心

    子どもの頃、近所の駄菓子屋で一日早く発売される少年ジャンプを待ち望みながら生きていた頃、自分がどんなふうに漫画にドキドキしていたのかを、ちょっと思い出した。
    大人として偉そうに漫画を「評価」するようになるずっと前の、可愛らしい昂りを思い出した。
    そういう作品って、貴重だ。

    • 9
  9. 評価:4.000 4.0

    不条理

    「欲を出した人間が地獄に落ちる」的な漫画なのかと思っていたが、全く違った。
    何の非もない一般ピーポーが、喪黒の悪意によって次々に地獄に落ちる話だった。
    何だそりゃ、と思う反面、不条理を描くとはこういうことなんだな、とも思った。
    私たちが慣れ親しんだ「昔話」的な勧善懲悪に対する辛辣なアンチテーゼであり、この時代にそれを平気でやっていたことが恐ろしい。

    • 5
  10. 評価:4.000 4.0

    異次元の挑戦

    登場人物(?)たちの会話のギャグセンスは流石の一言。
    スタートは完全に「いつもの古谷実」かと思いきや、とんでもない異次元に飛んでいきやがった。

    きっと、挑戦だったのだと思う。
    それが今回、成功したとは言いがたい。
    しかし、いつの日か、「あのとき、ゲレクシスがあったから」という作品を、描いてくれるに違いない。
    私は古谷実という漫画家を、そんなふうに信じている。

    • 4
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