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作品レビュー
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21 - 30件目/全499件

  1. 評価:5.000 5.0

    こんなホラーにはきっと二度と逢えない

    金が必要な二人の女子が様々な裏バイトに手を出すのだが、毎回そのバイトがホラーである、という漫画。

    あまりに凄い作品で、脳が何かしらのダメージを受けたような気さえした。
    これ以上のホラー漫画というのを、ちょっと思いつけない。

    恐怖の題材とその語り口も、また、恐怖描写そのものも、オリジナリティーとバリエーションが突出している。
    ホラー漫画は結構読んできたが、どこでも見たことがない、というホラー表現をこれだけ連発された記憶がない。

    それでいて、グロ描写には全く依存していない。
    本作はホラーを「気持ち悪い」にも「痛い」にもすり替えない。
    ただただ、愚直なまでに、あるいは崇高なまでに、「怖い」で勝負しようとし、そして、圧勝している。

    恐怖に殉ずる。
    その気高さと、圧倒的な自信と、技術。

    主人公二人のゆるい雰囲気と、硬質なホラー描写の絶妙なバランスといい、はっきり言ってセンスの塊のような漫画だし、あまりに完成されすぎていて、ホラーとは別の意味で、何だか怖い。
    読む者すら拒絶するような完璧さを感じてしまう。

    この世に、まだ私の知らなかったホラー表現がこれほど豊富にあったことに、そして、それがたった一人の人間によって生み出されているという事実に、私はホラーファンとして、心の底から感動した。

    ホラー漫画が本当に怖かったのなんて、子どもの頃だけだ。
    もうあの気持ちは永遠に戻らない。
    それは、ずっとわかっていた。
    わかっていて、それでも私は、惰性のような愛着だか愛情だかを捨てきれずに、ホラー漫画を読み続けてきた。

    この漫画に感動できたのは、数多のホラーを読み漁ってきたからこそだ。
    これが初めて読んだホラー漫画だったなら、私はここまで深く何かを感じることは出来なかった。

    幼い頃のような恐怖は味わえなくても、何度飽きても失望しても、ホラーを読むのをやめなくて、本当によかったと思った。

    ホラー漫画を読んでそんなことを感じたのは初めてだし、二度とないだろう。

    • 87
  2. 評価:5.000 5.0

    幸福な読者体験

    今更だが、「流行っている殺し屋の漫画」ということ以外、何も知らずに何となく読み始めた。
    結果的には、事前に何の情報もなく読めたことが幸運だったとしか言いようがない。

    全く新しいジャンルに、というか、ジャンル分け不能の斬新さに、度肝を抜かれた。
    何だこれは。

    天性の殺し屋でありながら、一年間のモラトリアムみたいな期間を与えられた男。
    彼を巡って暗躍する魑魅魍魎たちの世界を描いたアンダーグラウンドのリアリティーに溢れるスリリングな作品でありながら、同時に、「ズレた男」の日常を綴る一流のギャグ漫画だった。
    そんなのが完璧に両立するなんて、信じられない。
    読みまくった今でも、信じられない。

    ただ、その根っこは、同じだと思った。
    裏社会のバイオレンス漫画としてのリアリティーを支えているのも、奇妙なコメディとしての抜群の完成度を支えているのも、根っこは、同じだ。
    それは、多分野に対する圧倒的な造詣の深さと、観察力、何より、ヤクザもカタギも超えた、人間に対する理解の深さだと思う。
    いったいどんな人生を送ってきた作者なのだろう。

    個人的に気に入ったのは、主人公が「日常」をとても慈しんでいる点だ。
    殺し屋稼業に生きてきた彼にとっては、私たちにとって当たり前に映る、ともすれば退屈な日常が、特別で、尊い。
    このあたり、普通に生きている今日、同じようにやってくる明日をどう受け止めて生きるか、ということについて、さりげないメッセージが流れているような気もした。
    私は、彼の平和な日常が、いつまでも続いてほしいと願った。
    しかし、一年が過ぎたら殺し屋に戻るのか、という質問に、彼は迷わず、特に何の感情も込めず、そうする、答える。
    それしか出来ないから、と。
    生きてゆくということは、きっと誰にとっても、容易ではないのだ。
    かつて、麻雀の神様が書いていた。
    誰だって、自分の持っている能力と全く無縁で生きてゆけるほどの余裕はないんだ、と。
    そういうことを、この漫画はあくまでサラッと描いている。
    そこがスマートだし、カッコいい。

    嗚呼、何も知らずに読めて、幸せだった。
    ときどき、素晴らしい作品との出会い、プラスアルファで、タイミングという運が重なって、私たちには、とても幸福な読者としての体験がやってくる。
    私にとっては、「ザ・ファブル」が、それだった。

    • 85
  3. 評価:5.000 5.0

    頼むから

    問答無用で一気読みさせる力がある。
    この吸引力は、もう、超一級である。

    基本はいわゆるタイムリープもので、主人公は、無差別の大量殺_人犯として死_刑判決を受けた元警察官の父親の無罪を信じて調査を開始するが、事件が起こる前の時代にタイムスリップして…というストーリー。

    細かく見ていけば、タイム・パラドックス問題みたいな瑕疵は見つかるのかもしれないが、そんなもの、あったとしても、クソくらえである。
    あまりにもスリリングで、サスペンスフルで、リズミカルで、エモーショナルな展開力に、私は無条件降伏するしかなかった。
    参りました。
    すみませんでした。
    と、何も悪いことをしていないのに謝りたくなるくらい、凄かった。

    最新話までノンストップで一息に読んで、完結していないことに絶望した。
    頼むから早く続きを読ませてくれ。

    • 80
  4. 評価:2.000 2.0

    設定の面白さ、底の浅さ

    ネタバレ レビューを表示する

    一言で表すなら、「もったいない」漫画だと思った。

    「消したい感情を消せる」能力、という設定は面白いと思った。
    ネガティブな感情、例えば恐怖だとか怒りだとか嫉妬だとか、そんなもの、感じている最中は誰だっていい気はしない。
    だが、ネガティブな感情やコンプレックスが人間のモチベーションになり得るのはよくある話だ。
    だいたい、負の感情だって欠くことの出来ない私たちの一部なのであって、その一部分だけを都合よく消去しようとすれば、人間はあっさり破綻するだろう。
    そのあたりを、どう広げて、掘り下げて、ストーリーに仕立てるのか、というのが、私のこの漫画に対する期待だった。

    しかし、まあーその掘り下げが浅いの何の。
    「恐怖を失ったら、車に轢かれた」
    「怒りを失ったら、にやにやした何か気持ち悪い人になった」
    「嫉妬を失ったら、アイドルをやる気がなくなった挙げ句、狂信的なファンにバットで殴られた」
    おいおい。
    いくら何でも浅すぎる。

    余談だか、昔ジャンプに「マインドアサシン」という漫画があった。
    主人公は医者で、相手が「消したい記憶」を消せる、という能力を持つ。
    設定がちょっと似ているが、はっきり言って、「マインドアサシン」の方が百倍面白いので、興味のある方は、是非どうぞ。

    • 80
  5. 評価:3.000 3.0

    ここまでか、こんなもんか

    主人公の親友がいわゆる悪女で、主人公の好きな男を…という話。

    展開はスピーディーでテンポよく読めるが、ちょっと性急に過ぎる気もする。
    このあたりは、賛否あるだろう。

    悪女の造形も、好みが分かれると思う。
    悪女だけどしたたかで魅力的だ、とか、悪女を演じているけれど健気だ(ピンとこない方は中島みゆきの「悪女」という曲を聴いて下さい)、とか、そういう女ではなく、要するに、ただ顔が可愛いだけの嫌な女である。

    しかし、その「ただ顔が可愛いだけの嫌な女」に引っかかるのが、男というものなのだ、残念ながら。

    「カジノ」という古い映画の中で、シャロン・ストーンがたいそうな悪女を演じており、ロバート・デ・ニーロ演じる主人公が、その虜になる。
    私の妻はそれがどうしても理解できないと言っていた。
    何であんな女に引っかかるのか、と。
    私は、男は阿呆だから、「何であんな女に」という女に引っかかるものなのだ、と解説したが、「あなたもそういう女に引っかかるのか」と妻の機嫌を損ねただけだった。

    何が言いたいのかというと、私は、男の愚かさをよく自覚しているつもりだ、ということだ。

    だが、その私であっても、この漫画に関しては、さすがに「男はここまで阿呆だろうか」と首をひねった。
    いくら何でも、十五のガキじゃあるまいし、悪女のこんなに露骨な策略にはまるだろうか。
    うーん。
    でもまあ、こんなもんかなあ、男は。

    • 75
  6. 評価:4.000 4.0

    リアリティーと霊感と

    最初は、主人公の「霊感持ち」という設定はどうなんだろう、と思った。
    こういうエッセイ系の漫画は、かなりの部分、リアリティーが勝負なわけで、真偽はともかく、読者が「ホンマかいな」と感じる可能性がある設定は、ちょっと不利なんじゃないか、と。
    しかし、特殊清掃の仕事のリアリティーを描くのと同じタッチで、心霊現象についても淡々と描かれており、不思議と違和感はなかった。

    霊感が本当にあるのかもしれないし、穿った見方をすれば、主人公が抱える妄想か、この仕事に伴う精神疾患の可能性だってある。
    それはわからないが、主人公にとっては「霊」が「現実」なのであって、それを含めて、特殊清掃という仕事のリアリティーとして提示する、という描き方は、これはこれでありかな、と思った。

    • 71
  7. 評価:5.000 5.0

    こっちの台詞

    「女の園の星」が面白すぎて、こっちに飛んできた。

    あまりに素晴らしい才能というのは、もう、私なんかがいちいち言葉にするのも馬鹿らしくなってくるのだが、本作もまさにそういうことで、とにかく黙って「うしろの二階堂」だけでも読んで下さい。
    よろしくお願いします。

    フィクションを作る才能にも色々あると思うのだけれど、この人のそれは「構築する」というようなタイプの才能ではなくて、日常を「切り取る」ということに特化した才能ではないかと思う。
    例えば、優れた写真というのは、結局、目の前にあるものをどう切り取るか、ということになるかと思うのだが、そういう種類の感覚がずば抜けている。

    「女の園の星」のレビューでも同じことを書いたけれど、読んだ後で、自分が生きている日々に対する見方が少し、変わるような、日常をもう少し慈しみながら生きてみようかな、と思えるような、本当に素晴らしい漫画である。

    何だよ、「夢中さ、きみに。」って。
    それはこっちの台詞だっつーの。

    • 63
  8. 評価:1.000 1.0

    マニラの夕日が響かない

    今から五十年くらい前には、ロボトミー手術は精神科において普通に行われていた。
    脳に深刻なダメージを与える危険性が後にわかり、禁止された。

    こんな話がある。
    ある有能なスポーツライターの男が、妹夫婦と口論になって家具を壊して逮捕され、精神病質と診断されて、ロボトミー手術を受ける。
    結果、男は記事が書けなくなり、後遺症に悩まされる人生を送る。
    あるとき、世界的に名高いマニラの夕日を見て、自分の心に何の感動も湧かないことに愕然とした男は、自分がもはや人間ではないと絶望し、ロボトミー手術の問題点を知らしめるために、自分を手術した精神科医を殺そうとして、結果的に、その妻と母親を殺害する。

    私の知る中で、最も絶望的で悲劇的なエピソードのひとつである。
    何も、感じない。
    これほど恐ろしいことが他にあるだろうか。
    誇張抜きで、男は死_刑に処されるよりも残酷な運命を辿ったと思う。
    それをもたらしたのが、ロボトミー手術だ。

    私は、漫画に倫理も道徳も求めていない。
    闇金ウシジマくんをヒーローと考えるような人間である。
    しかし、仮にも「医療」の名のもとに、相手がどんな人間であれ、一方的に「クズ」と断じてロボトミー手術で人格を壊して解決を図るような主人公は、見ていて胸が悪くなった。

    これが「超能力」なら、まだ許せたかもしれない。
    SF漫画の悪役の行為なら、流せただろう。
    だが、ロボトミー手術は、多くの犠牲の上に禁じられた、医療の歴史における人類最悪の過ちのひとつだ。
    それをいとも軽々しく行使する人間を主人公とするような作品は、私はどうしても受け入れられなかった。

    • 67
  9. 評価:1.000 1.0

    勝手にしやがれ

    恋に落ちるのは簡単だが、愛を続けてゆくには努力が要る、と思う。

    その努力が出来ない、したくない、というならば別れるべきだ。
    別れないなら努力をすべきだ。
    どちらかだ。
    結婚は維持する、でも努力はしたくない、いい大人が、阿呆か。
    成績を上げたい、でも勉強はしたくない、という子どもと同じ、というか、それ以下だ。
    腐った根性で家庭にいながら子どもを育てているぶんだけ、大人の方が罪は重い。

    そんな、無責任を超越したような阿呆だから、「離婚してもいいですか?」なんてふざけたことを言う。
    勝手にしやがれってんだ。
    「はい、いいですよー」って誰に言ってほしいんだ。
    それすら誰かに決めてほしいのか。
    自分の人生の全て、誰かのせいにしたいのか。
    まったく、タイトルからして最低だと思う。
    だったら読まなきゃいいじゃないかって?
    そのとおりだ、私が間違っていた。

    だいたい、どういう読者にどういう感情を起こさせることを意図した漫画なのか。
    「あーわかる、うちの夫もこんな感じ、ほんと、離婚したいよねー」という読者の反応を期待しているのか?
    それを考えると、つくづく気持ちが悪い。
    虫酸が走る。
    漫画を読んでこれほど気分が悪くなったことは、多分ない。

    エッセイ風の描き方だが、どうもフィクションらしい。
    だったらなおさらタチが悪い。
    これがエッセイなら愚かなだけだが、フィクションなら、そこに愚かな読者を釣ろうとするあざとさが加わるからだ。
    そんな商売は、ほとんど邪悪と言ってもいいと思う。

    やだやだ。
    もう忘れよう、この漫画のことは。

    • 66
  10. 評価:5.000 5.0

    玉に傷

    少年漫画として、ほとんど完璧だと思う。
    異様な休載の多さを考慮しなければ、私には非の打ち所が見つけられない。
    それを「玉に傷だよね」と笑って許せるかどうか。
    私は、余裕で許してしまう。
    作者がどんなに不誠実でも怠惰でも傲慢でも(本当にそうかは別だけどね)、生まれてくる漫画が、あまりにも素晴らしいから。

    • 66
全ての内容:全ての評価 21 - 30件目/全499件

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