rokaさんのレビュー一覧

rokaさん

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  1. パノラマ島綺譚 へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    うつし世はゆめ よるの夢こそまこと

    江戸川乱歩という人は、色々言い方はあるにせよ、稀代の妄想家であった。
    原作の小説は、乱歩の妄想が肥大し、炸裂し、現実を侵食するような凄みがあった。

    その、文字で綴られた狂気じみた妄想に、果たしてどんな「絵」を与えられるのか。
    漫画としての勝負どころは、そこだったはずだ。
    そして、丸尾末広は、その勝負に勝った。
    乱歩との勝負に、ではない。
    乱歩の世界にビジュアルを与える、という勝負に、勝ったのだ。
    私はこの小説の漫画化として、これ以上のものは望めない。

    「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」。
    乱歩はサインを求められると、決まってこの文句を添えたそうである。
    その信条に寸分違わぬ小説であったし、また、漫画であったと思う。

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  2. 呪いの招待状 へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    「お約束」の拒否

    読み始めると、止まらなかった。
    何ポイント献上したかわからん。
    私がオムニバスを好きなこともあるが、それにしても、毎回、見事な安定感、そしてテンポのよさ。

    何が凄いって、作品として、一貫して冷徹にルールを守っているところだ。
    主人公は依頼人の寿命と引き換えに呪殺を請け負う死神みたいな存在だが、あくまで漫画の主人公だ。
    だから普通は、もうちょっと融通が利く。
    つまり、ルールを破る。
    漫画の展開として、都合のいいことをやる。
    具体的に言えば、「いくら何でもこの人が死ぬのは可哀想だろ」という人は、殺さない、とか。
    言い方は悪いが、「死んでもいい」と読者が感じるようなキャラを、被害者に設定する、とか。
    一度は請けた依頼でも、それが依頼人にとってあまりに悲劇的な結末(例えば勘違いによる呪殺など)をもたらす場合には、それを教えてやってキャンセルさせてやる、とか。
    そういう展開は、基本的に、ない。
    そういう甘さが、この漫画にはない。

    物語としてサクッと感動を演出できるはずの「お約束」よりも、冷徹にルールを守ることを選んでいる。
    そのぶれない姿勢は、作品として、とても美しいと思った。

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  3. ソラニン へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    揺さぶられる

    浅野いにおという作者は、若者の漠然とした不安感みたいなものを描くのがとても上手い。
    その不安感が、時代を反映したものなのか、若者に普遍的なものなのか、個人の問題なのかは、わからない。
    でも、彼らの気持ちは、すごくわかる。

    たとえば、ゆるい幸せがだらっと続くこと、それで満ち足りている気がするんだけど、これでいいんだ、って気もするんだけど、心のどこかでは「本当にこれでいいのかな」って迷いが、「自由」とかいう不確かな魔物の囁きが消えなくて、何かになれる気もして、何にもなれない気もして、何にもなりたくない気もして、だいたい、このゆるい幸せだって、いつ消えるともしれなくて、いつか不意にソラニンみたいな悪い芽が出て、さよならが来るかもしれないじゃん。

    そういう不安感は、彼らのものでもあり、私のものでもあった。
    かつては、という話だ。
    私はいつの頃からか、自然にその場所を抜け出し、ゆるい幸せを守るために生きることを迷わなくなった。
    けれど、かつての思いの名残りみたいなものは、今でも私の中で、ライブハウスの残響のように微かに鳴っていて、それをこの漫画にどうしようもないくらいに揺さぶられた。

    読んだときも、ちょっと泣いた。
    が、翌日、仕事に向かう車の中で、アジアンカンフージェネレーションの「ソラニン」を聴きながらこの漫画のことを思い出して、涙が止まらなかった。
    そんな漫画って、ちょっと凄いな、と思った。

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  4. 刑事ゆがみ へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    だまされた

    本格的な刑事モノかと思って読み始めた。
    ところが、ゆるい絵柄、登場人物たちのふざけたネーミングなどは、完全にギャグ漫画のそれだった。
    (人が転落したマンションの名前が天楽マンションって…)
    だまされた、と思った。

    ただまあ、それこそ振り込め詐欺じゃないけれど、だまされる方もアレか、ということで、しばらく読み続けた。
    そしたら、おいおい、である。
    現代の犯罪の裏側や、警察内部の動きの描写なんかは実に丁寧で、完全に「本格」のそれであった。
    何より、表面的にはふざけた刑事が見せる人間に対する洞察の鋭さと深さ、心に秘めた哀愁、そして犯罪者とのドラマチックな関わりは、クラシックと言って差し支えない完成度で、うっかり感動してしまった。

    何だよこれ。
    二回もだまされた。
    途中でやめなくてよかった。
    こういう変な出会いがあるから、漫画って、いいな。

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  5. 妖怪の飼育員さん へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    妖怪と現代

    動物園のように妖怪を展示する「妖怪園」を舞台にしたコメディ。

    私のような妖怪オタクには素晴らしい拾い物だった。
    妖怪園、行きたい。
    マジで行きたい。

    かつて、水木しげるが「妖怪保護区のようなものを作りたい」と話していた。
    時代の変化とともに妖怪は絶滅の危機に瀕しており、保護する必要がある、というのが水木しげるの主張だった。
    冗談のように聞こえるが、マジな主張だったのではないかと私は思う。
    そして、動物園の役割が、時代とともに、単なる「見世物」ではなく「保護区」も兼ねるようになってきた(パンダなんかはその典型だろう)みたいに、この漫画の妖怪園も、そんな保護区として感じられ、心が温まった。

    基本的にはコメディで、それぞれの妖怪にからめた時事ネタの使い方が、実に上手い。
    爆笑、というより、微笑みがいっぱい、というタイプのコメディである。

    時代が変われば、人も変わる。
    妖怪も変わる。
    水木しげるが言ったように、現代の夜は明るくなりすぎたし、妖怪たちはもう、江戸時代のような姿では、私たちの前に現れてはくれないだろう。
    それでも、妖怪という素敵な存在は、その姿を自在に変えながら、この国で、ずっと生き残っていてほしい。
    私はそう思うから、その生き残り方のひとつの形を、この漫画の中に見たような気がして、何だか感動してしまった。

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  6. マトリズム へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    クスリのない人生

    作品の最初の方は、そこまで特別なリアリティーを感じず、首を捻った。
    言い方は悪いが「報道番組程度のリアリティー」であって、多くの読者が「知っている」範囲の情報の量と質なのではないか、と思ったのだった。

    しかし、読み進めるうちに、見方が変わった。
    この漫画の強みは、「単発」のリアリティーのインパクトではなくて、むしろその「積み重ね」にあるのではないか、と感じた。
    つまり、クスリを巡る様々な人々のリアリティーの、多様さである。
    大学生、主婦、フリーター、教師…色々な社会的立場にある人間たちが、どうやって道を踏み外していったのか。
    そこにあるのは、クスリの危険性や恐怖の問題だけではなく、日々の中で、人がいかに迷い、悩み、苦しみ、悪魔と手を繋ぐに至るのか、という人生の落とし穴の様々な形であって、それを多彩に描き分ける取材量と力量には、感心させられた。
    この漫画で描かれた全ての落とし穴と絶対に無縁で生きられる、と断言できる読者は、おそらく、あまりいないのではないか。

    個人的には、教師の話と、漫画アシスタントの話が好きだ。
    この二つのエピソードを読んで、作品の見方がまた変わった。
    この漫画は、ただ「クスリによって破綻した人生を描く」だけではなく、「クスリのない人生をどう生きるか」ということにも、きちんと向き合っているのだった。

    そこには、当然なら、唯一絶対の答えはない。
    何にもすがらず生きるには、ときに人生は、あまりにハードモードかもしれない。
    ただ私は、この漫画を読んで、クスリに頼らず生きる人生の方が、少しだけ、美しいような気がした。
    それは作品の意図に誘導された、ガキっぽい感想である。
    だが、読者がそう感じ得る作品であるというだけで、クスリを扱った漫画としては、既に成功しているのではなかろうか。

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  7. 名探偵コナン へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    もう「殿堂入り」でいい

    学生時代はとても楽しく読んだし、今読んでも好きなエピソードはある。
    子どもでもついていける明るいトーンでありながら、時々、ギクッとするくらい人間のダークサイドや運命の残酷さに切り込んでくる、妙なバランス感覚が好きだ。
    「金田一少年」のように「復讐」に偏った犯人像ではなく、保身、金銭欲、誤解、奇妙なこだわりなど、動機が多岐にわたるのも見所がある。
    ときには「これ、コナン君だよな?」と思うような哀愁や切なさが犯人に滲む回があり、それが大好きだった。
    個人的には、「クモ屋敷」のエピソードがイチオシ。
    何より、殺/人事件という、一般に健全とは見なされがたいモチーフを、漫画の一ジャンルとして、あり得ないほどポップな地平に押し上げたその功績は、もう「殿堂入り」と言って然るべきではないだろうか。

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  8. 岸辺露伴は動かない へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    アイドルとしての岸辺露伴

    私のアイドル、岸辺露伴を主人公に据えたスピンオフ。

    ジョジョの第4部は、ジャンルとしては「サスペンスホラー」に分類されるそうだが、この短編集は、本編以上にサスペンスホラーのテイストを強く感じさせる。
    荒木飛呂彦の、ホラーに対する思い入れ、そして、岸辺露伴に対する思い入れがシャープに炸裂しており、同時に、シリアスだけどコミカル、というジョジョ(特に4部)のトーンが懐かしくもある。

    ジョジョファン、第4部ファン、岸辺露伴ファン、には必読と言って然るべき良作である。
    その全てに該当する私は、大変楽しく読めた。
    何しろもう、岸辺露伴がそこにいるというだけで、大満足であった。

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  9. セトウツミ へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    ものすごく楽しくて、あり得ないほど美しい

    大人になってからこれほど漫画で笑ったことはなかったし、これほど新刊を待ち望んで日々を過ごしたこともなかった。
    本当に、素晴らしい作品だった。

    まず、「これ」を漫画にした才覚に脱帽する。
    基本的には二人の高校生が河原でだべっているだけという、「こんなの漫画になるのかよ」という題材だが、圧倒的な会話のセンスと、卓越した「間」の表現が、見事に作品を成立させている。
    読んでいるうちに、「こんな漫画ありかよ」という最初の感想は、「これは漫画だから出来たことなのかもしれない」という思いに変わった。
    そういう意味では、およそ漫画らしくない場所から始まって、実に漫画らしい地点に到達した、稀有な作品だと思う。

    私は、毎回げらげら笑いながら、この漫画が終わってしまうことを、どこかで恐れていた。
    青春時代を謳歌する若者が、心のどこかでは、いつかそれが終わることを恐れるみたいに。
    彼らが、「いつまでもこれが続くといいのにな」と思いながら、そして、本当はそれがあり得ないと知りながら、日々を生きるみたいに。

    私は、セトのことが、ウツミのことが、ただただ大好きで、彼らに会えなくなってしまうのが、たまらなく寂しかった。

    けれど、やはり、終わった。
    青春というひとつの時代にも、いつか終わりが来るように。
    ただ、その終わり方というのは、私のあらゆる想像を超えて、それまでこの漫画が積み上げてきたものをある意味で壮大に裏切りながら、これ以外ではきっと駄目だったんだ、と感じさせるような、ものすごく斬新で、あり得ないほど鮮烈なものだった。
    私は、これほど美しい漫画の終わらせ方を、ほとんど知らない。

    私の青春は遥か昔に終わり、この漫画もやはり終わり、けれど、ふと懐かしくなってページをめくれば、漫画の中で、セトとウツミは、いつまでも青春なのだった。
    だから、漫画というのは素晴らしくて、でも、そんなの、ちょっと、ずるいと思った。

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  10. ヘルタースケルター へのレビュー

    評価:5.000 5.0
    埋められない喪失

    漫画を読んでいて、「よくこんなものを表現できるな」と衝撃を受けることがある。
    それは、人間の感情だったり、本質だったり、生き様みたいなものだったり、その美しさや醜さや強さだったり、まあ、言葉で表せないものも多いのだけれど、私がこの漫画から感じたものにもし言葉を与えるなら、それは、人間の、業、ということになると思う。
    善とか悪とか、そういうものを飛び越えて、それを背負って生き抜いてゆくしかない、という種類の、業、である。

    現代を舞台にした漫画を読んだはずなのに、私は、例えば仏教の説話とか、クラシックな寓話を読んだような気持ちになった。
    この漫画には、「特異な」人々も出てくるけれど、特殊の中に紛れもない普遍がある、という作品だと感じた。
    そのような作品こそが、やがてクラシックになってゆく。

    読み終えた後で、作者の岡崎京子が、不慮の事故によって、漫画を描けなくなったことを知った。
    これほどの才能が、どうして奪われなければならなかったのか、私はそこに何の救いも必然性も見出だせなかったし、ただただ、その事実を悲しむことしか出来なかった。
    漫画の世界がこの作者を失ってしまったのだという決定的な喪失感は、程度の差こそあれ、多くの読者にとって、完全には埋まらない種類の空白なのではないか、とすら感じた。
    それほどに強烈な作品であり、非凡な才能だった。

    しばらく前に好きになったバンドの曲に、こんな歌詞があった。

    「繕いもせずに
     産声をあげる赤ん坊のように
     成りたくて 成りたくて
     初めて手にした
     岡崎京子のPinkを理由にするには
     十分過ぎた」

    そんなふうにして、本物は語り継がれ、生き残ってゆく。
    しかし、それをもって何かの救いにするには、私という人間は、未熟に過ぎた。

    3人の方が「参考になった」と投票しています

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