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作品レビュー
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131 - 140件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    毒をもって毒を制す

    学校にはびこる様々な問題を、一見普通の教頭にしか見えない主人公が、ギリギリの(というか完全にアウトの)手段で解決していくストーリー。

    基本的にはシリアスな路線だが、教頭のキャラのギャップが強烈に過ぎ、見方によってはギャグ、という結構きわどいところを攻めていて、なかなか面白い。
    だいたい、「地獄の教頭」って。
    「地獄の門」とか「地獄の黙示録」とかならあれだけど、「地獄の教頭」って。
    それはもう、「地獄先生ぬ~べ~」のノリに近いだろう。

    一説によると、学校の教師が一番やりたくないポジションが「教頭」らしい。
    それくらい、微妙で、わりに合わない役職なのだろう。
    そんなポジションを敢えて主役にもってきたところにも、本作の面白味があると思う。

    • 11
  2. 評価:5.000 5.0

    見事なホラー/記念

    独特で、異色で、それでいて本格的、という見事なホラーだと思った。

    表題作はパリッと筋の通ったサスペンスホラー、「ゴンベさん」はどこか温かみのあるホラー。
    しかし、私は、何といっても「47C6」が怖かった。

    核の部分で、わけがわからなかったからだ。
    「47C6」は、物語になっているようで、なっていない。
    主人公はある種の「納得」を手にするが、読み手にその納得は届かない。

    ホラーって普通は逆だろう、と思う。
    主人公はわけのわからないものに翻弄され、恐怖する。
    だが、読者である我々は、ホラーを俯瞰の視点で見て、ある部分、納得する。
    主人公にはわからないが、読者にはわかる。
    普通は、だ。
    しかし、「47C6」は、全く逆だ。
    主人公だけが、何かを悟り、そこには達観すら見てとれる。
    読者だけが、わからない。
    だからもう、私はただ、恐怖するしかなかった。
    その、作品から拒絶されたかのような読後感は、絶妙に嫌な引っかかりを残し、そして、不思議と魅力的だった。

    わけがわからないということは、本当に恐ろしい。


    さて、個人的なことで恐縮だが、本日、初めてレビュワーランキングで1位になった。
    とても嬉しかったので、このレビューは、その記念を兼ねる。
    この漫画のレビューは誰も読んでいないかもしれないが、票を入れてくれた方々に感謝する。

    別に、何を成し遂げたわけでもないけれど、今日もそこに素晴らしい漫画があって、嗚呼、何ていい日だろう。

    • 10
  3. 評価:5.000 5.0

    揺さぶられる

    浅野いにおという作者は、若者の漠然とした不安感みたいなものを描くのがとても上手い。
    その不安感が、時代を反映したものなのか、若者に普遍的なものなのか、個人の問題なのかは、わからない。
    でも、彼らの気持ちは、すごくわかる。

    たとえば、ゆるい幸せがだらっと続くこと、それで満ち足りている気がするんだけど、これでいいんだ、って気もするんだけど、心のどこかでは「本当にこれでいいのかな」って迷いが、「自由」とかいう不確かな魔物の囁きが消えなくて、何かになれる気もして、何にもなれない気もして、何にもなりたくない気もして、だいたい、このゆるい幸せだって、いつ消えるともしれなくて、いつか不意にソラニンみたいな悪い芽が出て、さよならが来るかもしれないじゃん。

    そういう不安感は、彼らのものでもあり、私のものでもあった。
    かつては、という話だ。
    私はいつの頃からか、自然にその場所を抜け出し、ゆるい幸せを守るために生きることを迷わなくなった。
    けれど、かつての思いの名残りみたいなものは、今でも私の中で、ライブハウスの残響のように微かに鳴っていて、それをこの漫画にどうしようもないくらいに揺さぶられた。

    読んだときも、ちょっと泣いた。
    が、翌日、仕事に向かう車の中で、アジアンカンフージェネレーションの「ソラニン」を聴きながらこの漫画のことを思い出して、涙が止まらなかった。
    そんな漫画って、ちょっと凄いな、と思った。

    • 10
  4. 評価:5.000 5.0

    本当のギャンブル

    本来はタイプの顔じゃないのに、付き合ってしばらくしたら、可愛くて仕方がなくなる、なんてこと、ありますよね。
    何が言いたいのかというと、福本氏の「絵」
    が、その現象と似ている、ということである。

    でもそれは、漫画の世界では、かなりのハンデ戦だ。
    まことに失礼なことを言うが、少なくとも絵を見て「読みたい」と感じさせる漫画では全くないと思う。
    漫画は、雑に言えば、絵と文字だ。
    その絵に、魅力がない。
    正確には、この絵に魅力を感じるのは、読んで、この世界に引き込まれた後の話であり、入り口での魅力ではない。
    そういう「飛車角落ち」のような勝負を漫画という賭場で仕掛け、それに勝利した福本氏は、本当に凄いと思う。

    「そんなギャンブル、ありかよ」と作品の中で何度も感嘆したが、一番のギャンブルは、福本氏が「漫画」を選択したという、その事実ではなかろうか。

    • 10
  5. 評価:4.000 4.0

    切れた糸

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    おぞましい世界観は非常に丁寧に作り込まれていた。
    不穏でおどろおどろしい土着的な日本の「村」の舞台を、ダークファンタジーのフォーマットに綺麗に落とし込んでいると感じた。
    それだけに、終盤の失速と唐突な閉幕はひどく残念だ。
    伏線も回収されぬまま、いくつもの謎を残したまま。
    作品は途端に力を失い、地面に崩れ落ちてしまった。
    まるで、糸の切れた操り人形のように。

    • 12
  6. 評価:2.000 2.0

    ループの意義は

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    ループもの、というよりは、よくある不倫漫画にループの設定を無理に持ち込んだ、という印象が強かった。
    穿った見方をすれば、「これじゃありきたりだから、ループものでいってみますか?」と編集者から提案でもあったんじゃないか、と思うような作品である。

    そんなとってつけたようなループ設定だから、当然、粗も多く、オーソドックスな「死ぬとループする」という設定に加えて、「死を回避できてもループする」という形なのだが、これがさっぱり機能していない。
    死んでもループ、寝て起きてもループ。
    何か、緊張感がない。
    何普通に寝てんだよ。

    他作品の推薦でアレだが、私が読んだ最高のループものは「サマータイムレンダ」である。
    ループものの傑作をお探しの方は、是非。

    • 12
  7. 評価:2.000 2.0

    苛立ちをぶつける

    ハンサムな夫と結婚し、「顔面格差婚」などと陰口を叩かれている主人公。

    正直、登場人物たちに苛立ちばかりが募る話で、まるで入り込めなかった。

    以下、何にムカついたのか、苛立ちをぶつけてレビューは終わる。

    【主人公】
    ・あなたの外見は決定的には醜くないが、その卑屈さは致命的に醜い。何とかしろ。

    ・他人の評価でいちいちフラフラするな。愛を信じるなら、もっと毅然としていろ。

    ・夫に対してやたら引け目を感じるな。何が愛かは難しいが、愛し合うには、平等であるべきだろう。

    ・だいたい、そんなに外見が気になるなら、少しは努力をしろ。グダグダ悩む前に少なくともダイエットしろ。

    【主人公の夫】
    ・お前もお前で昔の恋人にヘラヘラついていくな。潜在的に妻に優越感があるのか、「俺は顔で女を選ばないぜ」というのがアイデンティティーなのか、はたまた単なるブス専なのか知らないが、何にしてもお前は駄目だ。
    いや、別にブス専は駄目じゃなかった、間違えた。

    • 12
  8. 評価:3.000 3.0

    ゴゴゴゴゴ…

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    申し訳ないが、はっきり言って、面白くはなかった。
    登場人物たちの行動が不自然に過ぎて、「嗚呼、これは恋愛に疎い人が描いてるな」という性格の悪い感想が浮かんだ。
    だいたい、浮気の模様をSNSの裏アカウントに綴る既婚の男なんているか?
    まあ、そういう人間がこの世にいてはならないとは言わないが、私はこの時点でいっきに冷めた。

    星をひとつ足したのは、作者の意図とは全く別のところで、妙に笑えたからである。
    ところどころに、何か「ジョジョ」とか「HUNTER×HUNTER」とかの心理戦のシーンみたいな演出が入る。

    読んだ人は、ちょっと読み返してみてほしい。
    例えば、主人公が夫の浮気相手を突然に悟る場面。
    「私の女の勘が言っている」
    このシーンは、「HUNTER×HUNTER」でスクワラというキャラが散るシーンを彷彿とさせる。
    実際、この気づきは唐突極まりなく、主人公が念能力でも使っているとしか思えない。

    あるいは例えば、主人公が急に誘惑されるシーン。
    主人公の夫の浮気相手の夫が、
    「あなたを抱くというメリットがね」などと言っていきなり駆け引きを始めるわけだが、このあたり、背景に「ゴゴゴゴゴ…」という文字を入れたくならないだろうか。
    私はこれが面白くて、「この男ッ!妻の不倫相手の妻に関係を迫るタイプのスタンド使いッ!」とか妄想して遊んだ。
    それくらいしかすることがなかった。

    うーん、恋愛漫画のふりをした、バトル漫画のパロディ風ギャグ漫画にすればよかったんじゃあないか?

    • 11
  9. 評価:5.000 5.0

    騙された私の負け

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    第一話の冒頭は、ある男子生徒が女子生徒に、読者が目を背けたくなるほど悪質ないじめを行っている描写に始まる。
    よくあるいじめ→復讐系の漫画かと思いきや、これがまるっきりのミスリードで、途中から(というか序盤から)完全なギャグ漫画に変貌する。

    実は、いじめていた男の子(主人公)の方が、女の子(ヒロイン)に、いじめることを強要されており、いじめが生ぬるいと、後でヒロインから苛烈を極める暴力でもってお仕置きされる、という設定である。
    なぜ少女がそのような奇行に走るのか、明らかにならないままストーリーは進むのだが(一応、過去にいじめで友達を亡くしていて、それを救えなかった自分を罰しているのでは、と感じさせるような伏線は出てくるが、読んだところまででは何とも言えない。私は「文化祭編」まで読んだ)、その本筋はいったん置くにしても、実にいい拾い物をした、と思える漫画であった。

    いじめというセンシティブな題材を扱っているだけに、これをギャグにもっていくのは不謹慎と言えばまあそうなのだが、はっきり言って私は楽しくてしょうがなかった。
    肝心のギャグ部分が、単純にとても面白かったからだ。

    本作は様々な少年バトル漫画、スポーツ漫画、推理漫画、ホラー漫画、などのパロディに満ちていて、私が元ネタをわかったのはごく一部だと思うが、「少年漫画あるある」を逆手にとったその懐の深さと造形の深さ、センスの良さ、そして、少年漫画への愛情みたいなものには、ほとんど感動すら覚えた。

    何とかいじめをやめて平穏な学園生活に戻りたい主人公、主人公が自分以外をいじめることも主人公以外が自分をいじめることも許さない奇怪なヒロインを始め、新選組に憧れるまるで頼りにならない正義漢、黒板を片手で振り回す本物のいじめっ子、主人公を溺愛する万能サイコ美少女、タフな肉体を持つミュンヒハウゼン症候群少女、と脇を固めるキャラクターたちも可愛くて楽しい。

    そんなわけで、第一話だけ読んでやめない方がいい、と声を大にして言いたい漫画なのだが、最初だけ読んで離脱する読者がないよう、第一話からきっちりネタばらしをしてくる点は実に巧妙で、その大胆さには舌を巻く。
    第一話のサプライズの大きさ、という点では、私が読んだ漫画の中で歴代一位かもしれない。

    星五つはあげすぎな気もするが、これだけ見事に騙されると、もう、私の負けである。

    • 9
  10. 評価:5.000 5.0

    「見える」ってこんな感じ?

    基本路線はホラー・コメディなのだが、主人公はただただ「見えるだけ」であり、ただただ「見えないふり」をするだけである。
    この「全力で見えないふりをするだけ」という設定が新しく、ホラー・コメディという作品のテイストに上手くマッチしている。

    漫画としては、霊の造形が素晴らしい。
    冷静に見れば「いや、そんな霊はいないだろ」というバイオハザードのクリーチャーレベルのものばかりなのだが、そのインパクトは絶大だ。
    バイオハザードファンの私としては、この作者にクリーチャーのデザイン担当をしてほしいと思ったくらいである。

    そして、極めて非現実な造形の霊とはうって変わって、霊の「見え方」と、「見える人」の描き方に関しては、「本当に見える人ってこんな感じじゃないのかな」というリアリティーがある。
    漫画を読んでいてそんなふうに思ったのは初めてで、もしかして作者は「見える人」なんじゃなかろうか、という邪推をした。

    基本的には短いエピソードの集積なのだが、「続きもの」としての魅力もちゃんとあり、一度登場したキャラクターの再登場によって展開していくストーリー運びも、なかなか巧みである。
    特に、サイコ野郎っぽい教師のエピソードでの「返し技」はシンプルながらも絶妙で、思わず唸った。

    本物の「見える人」の共感を呼ぶ漫画ランキングをやったら優勝しそうな妙なリアリティーと、過剰なまでのクリーチャー造形が楽しい、新しいホラー漫画の傑作。

    • 9
全ての内容:全ての評価 131 - 140件目/全498件

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