小林ゆうインタビュー(前編): 落語をする声優!大好きな漫画「昭和元禄落語心中」のアニメ化秘話やオススメの漫画を語る!

小林ゆうインタビュー(前編): 落語をする声優!大好きな漫画「昭和元禄落語心中」のアニメ化秘話やオススメの漫画を語る!

更新日:2018/09/18 10:00

「銀魂」の猿飛あやめや「進撃の巨人」サシャ・ブラウスなど数々のアニメに出演している声優・小林ゆうさん。出演している作品やキャラクターの魅力、そして昔から好きだったという落語との関わりについて熱く語ってもらいました!

自分の知らない世界やカッコいいキャラクターに憧れる

小林ゆう

小林ゆう

――数々のアニメに出演されている小林さんですが、どんな漫画が好きなんですか?

少年漫画が大好きで、「DRAGON BALL」 (バードスタジオ/集英社) の孫悟空(そん ごくう)さんにすごく憧れていました。少女漫画も好きで「ホットロード」 (紡木たく/集英社) は今でもお気に入りの漫画です。

少年漫画 DRAGON BALL
鳥山明
評価:4.7 4.7 (1014件)
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――「ホットロード」 (紡木たく/集英社) はどんな所が好きですか?

夜の湘南とか、横浜の街の香りが伝わってくるような繊細な絵柄が大好きです。それに、学生のころから何度も読ませていただいているんですが、読むたびに違った景色が見えてくるんです。自分の知らない世界のお話なので、想像が膨らみます。アニメになって動いている宮市和希(みやいち かずき)さんと春山洋志(はるやま ひろし)さんも見てみたいです。

夜の湘南や横浜の町の香りを感じさせる繊細なタッチ

夜の湘南や横浜の町の香りを感じさせる繊細なタッチ

ホットロード
(c) 紡木たく/集英社
少女漫画 ホットロード
紡木たく
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“夜明けの蒼い道 赤いテイルランプ 去ってゆく細いうしろ姿 もう一度あの頃のあの子たちに逢いた...

――やっぱり春山がカッコいいと思いますか?

誰だって好きになってしまうのではないでしょうか。目の離せない魅力的な人物だと思います。最初は子供だった和希さんも、春山さんと出会うことで変わっていくんです。寂しさや葛藤、どうにもならない想いを抱えている和希さんが、ある日、髪の毛を脱色して登校します。クラスの皆は「えー」とか「不良だよ」って言うんですけど、そういったシーン一つを切り取っても、絵の美しさやモノローグや台詞に、傷つきやすい繊細な年代の青い眩しさがあって、胸が締めつけられるような気持ちになりました。

小林ゆう

小林ゆう

いつの時代に読んでも色褪せないすばらしい作品

――他にはどんな少女漫画が好きですか?

いくえみ綾先生の作品もすごく好きです。特に「POPS」(いくえみ綾/集英社)っていう作品がすごくステキで、三島岳志(みしま たけし)さんと親友の清水湖太郎(しみず こたろう)さんの関係性がすごく好きで、こんな男同士の友情があるんだって憧れていました。

小林ゆう

小林ゆう

――いくえみ綾先生の絵柄も雰囲気がいいですよね。

登場人物が皆ステキなんですよね。いくえみ綾先生と言えば “いくえみ男子”がとても有名ですけど、私は “いくえみ女子”もすごく好きなんです。いくえみ綾先生の描かれる女の子って、可愛いだけじゃなくて、ちょっと小悪魔なところもあって魅力的な子ばかりなんですよね。

クラスの女子に悪口を言われる主人公

クラスの女子に悪口を言われる主人公

みつめていたい
(c) いくえみ綾/集英社
少女漫画 みつめていたい
いくえみ綾
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【いくえみ綾・90’s☆ドラマチック・青春ストーリー】高校2年の真千子は、やさしくて頭も顔もい...

――いくえみ綾先生の漫画で特に読んでほしい作品はありますか?

いっぱいあるんですけど、「POPS」(いくえみ綾/集英社)や「みつめていたい」 (いくえみ綾/集英社) は、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

「POPS」(いくえみ綾/集英社)も「みつめていたい」 (いくえみ綾/集英社) も20年以上前の作品なのに、今見ても服装とか髪型がオシャレで真似したくなっちゃうくらいすばらしいです。他のどの作品も全部面白いので、ぜひ読んでいただけたらと思います。

大好きな“落語”をテーマにした「昭和元禄落語心中」との出会い

小林ゆう

小林ゆう

――好きな作品に「昭和元禄落語心中」 (雲田はるこ/講談社) を挙げていただきましたが、元々、落語が好きだったそうですね。

以前から興味があって趣味として聴いていたのですが、声優のお仕事を始めてからお芝居の勉強にとても役立つと伺って、さらに落語の世界にのめり込んでいきました。特に立川談志師匠をお慕いしています。落語の世界に魅せられるようになったのも談志師匠がきっかけです。

――落語のどんなところがお芝居に役立ちますか?

落語家さんはお子様からおじいさん・おばあさん、死神みたいな人間じゃないものまで全部お一人で演じる必要があるんです。私が一人二役や一人で十役以上を演じさせていただく作品に出演する際には、談志師匠の落語を真似させていただいた経験がお芝居の役に立っています。

――ご自身でも落語会を開かれているそうですね。

大変恐縮なのですが、「モエオチ」というものをやらせていただいています。落語の内容は古典落語のあらすじそのままなのですが、題材を私がお世話になっているアニメの世界や秋葉原の文化を中心にアレンジしてお噺(はなし)させていただいています。そんな落語が大好きでいた時に、「昭和元禄落語心中」 (雲田はるこ/講談社) という作品を知ったんです。

初めて読んだ時は、「なんてすばらしい作品なんだろう」と大号泣してしまいまして…。ここ最近で一番涙を流したかもしれません。

――特に印象に残っているシーンはありますか?

人間ドラマがすばらしく描かれていて、見どころばかりです。名前(亭号)を受け継ぐことで、落語家さんたちが何代にも渡って命がけで落語を守ってらっしゃるのですが、その中で巡り巡ってきた運命みたいなものが折り重なったり、弟子や子供を育てていくことの大変さがあったり、好きな人や家族との別れがあったりとか。「生き様」というものがドラマティックに、そして愛に溢れて描かれているんです。

悩みのない人はいないと思いますし、生きていれば必ず壁にぶつかることもあると思いますが、そんな時にとても力を与えてくださる作品だと思います。いろいろな角度からお話が展開されているので、老若男女、どなたがお読みくださっても心に響くシーンがあると思います。

小夏(こなつ)の父親である二代目助六(すけろく)との出会いを話し始めた八代目有楽亭八雲(ゆうらくてい やくも)

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昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社

――どんな人にこの作品を読んでもらいたいですか?

八雲師匠という方がいて、落語を極めていく過程で落語と向き合う毎日を「とても孤独だ」と言うんです。私も一人で台本を読んでいる時に孤独な気持ちになることがあるんですけど、「八雲師匠でさえ孤独を感じるんだから 私なんて感じるに決まっている」っていう気持ちになって、すごく励まされるんですよ。だから落語にご興味がない方でも、悩みを抱えている方に読んでいただけるといいんじゃないかなと思います。お仕事や学校で毎日大変だと思うですけど、この作品を読むと「頑張ろう」っていう気持ちになるんです。

助六が落語を辞め、師匠が亡くなり、独りになっても落語を続ける八代目有楽亭八雲(当時は菊比古)

助六が落語を辞め、師匠が亡くなり、独りになっても落語を続ける八代目有楽亭八雲(当時は菊比古)

昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社

出演できなくても、作品を一生好きでいたい

小林ゆう

小林ゆう

――「昭和元禄落語心中」 (雲田はるこ/講談社) はアニメ化もされましたが、アニメ化前から読まれていましたか?

アニメ化が決まるずっと前から読んでいました。だから本屋さんで「アニメ化決定」っていう帯やポスターを見た時はすごく嬉しかったんですけど、少し複雑な気持ちもありました。

――複雑な気持ちとは、作品に関わりたいという気持ちがあったからですか?

ファンの一人としてアニメ化されることを知ったので、できれば声優として「昭和元禄落語心中」 (雲田はるこ/講談社) の世界に入らせていただけたら何て幸せなことだろうという気持ちはありました。でも本当にすばらしい作品なので、自分なんかのことは置いといて、アニメ化されてたくさんの方に観てもらえることがファンの一人として嬉しいことだと思ったんです。ファンの一人としてこの作品を一生好きでいよう、と考えていました。

――実際には、見事、小夏役で出演されていますね。

オーディションの話をいただけたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。オーディションに参加できることが、その役をいただけるかもしれないというスタートラインになりますので。キャラクターの設定などが書かれたオーディション用紙をいただいた時は、震えるぐらい嬉しかったことを今でも覚えています。

――演じたからこそわかる、小夏の魅力を教えてください。

小夏さんは子供の時にご両親を亡くしてしまい、それから八雲師匠に養子として育ててもらうんですけど、その八雲師匠を恨まなければいけない宿命を背負うという複雑な背景がある方なんです。本当は落語をやりたいけど、落語界の大看板で一番身近な八雲師匠が女性が落語をすることを認めてくれない。やりたいこともできず、葛藤を抱え自分の人生を呪いながら、その中で自分の芯を一本通して生きている。

そんな小夏さんの人生を、5歳から60代まで、すべて演じさせていただきました。一人の人生を幼少期から老年期まで全て演じさせていただける機会は中々あることではないので、そのことがとても嬉しかったですし、難しい部分もありましたが、その時のことが大変糧になりました。一つの挑戦として役者冥利に尽きるすばらしい経験をさせていただきました。

落語家になりたい小夏に対し、女性は落語家にはなれないと諭す八雲

落語家になりたい小夏に対し、女性は落語家にはなれないと諭す八雲

昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社
落語家になりたい小夏に対し、女性は落語家にはなれないと諭す八雲

落語家になりたい小夏に対し、女性は落語家にはなれないと諭す八雲

昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社

――アニメになったことでより魅力に感じると思ったことはありますか?

台本になった時に改めて感じたんですけど、この作品の魅力の一つに会話劇のすばらしさがあると思うんです。八雲師匠を演じる石田彰さんや与太郎(よたろう)を演じる関智一さんとアフレコをやらせていただくことが多かったのですが、言葉や言い回しが小気味よくて心に残るんです。菊比古さんと助六(すけろく)さんの会話シーンは石田彰さんと山寺宏一さんの演技がすばらしすぎて、思わず家に帰ってからそのシーンを一人で真似しちゃいました。

落語を辞めて田舎で暮らしていた助六を見つけ、東京に戻るよう説得する菊比古

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昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社
少女漫画 昭和元禄落語心中
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収録現場は学ぶことばかり。アニメだからこそできた演出の数々

――小夏が落語の「寿限無」を噺すシーンでは、何か意識したことはありますか?

昭和元禄落語心中」 (雲田はるこ/講談社) のアニメで落語をされた出演者の方々も口を揃えておっしゃっていたのですが、普通に落語をするだけでも大変なのに、キャラクターを演じながら落語をするというのはとても難しかったです。小夏さんを演じながら、さらに「寿限無」に登場する幾重ものキャラクターを演じるシーンは、難しいけど声優としての見せ所だと思って精一杯頑張りました。

息子・信之助(しんのすけ)が通う幼稚園で「寿限無」を披露する小夏

息子・信之助(しんのすけ)が通う幼稚園で「寿限無」を披露する小夏

昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社

また、私が落語会でお噺させていただく時と大きく違ったのは、感情の変化や、扇子を持ったり前に出たりする所作などを、アニメのカットに合わせなければいけなかったことです。正座している足を後ろから映したりする場面も、実際の落語では見ることができない、アニメだからこその演出ですね。

――落語のシーンは、そこだけを抜いて収録したのですか?

落語のシーンだけを抜いて録るのではなく、1話を通しで収録しています。だから落語が始まるまでは、普段の小夏さんの様子を演じているんです。直前まで「私、落語なんてできないよ!」とごねて、そこを夫の与太郎さんに背中を押されて落語を始める。無事に落語を終えて「私、落語をやっちゃったよ」と嬉し涙を流している小夏さんを与太郎さんが抱きしめて二人で喜ぶ――そこまでを一気に録るんです。全部がつながっているので、その躍動感やリアリティが、テレビを通して視聴者の皆様に伝わってくださりますようにと願いながら演じていました。

小夏が「寿限無」を披露できたのには、与太郎の後押しがあった

小夏が「寿限無」を披露できたのには、与太郎の後押しがあった

昭和元禄落語心中
(c) 雲田はるこ/講談社

――落語が好きだったからこそ、作品への思いも熱いのですね。

私だけじゃなく、出演されていた皆様が落語に挑戦されていたので、熱気がすごくて、もう戦いみたいな現場でした。特に山寺宏一さんは落語研究会のご出身で、落語に精通していましたし、石田彰さんも落語が大好きな方でしたので、落語の話で盛り上がることもありました。

私が声優のお仕事をする前からご活躍されている先輩ばかりでしたので、そういう意味でも学ぶことばかり。自分にとっては声優として大切な財産になった現場です。

小林ゆう

小林ゆう

少女漫画 昭和元禄落語心中
雲田はるこ
評価:4.5 4.5 (243件)
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写真:金子山

プロフィール

小林 ゆう(こばやし ゆう)

東京都出身。「銀魂」、「進撃の巨人」、「昭和元禄落語心中」など数々の話題アニメ作品に出演する大人気声優。アニメやゲームだけでなくラジオや歌手活動など幅広く活躍しており、第二回声優アワード新人女優賞を受賞。

◆ホーリーピーク小林ゆう 公式プロフィール

http://www.holypeak.com/talent/voiceactor/yu_kobayashi.html

◆小林ゆう 公式twitter

https://twitter.com/holy_kobayashi

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作者

藤本あきら

藤本あきら

編集の仕事を主にしていたが、気づけば取材やライティングもするように。魚類、昆虫、爬虫類など生物全般が好きなので、図鑑や飼育本をつくるのが目標。夏になるとタコ糸とスルメを持って、野池でザリガニ釣りをしています。

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