独占漫画家インタビュー:恩田ゆじ「自分が描いた物語で誰かを喜ばせたい」

独占漫画家インタビュー:恩田ゆじ「自分が描いた物語で誰かを喜ばせたい」

更新日:2017/08/18 10:00

「別冊フレンド」で人気沸騰のうちに最終回を迎えた「神木兄弟おことわり」。胸キュンあり、爆笑ギャグありの秀作を世に送り出す漫画家・恩田ゆじさんに直撃インタビュー! これまでベールに包まれていた素顔をはじめ、アイディアの着想や、そのギャグセンスの起源まで! そして、クールでちょっとひねくれ者な神木くんには、実際のモデルがいるんだとか!?

少女漫画 神木兄弟おことわり
恩田ゆじ
評価:4.2 4.2 (1745件)
  • 完結
  • 同居
  • 同級生

高1の色葉(いろは)は、お母さんの再婚を前に、再婚相手の息子兄弟と同居することに。でもその兄弟...

神木くんには、実在のモデルがいた!?

――「神木兄弟おことわり」 (恩田ゆじ/講談社) 、とうとう最終回を迎えましたね。連載を終えた今の感想は?

初めて長期の連載をやったので、とにかく必死でした。たまに自分で読み返してみると、ああしておけば良かった、こうしておけば良かったと思うことも…。これだけ長い期間、キャラクターと付き合ってきたのも初めてだったので、途中でキャラの心情の捉え方に悩んでしまうこともありました。

――漫画家さんによってキャラの作り方は色々あると思いますが、恩田さんはキャラに入り込んで作っていくタイプですか?

比重としては、女性キャラよりも男性キャラに感情移入することが多いです。少女漫画のヒロインは、皆から愛されるようなイイ子が良いと思っているので、そのあたりを意識して作っています。でも、自分自身そんなにイイ子というわけでもないんですけど…。あとは、身近な人も参考にしています。

――「神木兄弟」のキャラクターも、恩田さんのまわりの人がモデルだったり?

実は神木蒼一郎(かみき そういちろう)は、私の姉の彼氏を参考にしています。一つ一つの行動すべてが合理的な人で、例えば、姉が彼氏とケンカをして泣いてしまったとき、「何が理由で泣いてるの?」「何がダメだったの?」と全部“何で”って聞いてくるそうです。それで、姉もとりあえず答えているうちに冷静になっていって、「何でこんなにイライラしてたんだろう?」って沈静化するみたいです。

――神木くんも、感情的にならずに物事をきっちり進めようとするタイプですよね。

そうですね。でも姉の彼氏は、基本的に発言が上からで、そんなところも神木くん的というか。

「女子はすぐ感情的になる…」

「女子はすぐ感情的になる…」

神木兄弟おことわり
(c) 恩田ゆじ/講談社

1巻のこの「女子はすぐ感情的になる…」というセリフも、実際に引用しています。

親戚の子に大人げない発言をする神木くん

親戚の子に大人げない発言をする神木くん

神木兄弟おことわり
(c) 恩田ゆじ/講談社

あとは5巻のこのセリフも。姉の彼は、正統派のヒーローみたいなキャラが嫌いだそうで。ひねくれてますよね(笑)。

少女漫画 神木兄弟おことわり
恩田ゆじ
評価:4.2 4.2 (1745件)
  • 完結
  • 同居
  • 同級生

高1の色葉(いろは)は、お母さんの再婚を前に、再婚相手の息子兄弟と同居することに。でもその兄弟...

一筋縄じゃいかない男子が好き

――これまでの作品の中で、思い入れのあるキャラはいますか?

読者さんの反応を見てみると、神木兄弟の弟・神木橙次郎(かみき とうじろう)が人気だったことはびっくりしました。私的には何かしら問題を起こすキャラという位置付けで、大胆な行動も多くて、読者の皆さんに嫌われてしまわないかヒヤヒヤしていました。フタを開けてみると好意的に受け入れてもらえて、愛されるキャラクターになったのは嬉しいですね。

神木くんの不在中に、橙次郎とこっそり部屋に忍び込む主人公・橘色葉(たちばな いろは)

神木くんの不在中に、橙次郎とこっそり部屋に忍び込む主人公・橘色葉(たちばな いろは)

神木兄弟おことわり
(c) 恩田ゆじ/講談社

――恩田さんご自身が特に好きなキャラは?

神木兄弟おことわり」 (恩田ゆじ/講談社) の城戸翠(きど あきら)くんは、結構好みのタイプです(笑)。人当たりはいいけど、どこか油断ならないような感じが好きなんですよ。

「王子」と呼ばれる城戸くんだけど…

「王子」と呼ばれる城戸くんだけど…

神木兄弟おことわり
(c) 恩田ゆじ/講談社
神木くんの気持ちに気づく城戸くん

神木くんの気持ちに気づく城戸くん

神木兄弟おことわり
(c) 恩田ゆじ/講談社

あとは、「たべられちゃいなヨ!」 (恩田ゆじ/講談社) の結城光(ゆうき ひかる)。本当は腹黒い部分を持っているんだけど、まわりから期待されているキラキラした自分みたいなものを演じるために、本性を隠して飄々としてるキャラ。そんな風に自分を偽って仮面をかぶっているような、一筋縄じゃいかないような男性キャラが好きです。

現実でも、一見普通そうな人の意外な面を見るとドキッとするので、やっぱりギャップは大事ですよね。

結城のストーカーを浄化するシーン

結城のストーカーを浄化するシーン

たべられちゃいなヨ!
(c) 恩田ゆじ/講談社
ちゃっかりストーカーの名前と学校名をおさえる結城

ちゃっかりストーカーの名前と学校名をおさえる結城

たべられちゃいなヨ!
(c) 恩田ゆじ/講談社

自分が作ったもので誰かを喜ばせたい

――漫画家になろうとしたきっかけは何ですか?

芸術系の高校に通っていたとき、何人かのチームで5分くらいのショートムービーを作る課題があって、私は絵コンテを担当したんです。その完成上映会で、お客さんが楽しんでいる様子を見て、自分が作ったもので誰かが楽しんでくれたり、喜んでくれたりすることが純粋に素敵だなって思ったんです。それで、もともと物語を考えたり、絵を描くのも好きだったので、じゃあ漫画家を目指してみよう!と思ったんです。

――昔から絵を描くのが好きだったんですか?

昔から絵を描くのが好きで、ノートにギャグ漫画ばかり描いていました。でも、鉛筆でバーッと描いた荒いものばかりだったので、とても人には見せられないけど(笑)。

本格的に漫画を描き始めたのは、高校を卒業して、専門学校に入ってからです。最初に描いたのは、OLの主人公が病気にもめげずに強くなっていく、というような少し重めのテーマでした。今思うと、何でああいう話を描いたんだろうって。まわりの反応は良かったんですけどね。

――今の作風とはだいぶ趣向が異なるものだったんですね。普段はどんな漫画を読むんですか?

割と何でも読むんですけど、ギャグ漫画が特に好きです。一番好きなのは『ボボボーボ・ボーボボ』(澤井啓夫/集英社)です。もう人生変えられるくらいハマりました。少女漫画系だと、『HIGH SCORE』(津山ちなみ/集英社)とか『めだかの学校』(森ゆきえ/集英社)とかの4コマ漫画も好きで、よく読んでいました。最近の作品だと映画化もされていた『セトウツミ』(此元和津也/秋田書店)もお気に入りです。

――大阪出身の恩田さんなので、お笑いエッセンスのようなものが色濃く作品に反映されているのでしょうか?

大阪はほとんどの人が明るく愉快で、お笑いが常に身近にありました。実は吉本に入りたいと思っていた時期も……(笑)。

ギャグシーンは私もすごく楽しんで描いています。今までにギャグ漫画をいっぱい読んできたから、自然と染みついているのかもしれません。

恩田さんのわちゃわちゃ学生時代

――「神木兄弟」をはじめ、にぎやかな学園生活が描かれた作品が多いですが、恩田さんはどんな学生時代を過ごしていましたか?

わちゃわちゃとにぎやかな学校に通っていたので、その雰囲気が作品にも表れているところもあると思います。特に中学校はやんちゃな男子生徒が多くて、窓ガラスが割られていたりすることが多々ありました。ガラスで怪我をして痛いはずなのに、「男の勲章だ!」なんて言っていて、観察対象というか見ていて面白かったです。

「たべられちゃいなヨ!」でも、大阪弁で威勢のいいキャラクターが登場

「たべられちゃいなヨ!」でも、大阪弁で威勢のいいキャラクターが登場

たべられちゃいなヨ!
(c) 恩田ゆじ/講談社

――そんなにぎやかな学校の中で、恩田さんはどんな学生でしたか?

高校の吹奏楽部でパーカッションを担当していて、目立ちたがりだったので、自分なりに色んなパフォーマンスをして楽しんでました。パーカッションは動きで魅せるところもあるので、シンバルを派手に鳴らしたり、タンバリン持ってワーッと走り回ったり。割りと騒がしい方だったのかな。とにかく自由奔放な学生生活を送っていました。

――その自由奔放さは、漫画にも表れていたりしますか?

たべられちゃいなヨ!」 (恩田ゆじ/講談社) は、「好きに描いていいよ」って言われて、その結果ああいうギャグ満載の形になりました。私的には面白い少女漫画を描くぞと思って描いたつもりだったんですけど、結果的にはギャグの割合が多くなって。

結城から女子力レクチャーを受ける主人公

結城から女子力レクチャーを受ける主人公

たべられちゃいなヨ!
(c) 恩田ゆじ/講談社
さっそく女子力を行使する主人公

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たべられちゃいなヨ!
(c) 恩田ゆじ/講談社

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つまらないものだって面白い! 日々色んなものから刺激を受ける

――漫画を描くにあたって、映画や小説などから影響を受けることはありますか?

映画は色々見ます。特にホラー映画が好きで、人気作から駄作と呼ばれるものまで、何でも観ます。むしろつまらないと言われるような映画でも、「こんなにつまらないなんて、逆に予想がつかなくて面白い!」と思いながら観ています。

小説は、恩田陸さんや東野圭吾さん、小川洋子さんが好きでよく読んでいます。いいなと思った箇所には付箋を貼ったり、気に入った本は何度も読み返したり。小説を読んだあとの方が漫画のプロットを書きやすくなるし、頭の運動にもなるので、なるべく読書はするようにしています。

――色んなものから漫画のヒントをもらっているんですね。仕事についてお互いに刺激し合うような、仲のいい漫画家さんはいますか?

別の漫画雑誌で活躍している漫画家に、高校の同級生がいます。美術系ということもあって、個性的な子が多い高校ではあったんですけど、その子は当時バリバリのギャルで目立つ存在でした。私がデビューしたときに友達の間でその情報が広まって、その子が連絡をくれたんです。そこで初めてお互い漫画家として活動していることを知って、二人ですごくびっくりしていました(笑)。よく一緒にご飯を食べに行ったり、情報交換もしています。

――最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします!

漫画家をやっていて思うのは、読者の皆さんが色んなところをよく見てくれているなって。作者の私以上にキャラクターのことを考えてくれていたり、ちょっとしたワンシーンでも様々なことを汲み取ってくれるんです。すごく有り難く嬉しいことだし、それと同時に気を抜けないなって身が引き締まります。これからもたくさんの読者さんに楽しんでもらえるような作品を描いていけたらと思います!

恩田ゆじ色紙

読者を笑顔にさせる恩田さんの作品は、大阪でのにぎやかな学園生活にそのルーツが隠されていたようです。恩田さんの次回作はどんな物語になるのか、今から楽しみですね!

プロフィール

恩田ゆじ先生自画イラスト

恩田ゆじ

7月18日生まれ、大阪府出身。2012年4月号「別冊フレンド」(講談社)にて「世界は彼を中心に」を発表し、漫画家デビューを果たす。初の長期連載となった「神木兄弟おことわり」は、2017年8月10日に最終巻6巻が発売。

◆別冊フレンド 「神木兄弟おことわり」ページ

http://betsufure.net/comics/19.htm

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作者

小山喜崇

小山喜崇

昼は編集者、夜はイラストレーターとして働く。好きな漫画は、吉田戦車や和田ラヂヲ、漫☆画太郎などのギャグ作品。

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