4.0
私の負け
主人公の女にも、その彼氏にも、終始イライラしながら読んだ。
「これを逃したら、一生誰にも選ばれないかもしれない」。
その不安感はわからないでもないが、私は嫌いだ。
一生一人でいることよりも、一緒にいたくない誰かと一生を過ごすことのほうが、遥かに恐ろしいと私は思う。
男(彼氏)は男で、パートナーに対する最低限の礼儀を欠きすぎている。
だから浮気をしていいかは別としても、この男に同情の余地はない。
「ときめき」ねえ。
まあ、別にいいけど、それは本質じゃない気もする。
単なる、きっかけだ。
問題は、もはや愛がない関係を正視せず、何も築こうとしない女であり、愛がないことに気づこうとすらしない男であって、その双方の愚かさに、私は苛立ったのだった。
私が応援したくなったのは、イコ君だけだ。
彼は幼く、無謀で、先の二人とは違った意味で愚かだけれど、無邪気なだけの少年でもない。
彼氏を挑発して啖呵を切るシーンには、鳥肌が立った。
こいつ、男じゃん。
しかしまあ、主人公とイコ君に幸せになってほしいとも思えないのだが。
さて、色々と文句はつけたが、私はこの漫画を評価している。
だって、登場人物にイライラしながらも、結局のところ、その愚かさのディテールに引き付けられて、40話以上も読んでしまったのだ。
そんなの、どう考えても私の負けである。
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