5.0
忠実なる人間の欲望
何となく主人公の性欲が全面に捉えられがちですが、
そうではなくて、人間の欲というものに、何だろう正当な理由や肯定的な理由をつけて、こう望んだのは私が悪いのではなく、仕方がないことだ、とか考えてしまうことで、まっとうな人間であろうとするずるさ、したたかな部分をえぐり出そうとした作品の意図を感じた。
その欲望はそうした理由付けにより、どんどん肥大化していくにしたがって本人の理性を越えてまっとうな人間から、本人の自覚がないままに離れていく。
その部分を、欲望のために殺を重ねていく 主人公の狂気と、人が最も知られたくない性欲というものを、平行して描くことでより強く表現できているような気がする。
そういう風に考えると、ラストは納得出来るのではないだろうか?
一度目はエロ目線でも、二度目は私の解釈で読んでみると、意外と奥深い作品という風に思えるかもしれません。
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