5.0
永遠に続く2人の恋
中学時代の同じ陸上部員の裏切りが原因で今は荒れた生活をしている柊と、クラスメイトから「かぐや姫」と呼ばれる美少女、栞のお話し。男子からモテモテの栞は、何故か自分を好きにならないと言い切る柊に熱烈なアプローチを開始。学校や自宅まで押し掛け七夕を一緒に過ごして欲しいと頼み込む。その公園で七夕の夜にキスをした恋人達は永遠にその恋が続くという。私は段ボールのソリで河原を滑り降りた2人のシーンが一番好きです。ソリのスピード感と変化していく2人の表情が凄く良い。風を感じて陸上で走っていた頃を思い出し、頑なだった柊の表情が生き生きしたものに変わっていく。作者さんの表現が本当に巧いと思います。
柊は七夕の約束を受け入れます。栞と柊が付き合うのを許せない陸上部の生徒に勝負を挑まれ走りで競争することに。顧問からも非難される柊を庇い応援する栞、走る喜びを思い出す柊。柊は栞を好きになり告白します。しかし告白された途端に栞の態度が一変して七夕の約束をなかったことにしたいと告げて学校にも来なくなってしまう、、。
次第に栞の行動の理由が分かっていきます。なぜ自分を嫌う柊を七夕の相手に選んだのか。かぐや姫と言われていた理由も。
一生懸命な柊や辛い運命を背負う栞を見ると切なくて涙が出てきました。
でも、2人の出会いに意味が無かったなんて言えない。喧嘩や遅刻であと一歩で退学、自暴自棄だった柊は、先生に認められてまた陸上部で走れる事になりました。栞との出会いで陸上人生を取り戻したのです。短期間の出来事でも柊にとっては一生忘れない濃い時間だったと思います。
栞も柊に愛されて本当に幸せだったと思います。
短編でしたが感動しました。
作者さんの他の作品も読みましたがどれもオススメです。
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