5.0
ジャパニーズファンタジーの傑作
生と死のあわいに生きる蟲と人間、それぞれの[あるがまま]の在り方に、時に切なく胸打たれ、時に心温まる傑作です。どちらが悪い訳でもない、ただあるがままにあるだけ、という、作中のギンコの台詞がとても印象的。
戦前の日本のような、それでいて何時ともしれない不思議でノスタルジックな世界観からは、生々しい雨の匂いや古い日本家屋の湿った空気、見たこともないはずの不思議な蟲達の息遣いすら感じられて、一話完結のオムニバスなのに読むのを止められない圧倒的魅力があります。
間違いなく、ジャパニーズファンタジーの最高傑作のひとつ。
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