第五話 消えた国(1)

あらすじ

▼第1話/黒の牧歌▼第2話/暗い傾斜▼第3話/遠い抱擁▼第4話/従順なる復讐▼第5話/あの日川を渡って▼第6話/象牙の罠▼第7話/消えた国 ●あらすじ/仮出所日直前になると、何故か脱獄を繰り返し、刑務所に居続ける服役囚・鈴木。自分の女を殺した罪で捕えられたのだが、彼を捕まえた高橋刑事は、誰かをかばっているのではないかと、疑いの目を向ける。そして、殺人事件の時効を迎える15年の歳月が過ぎ、鈴木は「今度の出所日は脱走をしない」と明言。やはり他人の罪をかぶるために脱獄をし続けたのだ、と高橋は確信するのだった。そして、鈴木はたんたんと、自分と、殺された女・文子についてを語り出す(第1話)。▼「人間は金のために動く」という信念を持つ男、塩見。だが今、彼は家を出た妻・夏子に会うために、山に登っている。借金のカタに手に入れた、年の離れた妻との間に愛情があろうはずもない。だが彼は「愛していない、愛されていない」はずの女を迎えに、今、険しい山を登る。この不可解な自分の行動に自問自答しながら…(第2話)。▼終電近い電車の中にガソリンが撒かれ、放火される事件が起きた。だが、警察は犯人どころか、手がかりさえつかむことができない。焦る捜査員の中で、片田刑事は、この事件で唯ひとり生き残った男「マンジュウ爺さん」に注目する。しかしその男は、何が目の前で起きようと、何も見ていない廃人同様の人物で、目撃証言は得られない。だが片田は、彼が「マンジュウ爺さん」と呼ばれるに至った理由を探り、そこから事件の真相を解きほぐしていく(第7話)。

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