5.0
老婆心ながら一言…
好きな作品です。だからこそ、敢えて一言モノ申す…です。
確かに恭平が置かれた境遇は、残酷すぎました。妹を妊娠していた実の母親は、彼のバースデーケーキを買いに行った先で事故死、仕事に逃げた父親は、予告なしに突然再婚、義理の親子関係に疲れた継母からは、性的関係を迫られるなど、16歳だった少年が背負うには、あまりにも重すぎます。だから、いったん自分自身の成長を停めて、高校に行かない、女性関係が乱れる、援交まがいの「アルバイト」をするなどの方法で、辛さを回避しようとしたことも、全く不思議ではありません。「音楽」だけが、彼にとって生きている時間だったのでしょう。
まりこは、そんな彼を理解し、寄り添おうとしますが、結論から言って大失敗、教師としては…。教師は、共感してもいいけれど、同情してはいけない、冷静な判断が下せなくなるから。現に、まりこが恭平を好きになった理由は、かなり後付け感があり、無条件で受け入れてくれる母親的存在を求めていた恭平にとって、非常に都合のいい存在だったように感じます。
教師と生徒が結ばれたっていいし、8歳の年の差も全然気にならない。けれども、「甘口のカレー」を好きな恭平が、まりこに愛され、心身共に成長を果たした後も、今と同様にまりこを愛しているのか、一抹の不安を覚えます。仄暗い視線の中に見え隠れするのは、母親の愛情を求めて止まない少年の心。その少年が育ち直しを経て、真の意味で大人になったとき、求める相手は…本当にまりこなのでしょうか。
この先を見たいような、見たくないような…この物語が、ここで終わっていて、本当によかったと思います。さんざんネガティブなことを書きつつ、星5は付けたかったので…。なぜなら、カラダも責める言葉も、とにかくエロやらしい恭平クンは、それだけで眼福ですから。
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