4.0
同じであり、別である
私はもう、完全に「もうひとつのディアボロス」として読んだ。
しかし同時に、「ディアボロス」とは明確に別の作品だ、とも感じながら読んだ。
刑事モノであり、裏社会モノであり、バディーモノであり、という多くの作品の枠組みを「ディアボロス」から継承していながら、「同じじゃん」というネガティブな印象を抱かせないところは、なかなか大してものだと思う。
このあたりは、「PO」といういささか風変わりな題材によるだけでなく、「ディアボロス」の二人とは全くことなる主人公二人のキャラクターをパリッと描けている部分が大きいかと思う。
(まあ、主人公二人に関していうと、私は「ディアボロス」の二人の方が好きだったのだが。)
これだけ技量のある作者だから、全然別の作品を描こうと思えば、きっと描けるのだろう。
しかし、思うに、この作者には、明確に描きたい一貫したテーマがあるのではなかろうか。
それは、いささか陳腐な言い方をすれば、人間の光と影、ということになるかと思う。
それを描くのに、表社会と裏社会、というモチーフを「得意技」として用いる、ということなのではなかろうか。
手を替え品を替え、何度も何度でも、同じものを描く。
自分が本当に描きたいものを描き続ける。
小説でも映画でも漫画でも、作品に対するそのようなアプローチというのが私は嫌いではないし、支持したいと思っている。
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