3.0
忘れられた設定
オーソドックスな復讐モノで、特筆すべき点もないが、派手な破綻もなく、わりに丹念に作られている印象は持った。
ただ、ちょっと気になるのは時代性で、「昭和30年」という設定には首を捻った。
時代を感じさせる描き込みみたいなものはほとんど皆無で、舞台が現代であると言われても何の違和感もない。
つまり、昭和30年をまるで描けていない、ということになる。
というか、作者もその設定、忘れてないか?
登場人物の一人が「私の株は爆上がりだわ!」とか言ってるし。
昭和30年に「爆上がり」はないだろう。
おそらく、舞台となる島が、名家の娘一人に実質的に支配されている、という前近代的な共同体の存在に説得力を持たせるために、時代設定を現代から外したのだろうが、それならそれで、もっとちゃんとしてくれ、という気にはなった。
- 36