3.0
拭えない自業自得感
バイオレンス描写のクオリティーはなかなか見所があった。
しかし、主人公のヤクザは本当に酷い目に遭っていて、気の毒であることは間違いないし、復讐の相手が極悪非道であることも間違いないのだが、自分でも不思議なくらい、私は主人公を応援できなかった。
理由はいたって単純で、主人公が暴力でもってのしあがろうとした極道だからである。
いやいや、自業自得ですがな。
今まで、復讐モノの漫画のレビューをいくつも書いてきて、「復讐モノに乗っかれる条件は、主人公サイドが同情に値すること、敵サイドが腐っていること」という当たり前のことを何度か述べてきたが、やっぱそうだわなーとつくづく思った。
確かに、主人公は卑劣な人間たちの策謀と暴虐によって、全てを失った。
でもそれって、あなたがやってきたことと何かちゃいますのん?
としか思えなかったのだ。
さっきまで悪徳の限りを尽くしていた人間ですが、この度は主人公になりましたさかい、ひとつ応援してくれまへんか、と言われても、私の脳みそは、そんなに柔軟ではない。
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