3.0
こういう作品があってもいいとは思うけど
多肉育ててる者です。
多肉がテーマの漫画があったらいいなーと思っていたところに偶然見かけたので少しだけ読みました。
多肉植物が不思議な力で擬人化して、多肉ビギナーの主人公を鍛えていく、っていう設定はすごくいいと思います。マニアじゃなくても楽しめる作り方のテッパンですよね。
タニクちゃんたちもかわいいデザインでマスコットキャラクターのようになっていて、例えるなら「もやしもん」の菌たちみたいな感じ。(そしてきっとあの路線を意識してたんだろうなと思います)
ただ、作者の多肉植物に関する知識と経験がなさすぎる。しかもそれが初っ端から露呈してる。
作品の魅力をキメるのに最重要と言っても過言でないタニクちゃんたちの名前が「エケベリア」「セダム」って、そこで一旦漫画を閉じるくらい雑で呆れました。ドラゴンボールで孫悟空が「おっす! オラ、サイヤ人!」って挨拶してるような雑さです。
っていうか多肉にハマってその魅力を描きたいと思ってる人だったなら、「自分のお気に入りの品種」を名前にするんじゃないかな。あとから品種名出てきてましたけど。思いっきり付け足しだったし。
多肉植物に限らず植物って様々な品種があって、その多様さや複雑さが魅力なのですから。いきなりトップギアのマニアック路線も考えものですが、多肉沼の深さや面白さをチラ見せしていくような作りにしてほしかったです。
一部の種類の育て方解説には現在では否定されているものが紹介されているのも気になりました。漫画が描かれたのが結構前のようなので仕方ないかなと思いますが…。なんとなく、「趣味の園芸」の多肉特集号を読みながら描いてるんだろうなーって感じの情報密度でした。
なんて言ったらいいのかわからないですが、「ああ、この人、自分では育てたことがないんだな」っていうのが全体的に透けて見える感じです。あとがきかコラムにも「マンガのネタがほしいからちょうど目に入った多肉にしてみた」的な話がありましたし、漫画の連載枠さえもらえれば多肉自体はどうでもいいんだろうなっていう印象を受けました。
残念です。
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