設定と作品と
高齢社会で不足する労働力へのテコ入れとして、日本政府が「若返り」の薬を開発した近未来。
治験者たちが集められた島に、冤罪の刑期を終えて、真犯人への復讐を目論む主人公が潜入するのだが…というストーリー。
どうです?
面白そうでしょう?
私もそう思う。
少なくとも、設定は。
しかし、色んな漫画を読んできて、嫌というほど思い知ったのは、「面白い設定を思いつく」ことと、それを「作品として編み上げる」ことは、全く別の作業なのだ、ということだ。
あるいは、全く別の才能なのだ、ということだ。
残念ながら、前者にラッキーパンチはあり得ても、後者はラッキーではどうにもならない。
「設定は面白い」という漫画は腐るほど読んできて、申し訳ないけれど、本作もその域を出ていないと感じた。
この設定ならば、作品として避けては通れない道は、やはり「老い」という問題だったと思う。
単なる社会問題や作品の入り口を超えて、人が「老い」と向き合うことを描かなければ、この設定の真価は発揮されない。
私はそれが描かれることに半ば期待しながら、半ば諦めながら読んだが、やっぱりこんなもんか、と思った。
私のちゃちな予想など、裏切ってみせてほしかった。
- 7
3.0