5.0
伏線全回収のすごさ!
途中で「うお!あそこのアレってこういうこと?!」と戻って答え合わせをしたくなりつつ、謎が気になって先を読みたい、でも切なくて読み進めるのがツラい、という、なんかもう感情を揺さぶられすぎて、読み終わった後しばし脱力。
緻密に張り巡らされた伏線と暗喩と、繊細な気持ちを表現しきる絵に脱帽。
そしてすぐに再読。
主人公北斗の誕生日前日3月29日からストーリーがスタート。
モノローグ、朝ご飯を食べながらの自然なやりとり。大家さんとの会話、背景に咲き誇る桜、アパートに帰ってきたつばめ、スーパーで見つけた迷子、おままごとの台詞。なにげない穏やかな春の一日。でも二人の名前を含めてすべてが後ろにつながります。
2話最後、北斗が至の足の間に座り込んでいちゃいちゃして、至が誕生日おめでとうと言い北斗がありがとと返したあと大きな爆弾が投下。
「ハタチになったら別れる」
「今日がおしまいの日」
えーー!!どゆこと?!となったところで3話へ。
以降、ふたりの出会いや至が小さい頃に受けた虐待(紛れもないネグレクト)が描かれ、そういう過去があるなら至が北斗からの無邪気な愛情を信じられないどころか煩わしく思うのも仕方がないかと思いつつ、至が北斗に投げつける辛らつな言葉とつきあった理由は、さすがにちょっとひどすぎ、、、。
でも北斗は至に傷つけたと謝り「なんでそんな風に考えるようになった…?誰が至をいらないと言ったの」「誰が至を切り捨てたの」と言うんですよ。
もうビックリ。
イヤ普通怒るし、そういう展開で十分話は転がる。でも北斗の大きな愛はその上を行くわけです。もうマジ本当にいい子。
こんな風に言われたら好きにならずにいられない。
ところが至のこじれまくった心は全オープンにはならない。
素直になれず、弱みを見せられず、甘えられない至を、北斗が理解し抱きしめるシーンには本当によかったねと。
でもねー、このままハッピーエンドにならないんです。もうひとひねり。
確かに至が原風景を諦める=大人にならないまま、北斗との生活を続けたら結局ダメになってたかもしれないと思う。
思うけど、北斗の元に戻らず北海道に行っちゃって、告白するのは4年後ってのは甘えすぎだろ!
北斗も甘やかしすぎじゃん!
なんだけど、惚れた弱みなんですかねー。
シンプルに言うと、北斗に見つけてもらえてよかったね至!というお話です(笑)
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