4.0
これだよこれ
以前、この作者の「生贄投票」という漫画のレビューで、時代の表層をなぞっているだけという気がする、余計なお世話だが、ストレートなホラーを描いてみてはどうだろうか、という生意気なことを書いた。
本作を読んで、「これだよこれ」と思った。
閉鎖的な島の村社会の描写と、薄気味悪い寄生虫の描写に、この作者のカラーが上手く出ている。
それは一言で言えば、漫画としての一種の「過剰演出」なのだが、これがなかなか、ホラーと相性がいいと思う。
この人には、こういうのを描いてみてほしかった。
というわけで、私は応援する次第である。
しかしまあ、この作者の描く登場人物は、どうにも芝居がかった「ズレた奴」が多く、気持ち悪くて笑ってしまうのだが、ホラー漫画には多かれ少なかれ「半分ギャグ」みたいな部分があって然るべきだと私は思っているので、そういう登場人物たちもまた、ホラー漫画の文脈においては、いい味を出していると思う。
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