【ネタバレあり】adabana―徒花―のレビューと感想

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  1. 評価:5.000 5.0

    実を結ばないその花は

    たまらなく悲しいけれど、心を洗われた。
    そんな読書体験は、なかなかあるものではない。

    まず、序盤から中盤にかけては、事件を巡る登場人物たちの証言と人物像がそれぞれ食い違い(特に被害者の恋人のキャラクターが、被害者の言と主人公の言で全く違う)、このあたり、サスペンスとして非常にスリリングで、抜群に面白かった。
    これは現代版&漫画版、芥川龍之介の「藪の中」だと思って、ワクワクした。
    何しろ芥川の「藪の中」は本当に真相が「藪の中」という作品だが、さすがに本作がそんな結末を迎えるとは思えず、着地点がどこになるのかな、と。

    後半、物語が「藪」を抜けてからは、事件の全貌がゆっくりと見えてくる。
    主人公の意図が明らかになり、「何があったのか」と「何が起きようとしているのか」がバランスよくシンクロしてゆく中で、物語は様式美すら漂うくらい綺麗に、しかし、悲しみに満ちた終幕へと向かってゆく。

    はっきり言って、主人公の「行動」には、リアリティーもクソもない。
    しかし、その執念、その情念、そして、ある特別な時代にしか持ち得ない友への強烈な思慕、そのリアリティーは、あまりに鮮烈で痛切で、「出来事」の噓臭さなんて吹き飛んでしまった。
    こういうのが、フィクションの真の力なのだと私は思う。

    タイトルの「徒花」という言葉は、咲いても実を結ばずに散る花を示す。
    何てことだ、タイトルからして伏線だ。
    しかし、実のところ本作は、咲いても実らなかった、ではなくて、実らなかったけれど、確かに咲いたよね、という物語ではなかったか。
    それは、主人公の「これでいい」という言葉と完璧に呼応する。

    エピローグのラストシーンが、信じられないほど素晴らしい。
    もちろん、見事な作画が前提にあってのことなのだが、このラストは、小説でも映画でもなく、漫画でなければ駄目な気がした。
    子どもを守ろうとしなかった大人、子どもを守れなかった大人、そして、子どもを守れなかった子ども。
    誰一人許されないようなもの悲しい世界の真ん中で、このラストシーンにだけ、唯一、本物の赦しがある。
    それはほとんど奇跡と言って差し支えないほどに、ただ静謐に、それでいて気が狂ったように、あまりにも美しい。

    by roka
    • 299
  2. 評価:5.000 5.0

    最後まで読みました。
    弁護士にすら最後の最後までマコが汚されるような真実を言わずに守りきったこと、暁を地獄に落としたこと、このすべての筋書きが美月がマコのために作った小説、物語だったのかなと。
    ダンサー志望のマコと小説家を夢見た美月の他愛もない会話さえも美月は覚えていて最初で最後の作品を捧げたのかなと思ったら彼女の愛情の深さに泣けて泣けて仕方なかったです。

    • 52
  3. 評価:5.000 5.0

    悲しいけれど

    最初から最後までダラけることなく、面白かったです。ぜひ最後まで読んで欲しい漫画です。真子のまわりにはクズな大人達しかいなくて、真子がいい子なだけに苦しいし絶望感がひしひしと伝わってきます。主人公の美月は、クールで賢く暁にもしてやられない強さにはしびれました。途中は巻き込まれて可哀想だなと思っていましたが、そういう見方は間違っているのかなと思いました。
    最後は何度読み返しても泣いてしまいます。

    • 32
  4. 評価:5.000 5.0

    最新29話まで読みました

    立ち読みから惹き込まれて最新29話まで
    一気読み、、、
    すごく切なくこれは現実にものすごくありそうな話です。。。
    母親が毒親な美月
    父親が最低でその兄(叔父)も最低の最低な真子
    サイコパスな優樹

    最新を読んで真子の死が違ったものに
    見えました。
    悲しい、、、。
    作者さんの作品は色々読んでますが、
    ジャンルが異なる作品が面白いのは
    すごいですね。
    一気読みオススメします。

    by 匿名希望
    • 26
  5. 評価:5.000 5.0

    徒花…咲いても実を結ばずに散る花。
    タイトルからして意味深です。
    画力ハンパないです。
    そして美月の嘘から始まる複雑なストーリー展開に直ぐに惹き込まれました。

    美月と真子の関係性。
    貧困から性の対象として自らを売らなければいけない少女。
    それを利用する男達。
    あまりにも救いの無い、悲しいお話です。

    内容は違えど、個人的には旭川の凍死した少女の事件を思い起こさせました。

    私にも親友はいますが同じ状況下だったら美月の様に出来たのか、いや、したくても出来ないでしょう。

    紙で読みたかったので、コミックを買いましたが夢中になって一気に読んでしまいました。
    これを描き上げた作者さんの情熱が素晴らしい。

    かなり重たいお話ですが、オススメです!

    • 25
  6. 評価:5.000 5.0

    辛いけど読んでよかった

    ひたすら辛くて胸が苦しくなる。
    一番信じたい血縁関係者や恋人がクズという苦しさに、耐えられなくなって読まなくなるのもいいと思うけど、実際にクズはいるし、不幸も容赦なくやってくる。
    辛いからリアルな戦争の話は見たくないし聞きたくないのと一緒。考える事をやめてしまったらいけない。この作品はフィクションだけど、苦しんでいる人がいると考えるきっかけになる事は良いと思う。

    by hoa
    • 21
  7. 評価:5.000 5.0

    心理戦、、

    49話まで読みました。

    ハレ婚の次のお話だったので、
    読み初めはびっくりしましたが、
    絵がキレイなのとお話も読み入ってしまう内容なので配信分全部読んでしまいました。

    マコとミヅキのお互いを思いやる姿は悲しくなります。

    マコの叔父と父親は本当最悪だし最低、、
    マコの弱みにつけ込んだ暁は本当許せない。


    法律に守られている現代では、敵討ちも難しい。
    自分を犠牲にしてまでマコの仇を取ろうとするミヅキに頑張って欲しいと思いました。

    • 17
  8. 評価:5.000 5.0

    続きが気になって

    続きがかなり気になって、毎月のポイントを全部使ってしまい、39話まで一気に読み。今日1日なんですがポイントほぼ0。どうしましょう、他の漫画も読めない。笑

    命の重さはわかるけど、漫画の登場人物にこんなに怒りを覚えたの久しぶりかも。マコのおじさんも暁も許せない。こういう人たちにどうやって立ち向かえばいいんだろう。
    マコはバイトをして一生懸命生きていたのに、なんでこんな目に遭わなければならなかったのか。ミズキも辛い思いをして家で過ごしている。
    普通に接しているだけではわからない生い立ちとか家庭環境とかがあって、ミズキもマコも辛い思いをしながら生きていたんだなって思うと切ない。
    マコとミズキの楽しそうなシーンは少しだけホッとするけど、見ていて切ない。せめて2人でいるときだけは笑っているのを許してほしい。マコとミズキにとって、あの時どうすれば一番良かったのかなって考えても答えはでないけど。
    これからどうなっていくのか気になって仕方ない。ポイント購入決定だけど、読んでも読んでも続きが気になるんだろうな。
    NONさんの絵も今までのお話も好きです。
    徒花の言葉の意味も切ない。

    by scale
    • 15
  9. 評価:4.000 4.0

    どうにかなる方法はなかったかなぁ

    読後はなんともいえません。
    ラストに弁護士さんが言っていましたが、子供が大人を頼れないなんて…ですね。お互いしか信じられるものがなかった少女2人のお話。
    出てくる大人たちが酷すぎる。弁護士さん達は良い人ですが、出会えた時には遅すぎた。
    漫画なのでラストの美月は一応スッキリしていましたが、この後も続く人生があるならば、彼女は少しでも幸せになれるんでしょうか。

    • 15
  10. 評価:5.000 5.0

    すごく良かった

    ずっと読みたかった作品でした。タイトルに良かったとつけましたが、内容は悲しく切ないと思います。
    最初から最後まで友達の為に行動する主人公の愛の深さに心打たれます。その行動は正しいとか正しくないとかそんな薄っぺらい言葉で片付けられるものではなく、ただ友達の名誉も含めてすべてを守りたいという気持ちのみです。二人で笑い合って終わる未来はこないけれど、最後に笑顔を見れて涙が出ました。

    • 8
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