4.0
男女の視点
二十五歳前後の男女の恋愛模様を描くオムニバス。
漫画で描かれる男女はどうしても、「男の作者が描く女」とか、「女の作者が描く男」みたいなものがあって、それが一種の不自然さを生んだりするのだが、それはもう、ちょっとしょうがないところがある。
また、その全てが駄目だというわけでもない。
例えば、少女漫画に出てくるのが「ああいう男」だから少女漫画は少女漫画として成立する、という部分があるし、少年漫画に出てくるのが「ああいうヒロイン」だから少年漫画は少年漫画として成立する、という部分があるからだ。
しかし、この漫画は、違う。
作者が男性なのか女性なのか、私は全くわからなかった。
どちらかと言えば女性かな、と思ったが、名前は男だしなあ。
もし女性ならあまりに男を見透かしていて怖いくらいだし、もし男性なら、女心をわかりすぎていて気持ちが悪いくらいだ。
どっちにしたって相当凄い。
二十五才前後、「さすがに子どもじゃないけれど、大人としてもまだ、ねえ」というような微妙さの表現も実に巧みで、テンポのよさも相まって、とても心地よく読めた。
男女双方の視点のリアリティーを高いレベルで獲得している、稀有な作品である。
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