3.0
単調からの転調
自分が望む人間のクローンを作ってもらえるが、クローンの存在は絶対に秘密、クローンの存在を他の人間に知られたらアウト(記憶を消されて生まれたときの知能に戻される)、という話。
前半はオムニバス的な作りで、設定自体は悪くないと思ったが、話としては掘り下げや広がりがイマイチで、ちょっと単調な印象は持った。
そのまま低調なオムニバスが続くのかと思いきや、途中から方向性が切り替わり、主人公(というかそれまでは明確な主人公というポジションでもなかったが)がクローン施設を脱出する展開に。
これはこれでまあ、悪くはなかった。
前半のオムニバス調が当初からの前フリだったのか、それとも編集者から「これじゃまずい」となって方向転換したのか、私にはわからなかった。
いずれにしても、いささか行き当たりばったりの感があり、悪くはないけど深く入り込めない、という典型的な作品だった。
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