5.0
八重子がどうか救われますように
時は大正、富裕層の間では男女の自由恋愛がまだ難しかった時代なのでしょうか。八重子は若く美しく従順すぎるほど実直な女性で、見ているこちらがほろほろ涙してしまうほど淫靡な世界に引き込まれているのが痛々しくすらありました。孝一郎のそうなってしまった理由も最後明かされますが、究極の愛の形ともとれ、憎みきれない女心もありました。でもやはり無理強いするのは夫婦でもタブーですよね。書生の昴の存在が八重子にとって明るい救いとなっていてほっとしました。二人が結ばれた時はとても美しく描かれていて感動しました。昴のほくろもかわいくて素敵な男性でより世界観に入ってしまいます。最後は美しく幸せが描かれていて、愛染先生のレベルがすごく上がられていたように思えました。小説があれば読んでみたい作品です。
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