3.0
実話に基づくはずなのに
永山則夫の事件がモデルなのだろう、というか絶対にそうなのだが、なぜそれを明言しないのだろう。
犯人の出自から家庭環境から事件に至る経緯からその後の執筆活動まで、明白に事実に基づいて描いているのに、なぜ永山則夫の名前を変えるのだろう。
本質的なことではないのかもしれないが、どうにもそこは引っかかった。
ここまで描くなら、実名でやるべきだと私は思った。
多くの犯罪実録漫画に見られるような、安っぽい「見世物」的な方向性ではなく、犯行に至るまでの道筋を丁寧に追いかけようとしている点は好感が持てる。
ただ、始めから着地点は「母親の愛情不足」というところに定められてしまっている感があり、確かにまあ、それが事実なのかもしれないけれど、特にラストは、描き方としてちょっと安直すぎる気はした。
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