5.0
『ポルノグラファー』シリーズ第3弾。
『ポルノグラファー』の続編なので、そちらと、出来ればスピンオフの過去編『インディゴの気分』も読んでから、こちらを読むのをオススメします。
浮世離れした不器用で面倒な(笑)ポルノ作家・木島理生(受け。表紙の人物)は、家出中に利き腕の左手を怪我をしたところ、『アケミちゃん』(丸木戸マキ先生の作品)の春子と静雄母子と知り合い、スナック「アケミ」に居候することに。
ところが静雄と口述筆記している時に、恋人の久住(攻め)が現れて…。
と、作者さん(丸木戸マキ先生)の愛読者には堪らない、嬉しいサプライズな展開が続きます。
久住は社会人1年生になり(大手広告代理店勤務)、多忙ですれ違いや喧嘩することが増え。
何より木島はいまだに、若く展望が拓ける久住を、自分と関わらせ続けていいのか、決心がつかない。
そんな木島の後を押したのが、『アケミちゃん』の春子ママで(格好いいー!)、木島は初めて久住を追いかけます。
城戸と会った後に「僕がキープしてんのは、お前だよ、城戸。」と独白するのは、傷ついても愚痴を聞いてくれる、絶対の相手がいる心強さ、という感じ。
戻れる場所があるから、旅立つことも出来る。
春子ママの「誰だってホントは、いつでも行きたいところへ行って、戻ってきたいところに戻ってこれるのが一番いいわ」という言葉にオーバーラップしました。
今回は『ポルノグラファー』『インディゴの気分』に比べると、恋愛要素が強く、また明るい印象の作品でした。
その分、読み応えが物足りない、と思われる方もあるかもしれませんが、「続・春的生活」も含めて、明るい未来を感じるラストに安堵し、大満足な読後感でした。
本作を読んで『アケミちゃん』に興味を持たれた方は、そちらもぜひ。
この町から出られなかった静雄が、一緒について出ていった恋人とは、春子さんのインド行きとはが、がっつり描かれてます!
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