3.0
つきまとう違和感
恋人を故郷に残して上京した主人公の男が、東京で人妻と関係を持ってしまう話。
絵は小綺麗で、読みやすかった。
ただ、登場人物たちの感性とか価値観とか行動原理とか、そういう核の部分について、終始違和感がつきまとい、私は上手く入り込めなかった。
特に主人公の浮気相手である人妻の、成人漫画のキャラクターようなアグレッシブさや、その夫の訳のわからない造形には、首を捻った。
彼らは主人公とは違って大人であるゆえ、余計に。
肝心の主人公に関しても、作品の主題としては、その人間的な弱さや醜さを描きたいのだと思うのだけれど、そこに思い切りみたいなものが欠けていて、中途半端になっている印象は拭えなかった。
まあ、気持ちはわからないでもない。
人間の暗部なんて、そう簡単には覗き込めない。
それと向き合って描ききるのは、とても怖い作業だと思う。
他作品との比較はあまりフェアではないが、そう考えると、押見修造なんかは、やはりとんでもないな、と思った。
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