5.0
とても良い
雪乃の心情変化が丁寧に描かれている。夫となった清秋のぶっきらぼうにみえて、愛情深い仕草や言葉の数々が心地よく、スルスルと読み進められるのも良い。
一見すると妾腹の弟である清秋に、常に冷たい態度の兄の春信も、彼らの父親同様に情の深い人物で、愛情表現が下手な人。
春信の妻である紀子も上流社会の出身ではあるが、偏見を持たない聡明さを持った女性として描かれている。
登場人物の全てが「善人」であることは非常に難しいことだが、この作品は巧みに描いていることに驚いた。読み終わると心が温かくなる作品である。
- 1