4.0
そこに愛はあるか
雑な言い方で申し訳ないが、「こういう系」の漫画はだいたい嫌いだ。
誤解を恐れずに言えば、最近よくある、妻が夫を「エッセイ漫画」という体裁の中で非難するやり方は、本当に汚いと思う(もちろん、「夫が妻を」でも同じだが、そういう漫画は読んだことがない)。
はっきり言って、生き方として腐っているとさえ思う。
私がそういう漫画に対して感じる思いというのは、芸能人と寝た後でスキャンダルを週刊誌に売ったりする人間に対して覚える嫌悪感に似ている。
そこには何の愛もない。
もちろん、永遠の愛というのはスーパーレアだから、大抵の愛は消えることもある。
まあ、それはいい。
それはいいのだが、愛が消えたからといって(あるいは、はじめから愛なんかなかったからといって)、もう好きじゃないから何でもありだよね、というやり方は、あまりに品性を欠いている、と思うわけだ。
しかし、この漫画は、違った。
そこに、ちゃんと愛があった。
夫婦も、親子も、人間だから、生きていれば、色々あるのだ。
誰の人生だって結構ハードモードで、愛があろうが金があろうが、上手くいくとは限らないのだ。
だが、愛があれば、出発点になり得る。
それもおそらく、他の全てに比べて、かなりマシな出発点に。
私はそう思うから、この漫画の提示した現実的な夫婦の顛末が、なかなか好きであった。
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