5.0
褐色筋肉と、和服と、異形のコラボ!!
物語は、やや重め。絵は、表紙が好きな人なら、そのままイラストにしたい、きれいな絡み多いです。舞台は江戸中期かな(髷のぼったり感や武家のゆとりで)。旦那様への執着が絶ちきれない紫苑と、大恩ある旦那様から紫苑を託された薬師の能之が、田舎の人里離れた薬草畑の一軒家で暮らすことに。
紫苑は、瘤から異形が進み、それを能之は‘’美しい‘’と、官能して情が深まっていく。能之は、紫苑が自分をいいように誘惑しているだけ、とわかっている。でも、農作業を厭わず、べらんめぇ口調で相対し、能之の身の上話に嬉しいことを言い、そのくせ憎まれ口しか言えない旦那を慕い続ける紫苑が、いとおしくも……。
ある意味、これは、ハイスペなのに何故か恋愛初心者の褐色筋肉男前DTが、色町育ちで手練手管もある圧倒的に年下で芯の強い超美人、しかも元カレは自分の恩人……に惚れ込んでしまった、という。これだけなら、笑い話なんだけど。
「異形」は、謎も謎解きカタルシスも、必要だから、笑ってすませない段取りになってます……。
ラストでは、物語を決定つける「あること」が、起こります。能之は、 紫苑の言葉やその前のことが理由だと思っているけど、タイミング的には、その後の能之の一言の後に、起こってるんだよ……。能之の言葉や裏付けるこれまでがあったから、こその今なんだーってことは、うぶで自信のない彼には(ずっと苦しい片恋だったからね)、ゆっくりゆっくり、紫苑が伝えてくれるかな、と。
エンディングは、一読目には、あざといなって思ったんですが(よくある、あるあるで) 。正直、不快感というか。でも、繰り返し読んでいると、その能之の不安は、紫苑にしか癒せないだろうし。能之は、紫苑にアレした男だし。絵も大好きなので、星5個。
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