3.0
マザー・テレサとジョン・レノン
マザー・テレサの美女版、みたいな主人公が、凶悪犯の更正施設を作って同居する、という話。
まあ、私のような心の汚れた人間は、「それ、本気で思ってるなら寒いぜ」と思うことが結構あって、主人公の「この世に本当の悪人なんていないわ」という信条は、まあ、思うのは自由だけど、はっきり言って、うぜー、という感じだった。
いるわ、救えない悪人は。
そういう主人公の考え方は、この漫画の立ち位置そのものとも、だぶって見えた。
この作品そのものが、「マジでやってんの?ギャグなの?マジなら寒くない?」という感じなのである。
しかも、どうやらマジらしいから、困る。
ただまあ、どんな思想も信条も、心の底から信じている限りにおいて、それは、力を持ち得る。
例えばジョン・レノンは、「イマジン」のような世界を、本当の本当に、マジで信じていたんだと思う。
昔、BLANKEY JET CITYが、ジョン・レノンについて、新聞は彼を夢想家だと書いて、マスコミは彼を偽善者だと決めつけたけど、彼が嘘を吐いていなかったことは、彼の歌を聴けばわかる、という意味のことを歌っていた。
この文章を書きながら、ふと、それを思い出した。
私はいつの間にか、ジョン・レノンを偽善者と決めつけたマスコミの側に回ってはいないだろうかと、ちょっと我が身を省みた。
しかしまあ、この漫画が面白かったのかというと、それは、どうかねえ。
- 5